マーベラスS

King Of Western-Swing!!
歌と食と酒、それに声のページ。

胃袋・耳・元町にて

2011-08-28 17:11:59 | Weblog

港・神戸。 今でこそ三宮が中心になってしまっているが、そもそもは元町なんです。
江戸の終わりに開港され、外国人居留地ができて、その周辺に人が集まってきた。
もっともはやく入ってきた外国人というと、中国人だった。
彼ら華僑は三把(理髪店・テーラー・食堂)と呼ばれる刃物を使う職業についた。
デキる奴はコンプラドール(買弁)として、欧米人と日本人の間に立って、銭を稼いだ。



さて、そんな神戸元町の台湾料理の老舗。
メタリックなカウンターは耐久性のみを考えているかのよう。
まるで、厨房で食っているようだ。
微熱のある時は、額を押しつけたまえ。ひんやり気持ちよかろう。



高架下に燦然と輝く、その名も「丸玉食堂」。
甲子園の「龍園」は親戚筋と聞く。



うなぎの寝床の店内は、メタリックと、ミントカラー。
コンクリートの三和土が妙に異国情緒。
女将の年輪が不動の安定感を醸し出す。



昔、慣れない人が座ったら、きっと卒倒しそうになったであろう。

何か判じ物のようにも思えてくる。 冷たい料理・・・なんだか恐ろしくも思えてくる。

でも、そんなことは全然ない。



胃袋 いわゆるガツ。
たんねんに茹でこぼし、アクをひいてある。
案外軽やかで、ビールの肴には最適。
香菜がいいのだ。



こちらは耳。 ミミガーやね。
これも20年ぐらい前には異色というか、端っこの食い物だった。
それがコラーゲンとかなんとかから、女性でも食べるように。
葱と香菜がいい働きをする。コリコリが心地よい。 
シンプル極まりないこういうおかずが、時代を経て洗練につながる。




このタレが秀逸。
激辛のトウガラシとか醤油、酢などが入っていると想像。
箸先で舐めるだけでも、グガン…とくる。
ミミとガツをちょいっと付けて。

カレー皿のような器で出てくる、魯麺(ローメン) 550円
日本でいう、けいらんの中華版ですな。




あんがかかって、熱いけれども、うまいのなんの。
次回は腸詰め、煮豚足をいかねばなりませぬ。

とおりいっぺんの南京町もいいけれど、高架下や路地もお忘れなく。
元町商店街も、とんでもない老舗があって穴場ですぞ。



               丸玉食堂   神戸市中央区元町  高架下

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モダン大阪大洋食

2011-08-24 01:49:47 | 




1933(昭和8)年、御堂筋に忽然と現れたガスビル。安井武雄の設計。
角のアールが珍しい。流線形ということばが時代の先端だった時代。
地下鉄御堂筋線が開通する直前のこと。(2003年有形文化財に)





ガスビルは大阪瓦斯本社であり、ガスによる、よりよき現代的生活を提示するのが目的でもあった。
ほとんどの家庭はまだ炭をおこして飯を炊いていた時代だったのである。
8階には、ガスを有効利用すると、こんな夢のような洋食もできるようになる、とレストランが開店。
それが「ガスビル食堂」である。

庶民垂涎の的だった、白亜の殿堂のレストランは、今も盛業中である。




アミューズ 人参のジュレ 名物ハートセルリーも注文

ハートセルリーはセロリの中の柔らかい部分。
片岡直方会長が肝入りで、西洋料理には西洋野菜だと、種を取り寄せ、
自分の畑で作らせたのが最初。

これをただ塩ふりかけてかじるだけ。いたってシンプル。





ボケてしまったが、紅茶にあらず。コンソメスープ。
脂を徹底的に除いた、オールドファッションな味わい。そのコクの深さ。
手間暇を食べる。しかるに今、ここまできちんとコンソメをひく店がどれほど残っているのだろうか。





冷製コンソメ。 ただ上のコンソメを冷やしただけで、このプルプルのジュレのようになる。
どれだけコラーゲンが含まれているかが分かる。





パン。バターの容器もオールドファッション。





ハンバーグステーキ  丁寧なガルニもすばらしい。




律儀なデミグラスソース。
「伝統を守ることが一番大事」という9代目、河上シェフの思い入れにあふれたソース。
もう、旨くないわけがない。ソースはパンで拭き取っていただいた。

