ONと聞けば、野球ファンなら誰でも王さんと長嶋さんのことだ! と分かる筈。 ましてや本の著者がノムさんこと野村監督(元楽天の、いや、もっと遡れば元ヤクルトの? 阪神の? 南海ホークス…ここら辺になると私も分からないけれど) ぼやきで有名な? 野村監督となれば! ですね。
『野村ノート』を始め、野村監督(監督業を退いても尚、野村監督と呼んでしまう)の著書は どれも面白く、野球ファンでなくても きっと野球に興味を持つことでしょう。 あの 「つぶやきトーク」同様に何処か惹きつけられるものがあるからでしょうか。 そんなノムさんも、プロ野球人気がセリーグ、特に巨人に偏っていた時代は (現役時代のノムさんは、南海ホークスでプレーしていたんですから、尚更興味を惹きます) なんとかパリーグに注目を集めようと、それなりに苦労されたんですね。 或いはヤクルトの監督になられてからは、 一般の市民に巨人以外の球団にも注目してもらおうと、なんとヤクルト球団の許可を得て、当時巨人の監督を務めていた長嶋さんバッシング!? をあえて されたのだと! …とはいえ、これは あくまで宣伝の為、マスコミの注目を集めるためだったらしいのですが…。
著書によると、例えばこんな感じ; (天性と”勘”を頼りに指揮を執るという意味で) 「カンピュ―タ―の長嶋巨人に (データ野球という意味で)野村ヤクルトが負ける訳が無い!」
長嶋監督(当時)を煽り、マスコミに取り上げて貰う為だったらしいのですが、長嶋さんは これを真に受けてしまい、その後の関係がギクシャクしてしまったのだとか…。 王さんにも 「ノムさん、これはちょっと言い過ぎだ」よと たしなめられたそうな(笑)
それでも 「他の球団に負けてもそうでもないが、野村ヤクルトに負けると腹が立つ!」と長嶋さんがマスコミに漏らしたらしいから、ノムさんの計画は大成功だった訳ですよね。
『オレとO.N』は、2012年10月刊行なので、発売から わずか3カ月のハードカバー。ノムさん最新作の著書であるにもかかわらず、すでに図書館に貯蔵してありました。
本の前半は、無名だった高校生のノムさんが、『カベ要員』 いわゆるブルペンで投手の球を受けるキャッチャーとして採用されたこと。 1年目でクビを言い渡されたにもかかわらず、「南海鉄道に飛び込んで自殺する!」云々と頑張り、その後、史上初の『カベ要員』から一軍へ上がったこと。 同期の長嶋プリンス、その後、鳴り物入りで入団した王さんとの日本シリーズでの対戦等など。 当時を全く知らない私でさえ、ノムさんの南海ホークスVS 王長嶋ジャイアンツ戦を時空を超えて観戦しているかのような、そんな気にさせられます。
もし、時代を遡って見ることが出来るのであれば、南海ホークスVSジャイアンツの日本シリーズを観てみたいものです。 ホークスのエース、杉浦投手は一人で連続投球、例えば1戦目、2戦目先発、更にあくる日はリリーフ登板みたいなことをやっていたらしい。当時は先発、中継ぎ、控え、なんて役割もなく、一人で何戦でもエースが投げ抜くことが普通!? だったみたいな…。 両親から話では ちらっと聞いたことがあるような。 西鉄の豊田投手がそうだったとか、何とか。 でも、ノムさんの臨場感溢れる文字による中継を読んでいると、なんだかゾクっとしました。 良い意味で。 あの時代の野球を知っている人が羨ましいです、ほんと!
中盤では、ノムさん、王さん、長嶋さんが一緒にヨーロッパ旅行をした時の様子など、笑っちゃうエピソードも書かれています。 これは実際にお読み頂き、是非とも笑って下さい♪
監督業についても、ノムさんは大まかに4つのタイプに分かれるといいます。 例えば、1)恐怖心を与えて選手を動かすタイプ(星野監督など) 2)自由にやらせるタイプ、3)人柄で動かすタイプ(王さん) もう一つは1)に近かったと思うけど、呼び名は忘れてしまいました。失敬!
ノムさん曰く、王さんはノムさんのような奇襲作戦はとらず、オーソドックスでまっすぐな野球をやる! 確かにそうですね。 そして 王さんのお人柄で選手が熱く燃え、頑張るということ。 例えば王さんが胃癌の手術で入院した際、小久保キャプテンや松中選手が 「王監督を胴上げしたい」と口々に言っていたことを例にあげ、「球団からも選手からも慕われる王監督が羨ましい。 自分は一度も 野村監督を胴上げしたい、と選手から言われたことがない。王さんは監督を退いた後も球団から会長の席が用意され、自分は楽天を2位のAクラスで終わらせながらも解任だった」
…。 確かに楽天という球団は ひどかったですね。他球団ファンながら、あの時の楽天オ―ナ―には幻滅しましたもん。ブログの記事にも「オーナーのこと」というタイトルで、「とある街のとあるスーパー」に書きましたわよ。プロ野球史上、個人的にも忘れられない出来事です。
何も野球に限らず、すべての職種、或いは教育にも共通することですよね。「人を育てる」ということ。 これまでの自分を振り返ってみても、自ら動いて必死になるときって、「尊敬する上司のために」ってことじゃなかったですか? ノムさんの著書、心に沁みました。 今後もプロ野球界のため、日本のため(人育てのため) ぼやき続けて欲しいです♪
(昨年の秋薔薇)