茫日、洛西。
タケノコの日本一の名産地が近いのに、今まで一度たりとも
食指が動かなかった。
だけど、まったく知らないというのは勿体ないだろう。
ということで、電車とタクシー乗りついで行ってみた。
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筍亭と書いて、じゅんてい。 阪急桂駅から西山へとタクシーで10分強というところ。意外に近い。
時間の余裕をみて、天鏡院の山門で降りて、花を見ながら抜けて行くのも一興。
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一番は新緑の竹が見どころだろう。
おちついた佇まい。 シーズンだけあってけっこう客が多い。
予約の際、立て込んでると、昼下がり2時ごろにお願いされてしまった。
そんなことでカリカリなどしない。 泰然と構えよう。
部屋に入る前にロビーで記事を見たが、ここの社長はおつに澄ました人にあらず、
ほんまのタケノコ職人みたいな風貌で、いっぺんに好感を持った。
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さて、料理は個室で供される。
前菜三種。
佃煮、たけのこ真丈、穂先の梅酢和え
…づくしが苦手なので、お造りが出ると嬉しくなります。
ヒラメと湯葉。
酒だな。
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木の芽和え。 春のめぐみです、大好き。
イカの食感なしのタケノコのみ。
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そして、定番中の定番。 若竹煮。
長らくタケノコ一筋に携わってきただけのことはある。 しみじみ、うまい。
歯ぐきを押し返すような、適度な歯ごたえ。 しっとりとだしの風味。
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道明寺蒸し
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湯豆腐は竹の割木を鍋にして。 風流なもんですなぁ。
両側の竹の湯呑みで受けてるのは、竹の生木から浸み出して来る水分。
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こいつで酒を割って飲むといいですよと教えられて、酒にちょっと入れてみると
「うわわっ…」 苦いのなんの。 たとえへ言うなら、火事場から拾っていた酒の味。
竹の清浄感より、スモーク利き過ぎて…これ飲んで大丈夫なのかい?
豆腐はいい感じにのぼせあがって、良い感じ。
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天麩羅 ズッキーニや青とう、ピンクのは忘れた。
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タケノコサラダ
これもトウが経ったものだと、えぐみが出てくるだろう。
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シメはタケノコごはん、吸物、香の物
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ラストに水菓子
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鮮やかなもんでした。 これで料理だけで6300円。
他に朝掘り白子タケノコや、料理が増えて1万5千円ぐらいまであるけど、
ま、ゼイタク言わなきゃこれで十分。
気分はのんびり。
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裏庭に出るってぇとこんな具合。
竹取物語のじいさんばあさんが、ふいと出て来ても不思議はない。