マーベラスS

King Of Western-Swing!!
歌と食と酒、それに声のページ。

江戸前のにぎりを教わったお店~いざ、寿司だ! 弁天山-2

2025-01-09 17:53:06 | 東京 浅草
ホントにね、うかうかしてる間に何もかも値上がりしてしまい、
コロナを挟んで、円が安くなって以前のようには手が出せなくなった。
ちょうどいいや、そんなにゃ鯨飲馬食の年齢でもなくなってきたってもんだ。



 白身は鯛とヒラメ。きよ田系のような鮪からどうだ!と出してくる店もあるけど、アタシャ持ち味の淡いものから行くのが正解と思っている。
 主人が刷毛ですっと煮切り醤油をひいて出すから、醤油いらず。



 カジキと赤貝。
 うれしいね、カジキなんか握ってくれるのは。
 鮪が寿司ネタとして外道と言われた時代、カジキの方が上の部類だった。
 持ち味は淡い鮪。ちょっとキハダにも似てる感じ。

 

 一個なら小肌と説いたのは、作家山口瞳。
 下北沢の寿司屋の色紙にそう書いてたよ。
 一個ならという選択が難しいが、江戸前ではキーとなる寿司ネタ。

 

 寿司ネタの女王はまちがいなく、車エビ。
 食べるのが惜しいぐらいきれいだ。

 

 これもオールドファッションな煮いか。
 関西にいたころにはよもや考えたこともなかった。
 ちょっと歯ごたえがあって、これはこれでおいしい。

 

 鮪赤身のづけ。即席の醤油づけだ。
 鮪はすぐ色が悪くなるため、割醤油の中で保存した名残だ。
 割醤油の塩梅はその店々によってちがう。 

 

 煮穴子。ちょっと炙って煮詰めを引いて出す。大層うまし。
 しかしなぜ皮目を上にして握るのだろう。いつも疑問に思う。
 身の方を上にした方が旨そうのに。鰻の蒲焼しかり。
 いろんな職人に尋ねるが、その理由を分かってない人が多かった。

 

 内田の親方はいとも単純に答えた。
 身の厚いお腹の部分と、尾っぽの部分では反り返り具合が違う。
 握りやすいようになってるのだとのこと。なるほどそうなってる。
 ここの穴子は浜煮という白く煮上げるのが流儀。

 

 鞍掛けといったかな、飛騨高山の合掌造りのような玉子。
 おぼろをかまして握ってある。甘い玉子はデザート仕様。

 

 関西と圧倒的に違うのは、かんぺう。
 かんぴょうの色合い。コク。
 白っちゃけたかんぴょうはどうもそそらぬ。巻き寿司の具でしかない。
 ラストにかんぴょうを追加。

 

 なんでもないかんぴょう巻きだが、海苔と醤油と山葵…よくできてるなあ。
 よくぞ野田だか銚子で濃口醤油ができたものだ。
 ひと通り握ると、内田の大将は自家製の海苔佃煮を仕込む。
 刻んだ海苔をこれでもかと鍋に放り込んで煮溶かして行く。
 これは贅沢なもんですよ。岩海苔じゃないもの。
 醤油、みりん(だと思う)をガバガバと鍋に注ぎ入れる。
 お、これは食っといてよかった…

 

 江戸前のにぎり寿司は東京の郷土料理。そう思って過ごして、
 東京へ来た時だけいただくことにしようっと。

 親方、いつまでもお元気で付け場に立ってください。
 みんなが見守ってますよ。

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浅草の老舗寿司店。緊張しなくなったのはこちらが厚かましくなったのか 弁天山-1

2024-12-14 01:19:34 | 東京 浅草
数年ぶりに浅草は弁天山美家古寿司へ行った。
東京で屈指の歴史を持つ寿司屋で、初めて大阪なんぞから行って
目からうろこで、いろんなことを教わった店だ。



安くはないが、今となれば至極真っ当な店。
江戸前寿司の入口とするには最も適任な店だろう。



ここの常連には役者の中尾彬がいた。ねじねじの、
池波志乃の亭主。多彩な人で、彼の筆による暖簾が
カウンターとつけ場の結界となっている。
何枚もあって、季節ごとに変わっていたような。
その中尾氏もこの五月に彼岸に旅立たれた。



ビールを一口もらい、日本酒に。付出しに鮪の生姜煮。
初めて来た1980年代初め、まだ先代内田榮一さんが健在で
つけ場は息子に譲ってもまだまだ目を光らせてて、酒が過ぎると
とたんに機嫌が悪くなる下戸で、早々にお茶に切り替えて
寿司をつままねばならない雰囲気だった。
酒の選択肢が増えたのはありがたい。



自家製海苔佃煮、まぐろ添え



かじきのねぎま汁



ぬた



刺身は戻り鰹。

寿司屋は酒を飲むところじゃない、といわれても
美味い魚があるとどうしたって飲まずにはいられない。
こういう東京らしい酒肴が出るのがうれしい。

もうね、バカ高い今どきの寿司屋には行けないよ。
さぁて、寿司に行こうかしらん。
悪いけどお酒、もう一本おくれ!
(つづく)
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エンコでモーニングから天丼へ

2016-09-13 01:27:17 | 東京 浅草



飲み過ぎた朝はどんより。 

シアトル系ではない、しっかりしたコーヒーがいただきたい。

伝法院の近くにある「喫茶ローヤル」へ。 
 

 

 
 

トースト・ミニサラダ・オレンジジュースがついて¥500だったかな。
 
 

 


 さてと、朝昼のブランチ前にちょいとブラリ・・・

 

 

芸人用なのかな、これ、まともな人は買いません。

買ってもどこで着ればいいのか。

 

 


伝法院通りの古本屋をひやかし、店を出ると、浅草やきなる焼き餅の屋台。

炎天下、ごくろうさんッ!

