港・神戸。 今でこそ三宮が中心になってしまっているが、そもそもは元町なんです。
江戸の終わりに開港され、外国人居留地ができて、その周辺に人が集まってきた。
もっともはやく入ってきた外国人というと、中国人だった。
彼ら華僑は三把(理髪店・テーラー・食堂)と呼ばれる刃物を使う職業についた。
デキる奴はコンプラドール(買弁)として、欧米人と日本人の間に立って、銭を稼いだ。
さて、そんな神戸元町の台湾料理の老舗。
メタリックなカウンターは耐久性のみを考えているかのよう。
まるで、厨房で食っているようだ。
微熱のある時は、額を押しつけたまえ。ひんやり気持ちよかろう。
高架下に燦然と輝く、その名も「丸玉食堂」。
甲子園の「龍園」は親戚筋と聞く。
うなぎの寝床の店内は、メタリックと、ミントカラー。
コンクリートの三和土が妙に異国情緒。
女将の年輪が不動の安定感を醸し出す。
昔、慣れない人が座ったら、きっと卒倒しそうになったであろう。
何か判じ物のようにも思えてくる。 冷たい料理・・・なんだか恐ろしくも思えてくる。
でも、そんなことは全然ない。
胃袋 いわゆるガツ。
たんねんに茹でこぼし、アクをひいてある。
案外軽やかで、ビールの肴には最適。
香菜がいいのだ。
こちらは耳。 ミミガーやね。
これも20年ぐらい前には異色というか、端っこの食い物だった。
それがコラーゲンとかなんとかから、女性でも食べるように。
葱と香菜がいい働きをする。コリコリが心地よい。
シンプル極まりないこういうおかずが、時代を経て洗練につながる。
このタレが秀逸。
激辛のトウガラシとか醤油、酢などが入っていると想像。
箸先で舐めるだけでも、グガン…とくる。
ミミとガツをちょいっと付けて。
カレー皿のような器で出てくる、魯麺(ローメン) 550円
日本でいう、けいらんの中華版ですな。
あんがかかって、熱いけれども、うまいのなんの。
次回は腸詰め、煮豚足をいかねばなりませぬ。
とおりいっぺんの南京町もいいけれど、高架下や路地もお忘れなく。
元町商店街も、とんでもない老舗があって穴場ですぞ。
丸玉食堂 神戸市中央区元町 高架下