ガスビル食堂でめしが食えるようになりたい・・・そう思ってガスビル食堂を見上げた
大阪商人たちがどれほどいたことだろう。 羨望の食堂だった。




エスコフィエだったかが、歌手メルバのために考案したデザート。
ピーチメルバ。 もう涙もんです。





これも昔ながらのアップルパイ。いい味出してます。





コーヒー。 ああ、大大阪の夢は今いずこ。

大大阪っつったって、関東大震災の避難民たちが流入して、人口が増えただけの話に
すぎないんだけど。下駄履きの下町洋食けっこうだが、こういうビルの中の高貴さをたたえた
純潔を守る洋食ってのも、スペシャルな感じが嬉しい。 いつまでも残してほしい味わいなり。



             ガスビル食堂    大阪市中央区平野町


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それ行け!ウエスタンスイング!!

2011-08-08 20:40:29 | カントリー

「Bob Wills And His Texas Playboys. On The Air !!」

MCのアナウンスで始まる、ボブウイルスのショー。




「ア~ッハ~!」 演奏中、Holler と呼ばれる、Bob 特有の叫び声が入る。
ま、抑え切れぬ衝動とでも言おうか。 
レコーディングで変な声が入る、と黙らせたら途端に精彩に欠いたという。
彼自身を叫びたいほど最高に乗せてくれる、優秀なるバンドメンバーたちがいたのである。

ギターのエルドン・シャンブリンはパッシングギターとでもいうのか、
めまぐるしく移動するベースランで全体のサウンドの構築に大きく寄与した。 
ウェスタンスイング史上、最高のリズムギタリストである。
あまりソロは取らないが、抑制のきいた趣味のいいソロをちらりと聴かせてくれた。

エレクトリックマンドリンは、タイニームーアとジョニーギンブル。
ダブルギターを採用した時期もあったが、この腕利きフィドラー二人なら、
マンドリンと持ち替えたら、スインギーなリックもお手の物だった。

右端はボブが演奏中「ハービー!」と呼んだ、ハーブレミントン。 
ノンペダルスチールギターの大立者だ。

Bob Wills のところをクビになった、トミーダンカンは自分のバンドで頑張った。





しかし、ロカビリーの台頭に、エルビスの登場。
やがてロックンロールがヒットし出すと、ウェスタンスイングの勢いは
徐々に失われて行った。


だが、ウェスタンスイングは死なず。


東洋の極東の国から、ウェスタンスイング再興の狼煙をお目にかけてみせましょう。




さぁ、阪神間の、いや、京阪神のみなさん。
いえ、名古屋の皆さんも。山陽中国地方の皆さんも。


お待たせしました。 今、夏眠から目覚めた、マーベラス桜井&ホットフィドルバンドの逆襲が始まる!!
(SE~ ゴジラの鳴き声一発!)

9月24日のお昼14時。 さくら夙川のFortworth にお集まりください。
新生、再生、ホットフィドルバンドがイキのイイとこ、お聞かせいたします。




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最強、皮サンド

2011-08-08 20:07:08 | 

皮好きってのがいる。 私もその一人。
だが、皮ならなんでもいいってわけではない。

生焼けの皮は大っキライだが、たとえば鳥皮をせんべいみたいに焼いたものや、
パリッと焼いた焼鳥の皮、北新地鳥甚みたいに揚げた鳥皮や、
博多のかわやの何時間もかけて焼きあげる皮ならば、10本は食いたい。
フィリピンのスナックにある豚の皮のフリッターもいい。 クリスピーなえびせんみたいになる。


過日、夕餉に出たシャケとサワラの西京焼きの皮を
そのまんまゴミ箱行きになりそうなのを、「ちょっと待て!」と救ってあげる。
捨てられてたまるか。


翌朝、まず食パンをトーストしてみた。





バターを塗り、水分を遮断してから、レタスを乗せてマヨネーズをかける。
スライスチーズなどを挟みたい欲求にかられるが、ここは皮が主役。邪魔する脇役は去れ!


皮は熱したフライパンで煎りつける。
焼きながら、ペーパーで染み出る油を除去するのがコツ。
油を取り出し、パリッとさせる。


真黒になるのは、味噌焼きの場合、こうなる恐れが多分にあり、注意されたり。




こいつをレタスの上にレイアウト。

真黒だぁ。

そして・・・






無造作に二つ折れにして、大胆に噛みつけ!

パン粉が飛び散ろうが、気にするな!