 

 


さて浅草といえば昔っから、寿司・牛なべ・天ぷらということになる。

あまりにもベタ過ぎて入ったことが無かった「大黒家」へ入ってみた。

先代林家三平の女将さんが、毎月の浅草詣での際に、姑がここの天丼を半分残して

持ち帰ってくれた。 天丼とはそれほどのものだった…とどこかに書いていた。


 
 

 

鉢は正しい錦手の絵柄。

上からのアングルはこの感じ。







蓋を取ると、堂々たる存在感。  この見事なきつね色。


海老2本、かき揚げ1 ¥1750  高いと見るか、安いと見るか。


ぷんと食欲をそそる胡麻油の匂いだ。

 

 

 
海老を一口食っては、めし。 めしを食ってはかきあげ…と一心不乱。

濃そうに見えるだろうが、意外なほどあっさりしている。

たまり醤油のようなどんつゆ。 ちょっとご飯を持て余す感じ。

天ぷらはフカッ…とした感じで、もう少しバリッとクリスピーな方が好みだがね。




 


小さい漬け物が付いて来る。 

こういうオールドファッションな天丼をときどき喰いたくなるのだ。



昼前だというのに次から次へと入ってくる。

いつの間にか、飲み過ぎたことを忘れてしまっていた。
 

 

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観音裏にある愉悦

2016-08-22 23:31:56 | 東京 浅草

浅草の人混みに疲れたら、浅草寺を裏に抜けて言問通りを北へ。

何にもなさそうな、向こう側に渡ることをお勧めしたい。

柳並木があったりして、ちょっと雰囲気。 豆かんの「梅むら」なんぞもこっちの方にある。







地図を漫然と眺めていて、屋号でびびっと来た「酒や・ぬる燗」。

燗好きの私としてはこれ素通りするわけにはまいりません。

私よりだいぶ若い店主が一人。

この豆腐汁の椀がお通し代わりらしい。 飲み助には汁ものが有難い。

なかなかいい滑り出しだね。




 


すっきりした東京風で、店主は一家言ありそうだが、お勧めの酒聞いても返って来なかった気がする。

帰ってネットを見ると「愛想がない…」と書いてたが、その通り愛想はない。

だが、この年になると無愛想の愛想というのがあるのも判る。

客の自由に放っておいてくれるが、決して無視してるのではなく、常連だけ厚遇する訳ではない。

数多くの酒と、酒を呼ぶ酒肴を揃えていて、注文にはきちんと応えてくれる。






ボケボケになってしまったが、カツオの刺身のつけ醤油。

旨い。これは日本酒でないといけない。


 


秋田の銘酒「まんさくの花」を燗で所望すると、ピタリのつけ具合で出てきた。

 

 


そして、お、ほやの造りがあるぢゃないか…。


こいつばかりは、関西の人間は扱い方を知らないと見え、まともに食えたためしが無い。

これもまた、酒のために生まれてきたような気がする。まずメシには合わんだろう。

最初喰った時は鉄棒舐めてるのか…と思ったが、だんだん好きになった。






藤ジュン、イイ男である。 ぼんぼん育ちだから妙に屈折していないところがいい。

彼がバークリーに留学中、ものわかりのいい親は留守宅でどんちゃん騒ぎの宴会催し、

何度もお邪魔した。 そんな親たちも年々傷んでくる。 介護なんぞの話も飛び出す。

順番とはいうものの、現実はなかなか厳しいものだ。






 
浅草まで行ってるのに、飲み慣れた能勢の銘酒「秋鹿」。

これも燗に申し分ない。

いい店だが、ニイチャンちょいと気取りが激しいなぁ~。

若い頃ならカチンと来てたが、今は微笑ましく、にやにやしてしまった。

まだ肩の辺りに力が入ってる感じがして、それを感じさせるようではまだまだ。

そこの力が抜けりゃ、一段上の素晴らしい居酒屋になるだろう。



 



締めはたのんだのか、自動的に出てきたのか。

しじみ汁、豆腐入り。 双方とも肝臓には有難い。

気持ちよく店を出た頃には、とっぷりと暮れて、もはや午前さま。



 



こういう小ざっぱりした玄関まわりの店が、なかなか関西にはない。





 

浅草寺、深夜。


いい夜だった。






 
でも、浅草に泊まらなけりゃ、こんな景色見られなかったよ。

もっとも酔って、安宿のベンチに、座ったまんま朝方まで寝てしまった。


 

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浅草は路地

2016-08-22 22:05:53 | 東京 浅草

浅草飲みあるきに旧友を誘った。

中野のジャズ・サックスプレーヤー藤田絢三、遠路浅草まで出て来てくれた。

先ほどの神谷バーで待ち合わせして、さて、もう一軒。

こっちは一足先に路地から路地を歩き、行きたい店のロケハンを済ませている。

永井荷風もきっと歩き回ったであろう仲見世界隈の路地。


ってことで、オーセンティックバーの「浅草サンボア」へ。




 


 
なにも関西系のバーへ行かなくてもいいぢゃないか…とも思うが、

いやいや、一度は行っておかねばなるまい。

サンボアは大正年間、神戸で創業したバー。

ここは北新地のサンボアが母体で、マスターの松林さんは銀座で修業したとのこと。

一度は大阪へ行きたいと思ってるんですけどね…という。



 



サンボアのハイボールには氷が入らない。

ドライでまことに結構。 

バーテンダー泣かせのジョッキで出すサントリーはどうかしてるんぢゃないか。

自社のウイスキーの収益のために、酒文化をないがしろにしてやしないだろうか。



 

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