もちろんクロマグロが美味いのは百も承知の介。
しかし、財布がそうはいかないので、スーパーでキハダなんぞを購入。
東京はメバチ、関西はあっさりしたキハダ。
バチなんて言うけども、脂の乗ってるのもあってかなり美味いし価格も張る。
そこへ行くと、キハダは安い。
これをクロマグロの中トロぐらいに加工すること出来ぬか…?
てなことで素人考えでオリーブ油に漬けて2時間後、取り出した。
ダメだ。
油が表面にコーティングされるばかりで、細胞の中に入って行かない。
風味もよからず。
次はづけだ。
寿司屋でやる、即席の醤油漬け。
醤油、酒、みりんを火にかけてアルコール分をとばし、
冷ましてからマグロを漬け込む。江戸前寿司の定法。
サクのまま漬けるのと、切り付けてから漬け込む方法がある。
今回はキハダのあっさりし過ぎた味にうま味をプラスするために、
卵黄少々を足した。このヅケ汁に1時間ほど。
さすがに漬けすぎだろうが、そうでもなかった。
これがなかなかの正解。全体に少々コクがあり、いつものヅケではない。
そういえば、鯛のさつまかりゅうきゅうか忘れたが、鯛でも卵黄を使ったりしてた。
これでヅケ丼かっこむのが一番美味いかもしれぬ。
さらに、都市伝説のようにいわれるのが、マグロ+マヨネーズ。
試してみた。両面にキューピーを塗り、ラップに包み、冷蔵庫に。
できたのは、こんなお姿。
表面を丁寧にペーパータオルで拭うと中トロに見える。
ほうほう、なるほどこれは……。せんいの中にまでマヨネーズのうま味が
浸透している。これが卵黄+酢+油のパワーなのだ。
ぜいたくさえ言わねば、どこぞの中トロと見まごうものに。
ただし、マヨとバレないためには、きれいに拭いてね!
さて、キハダの大変身が可能なのかどうか。
相談をぶったのは東京の超有名寿司店(の大阪支店)。
つまりはマグロを触らせると、プロ中のプロである。
店長がいろいろと考えて、手の内を見せて下さった。
キュウリをカツラ剥きにして、貝割れ、山葵と一緒に巻き込む。
色めもきれい。クラッシュアイスなどで冷やすと夏の前菜などでいけそう。
もちろん高級店なので、日頃はホンマグロだけでキハダなんぞ使わない。
周囲を炙って、にんにく醤油で。
にんにく自体にもうま味があるし、そりゃあ美味いわなの世界。
マグロの手柄はあんまり感じなかった。
大根おろし、三つ葉、キュウリなどと和えものに。
ああ、これで間違いなく酒が飲める。
一見普通のキハダ握りだが、中に潮吹き昆布をかましている。
イノシン酸のマグロには醤油・昆布のグルタミン酸がうまみを7倍にしてくれる。
炙ったキハダを一口大にし、にんにくチップと大根おろし。
そりゃ美味いはずだわ。
結論から言うとクロマグロに見まごうものにはどれもならず。
いずれもバリエーション豊かな一品として成立しているが、
できることなら、キハダをクロマグロに替えて出してもらいたいし、向こうだって
そっちを出したい。ただ、ヅケに昆布をかますのは使えるかもしれない。
余計に混乱したまま、店をあとにした。
もう一遍、ウラを返してクロマグロを堪能しにこなくてはならない。
(冷や汗たら~ん)
「銀座久兵衛」大阪店の秀島店長。有難うございました。
お見事でした。