ふむ・・・これは、なかなか。

皮サンド。 特許申請中・・・(なわけない)。


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落語日和、カレーにソース

2011-08-04 00:20:38 | Weblog

過日、大融寺であった落語会に出かけた。久々だが、ああ、落語たぁいいもんだなぁ。
落語を聴きに行くという行為自体が、実に平和で懐かしい風俗であり、世俗の嫌なことも一時忘れる。

桂千朝といってピンとくる人は相当な落語通かもしれない。
人間国宝、米朝の門人で、派手さはないが安定感ある手堅い印象があった。
元々米朝のコピー(余芸としてさわりだけ見たが、もの凄く似ていた)で素人名人会から
落語界へ。器用なだけに、自分の色を見つけるまで、随分遠回りなさったのではないか。


       千朝師匠、こんな方


この日は「くやみ」と「千両みかん」の二題。


「くやみ」は葬式に来て、お悔やみを言わなければいけないところを、
惚れた女房ののろけばかり言って、周囲を唖然とさせる話。
「もうイヤッ、こんな生活!」「何を言うとんのや」と終わる。


「千両みかん」は商家の若旦那が謎の病に臥せり、その原因はみかんが食べたいという。
お安い御用と安請け合いした番頭、だが季節は夏。必死で大阪中を探し回る。
天満の青物問屋で土蔵に残していたミカンのひと箱から店主が1個1個調べる。
カビが生えて腐っているのばかり。それを選ぶ手つき、非常にリアルだった。細部に神は宿る。


中で一つだけ奇跡的に無傷だったのを、差し上げるというものを、
それには及ばずどうぞお代を、と粘り、逆に果物屋の機嫌を損ねてしまう。
そこまで言うのなら、無駄にする分も含めて、「千両いただきます」となる。せ、千両!!
サゲは「番頭どん、みかん3房持って逃げた」


地味でゆっくりした語り口だが巧みな演出、落語の滋味というのをじんわり感じさせてくれる。
いい年齢にさしかかっているので、まだまだ大きい存在になっていただけそうな予感。
色気も格も懐の深さも、これから備わるだろう噺家だ。と、ツウみたいなことを申しますが。


前座は「鉄砲勇助」というホラ話。ざこば門下の巨躯のひろばくんが元気につとめた。
夏向きの「青菜」を好演した梅団治さんという初めての噺家が面白かった。
マクラで“落語界で最も車の走行距離を誇る”と言うので、個人タクシーでもしてるのかと思った。


聞けば、「撮り鉄」で、地方で落語会があると、マイカー飛ばし、会の前後でSL追っかけたりする。
しかし、ルックスはタクシードライバーである。しゃべり始めたら止まらない運転手が、車を降りて
高座に上がったか、と思ったのだ。 色浅黒く、天然パーマ気味。
植木屋や大工がこれほど似合う人もいない気がした。


会がはねると、出演者みんなで高座をバラす。高座の下は積まれたビールの空き箱だ。
その様がよかった。みんなで作っているこういう落語会によって、
上方落語協会もここまで大きくなってきたのだ。地方巡業のプロレスも一緒だなぁ。


さて、我らは船場センタービルへ、支援物資のタオルを買いに行った。
そのついでに入ったのが、「せんば自由軒」。
難波楽天地裏の自由軒とは先代が兄弟にあたるとかで、
一度つぶれてしまったが、異業種の方が支援に入り、今も盛業を続けている。





店はもうちょっとオールドファッションにした方が、気分である。





本日のサービスランチ  5品盛り合わせ、スープ・ライスついて680円
この安さ、旨さ!
いろいろ取ろうと思ったが、安さに負けた。



インデアンカレー&シーフードフライ・コンビ 850円

やはり自由軒と名がつけば、混ぜカレーを行っときますかね。





オダサクが「ここのカレーは、あ、あんじょうまぶしたぁるさかい、うまい」
と言わせた自由軒のカレーが生き残る。
旨いか不味いか意見の分かれるところだが、ワシは好き。
ウスターソースをカレーにかける奴も少なくなった。

我々の子供の頃、ソースをかけて、親の敵のようにカチャカチャいわして
徹底的にかき混ぜる奴がいた。
カレーにソースをかけなくなって、規範的というか、人間ひ弱になってしまった気がする。




戦前、梅田阪急百貨店大食堂では、ソーライといって、白ご飯だけたのみ、卓上のウスターをぶっかける
ソースライスというのが流行ったという。 オレも当時の職工ならば間違いなくやったな。



      大融寺  千朝落語を聴く会

      船場自由軒   船場センタービル


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