マーベラスS

King Of Western-Swing!!
歌と食と酒、それに声のページ。

老舗ビストロのバツグンの安定感@天満

2019-11-05 23:05:12 | 大阪 天満
天満市場のお膝元。
まだ洒落た若者向きの飲食店が少なかった頃から、
界隈でポツンとあったフランス料理店。
というより、もう少し肩の力を抜いたビストロ。



このテーブルクロスもどこか懐かしい。
ビストロといえば、この感じだった。



今どきの鳥の餌みたいな(失礼…)、皿の上にソースで絵をかくような
そういう料理とは一線を画す。
安くて、ガツンと来るフランスめしを喰いたい時にはオススメしたい。

なんせコース¥4500(前菜1・主菜1・デザート・珈琲)。
プロフィクスだが、+¥1000でこの前菜盛り。
二人でもいける。



相方はホワイトアスパラ イワシのスモーク添え



アスパラにはサバイヨンソース。
また、ある日の前菜には・・・



ヒラメのジャガイモ焼き
握りこぶし大のボリューム感うれし
ともかく、ここはガツンと食べられるのがなにより。

さて…メインに行こう。



牛ホホ肉の赤ワイン煮。
フォンドボーとワインのソースが美味。



イノシシ 肩ロースのグリエ
これもしっかりと食べでがある。
ある日の主菜がこちら・・・



スズキのポワレ シャンパンソース



おなじみのカ・レ・ダニョー
仔羊背肉のロースト



向こうに常連さんらしいフランス人男性2名。
お洒落過ぎない店だから、丁度いいのかもしれぬ。
聴こえてくる仏語の会話がBGMにとてもいい。



デセールの前にチーズを所望。
ひとりでやってるには思えないほどの種類。



リクエストで食べごろなのを切ってくれる。
エポワスとロックフォール、ミモレットを。
これでワインをやれば、上々のシメに。



そしてデセール。
タルトタタンと紅茶のソルベ。



エスプレッソでシメれば、まんぞくまんぞく。
一歩出れば、天満市場界隈の喧騒だが、
階段をとんとん上がれば、ここは別空間。

シェフ兼サービスの大男、中尾さんが一人。
一人で前菜9種、主菜7種、デセール6種をこなす。
それだけの段取りをきちっとやっているということだろう。

一周回ってやっぱりDIVAの凄さに気付く。
今はたして、これぐらい敷居が低くて
この手の本格的な店が育ってるかというと、
そうでもないのではないか。




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大阪庶民派、丼でやる湯豆腐

2017-02-04 01:39:09 | 大阪 天満

大阪の大衆酒場には、冬のメニューとしてこの「湯豆腐」は欠かせない。

京都の奥丹や順正や西山艸堂やという、そんな大層な湯豆腐をしようというのではない。

注文したらまず2分以内。大鍋で温めた豆腐を丼に入れ、熱いだしを満たして、

薬味をパラリと散らしたら仕舞い。そういうプリミティブで肩の凝らない奴。




アベノ「明治屋」の湯どうふ

常連はまずこれから始める。この濃い目のうどんだしがいいのだ。

昆布とかつおのだし。これにちろりで温めた燗酒はベストマッチだ。 





 
千日前相合橋「正宗屋」の湯どうふ。


だしとのなじみ方が浅いが、これはこれでよしとしよう。

何でもないようだが、明治屋のとろろ昆布とはちがうのが解る。



 


大阪駅前第1ビル「銀座屋」の湯豆腐。

ここはとろろ昆布も入りながら、削りガツオが印象的。

けどどう食おうとも、絶好の酒肴となる。






さて、天六「上川南店」の湯豆腐。


最澄が京都洛中の鬼門に比叡山延暦寺を置いて、都の護りとしたのと同様、

大阪の鬼門にあたる天六に「上川屋」あり。

ここで上川屋が踏ん張ってくれていたから、酒飲みはフ~ラフラとあっちこっち

動き回れる気さえしていた。

その上川屋閉めて数年、今も弟さんの店が看板の湯豆腐を守る。

というか…上川屋の湯豆腐を発展させているといってもいいだろう。


酒飲みにはだしがいい。

利尻昆布と高級イリコを使っただし。 

だしと同化しているがおぼろ昆布にも気を使っている。



 


上川屋時代から、ハチマキというと、ここの二合徳利。

ナショナルブランドの大関の燗酒が、ここでは妙に美味い。

後ろの豆腐の鍋。ただ温めているのとは訳が違う。

だしの中でじっくりと、3時間から5時間。 

豆腐が脱水~だしを吸うまでにはそれだけ時間をかける。

なまじのお手軽メニューの湯豆腐とはちがうのだ。







聞けば、この丼で出す湯豆腐。 上川屋の初代が始めたようである。

そのうち、丸一屋はじめ、あちこちに広がって行った。 

こんな簡単に見えるものでも、コツもこだわりもある。

その証拠に家でやってみるといい。ちっとも美味しく出来上がらないのだから。

 

コメント (2)
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どうしても変わらなきゃいけないのかぇ

2015-04-22 17:15:24 | 大阪 天満


変わること、新しいことが美徳とされる世の中の流れが気色悪い。

そんなに変わらなきゃいけないのか。 俺はそうとは思わない。

戦前から残るビルをことごとく壊し、おんなじようなビルばかり建て、

日本中どこも同じような景観にして、つまらない町並みになっている。

そんなことにも気付かないのかな、土建屋や待ちづくりとやらをやってる連中は。



    



食の世界も同様、スクラップ&ビルドみたいにそうそう新しいものが生まれてたまるか。

考え抜いて考え抜いて、一世代で残せるものはせいぜい一つ、二つ。

包み紙を新しくしたところで、なんにも変わっていない。

ならば変えないことの方が美しい。


食材の味自体が落ちていると言われる時代、変わらないようにするためには

目に見えないところで、実は変えていなければいけない。不条理なようだが。


ってことではないが、北区浪花町の「かね又食堂」。







ここは本当に変わらない大衆食堂。

戦前、松島にあった本店から暖簾分けであちこちに10軒ばかりできたと

織田作之助は小説「アドバルーン」に記す。

親方に教わった通り、味も変わっていないと見る。

普通に工事のオッサンやサラリーマンや、近所のおばはんやらが食べにくる。







日常に食べるものはコロコロ変わっては精神衛生上悪い。

ほっとでき、安心できるものでないといけないのではないか。

日々、驚きをもって接するメニューなど、一分の食バラエティにまかしておけばいい。







おでんと呼びたくない、関東煮(かんとだき)。



 

オダサク愛したのもかくやと思われる、どてやき。

白味噌を使ってコトコト煮込むのだが、糖分と脂と熱の作用により
メイラード反応を引き起こし、こうしたまっ黒いスジ煮込みになる。

うまし!

ガキの頃は駄菓子屋の関東煮に入るスジが何の肉だか気色悪くてよう喰えなんだ。
今はへっちゃら。

そして…戦前からのここ、かね又の看板商品がこれ。







シチュー。ジャガイモと玉ネギと牛肉バラを煮込んで、塩味で整えている。

シチューやカレーになる前段階のものみたいだ。

しかし、これがまた、具だくさんのけんちん汁風に曲解して受け入れられたのだろう。

これがイケるのである。

私の父親やじいさんたちが喰ったようなものを、同じ顔して自分も食べる。

これって案外大事なことではないのかと思うのだ。

同じ釜の飯ではないが、同じ物を食って同じものに惹かれて

それが血肉となり、営々と繋がっていくものではないのか。

そんな気がしてならない。


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