自宅にある固定電話がなるとしたら、互助会か、塗装工事をしないかとか、要するに宣伝ばかり。非通知や0120で始まる☎は、そもそも受話器を取らない。そんな訳で自宅の固定電話の利用率が20年前と比較すると、かなり減ってしまった。用事はメールで済ませることも多いしなぁ…。
NHK総合で、大相撲千秋楽を見ていた時、自宅の電話がなりだした。千秋楽なので、6時10分前には、すべての取り組みも終わり、貴景勝が賞状等を授与する式が行われていた。麻生氏の撮影を終えた直後だったから、タイミング的には大丈夫だったものの、子機を耳にあてた母の様子がどうもおかしい。
「どちら様ですか? あの~ 分からないんですけど?」
こんな台詞を繰り返している。オレオレ詐欺という感じでもないようだし…?
「え? すずちゃんって言いましたか? はい、今、かわります!!」
私の名前が登場したことで、母はやっと安心したようで、大急ぎで私に受話器を手渡した。
金、土曜日と二日間、海外出身のお友達と行動を共にしていたので、日本在住の誰かだろう、でもメールじゃなくて、電話とは珍しいなぁと思いながら受話器を耳にあてた私。
「もしもし?お電話かわりました」
と、取りあえず日本語で言った。
女性の声を予期していたので、ちょっと聴きなれない男性の声、しかも、たどたどしい日本語に戸惑った。
「こんにちは。すずちゃん? お元気ですか」
「はい、元気です。あなたは?」
何だか初心者向け、日本語会話のテキストみたいじゃない?
「オーストラリアです」
えーっ!? オーストラリア⁉ ってことは、国際電話ってこと、だよね? え~っと、でも、誰だれ?
私の隣では、母が、「ちょっと誰からね?」と聞いている。
誰なのか分からないまま、取りあえず、オーストラリアです、と言われたので、
「オーストラリア」と母には答えた。
「今、日本語を勉強しています…」
何だか紙に書いた文章を一生懸命読み上げているような感じに聴こえ、私も相手が誰だか分からないまま、また 「Who's calling?」と英語で聴いてしまえば簡単なのは分かってはいても、英語に切り替えるのは、相手の必死さが伝わってくる分、失礼な気がしちゃって…
そのまま しばらく聞いては質問に答えていた。
…で、ですね。
なんと途中で電話の主が変わり、こちらは名乗ってくれたため、
「あら~ 〇〇さんじゃない! ところで、その前に電話に出た人は…誰?」
と、ようやく聞けた!のであった。
その名を聞いてビックリ! 昔、一緒にスーパーで働いた相手だわ~
でも、当時は結構、日本語も上手に話せていた筈。
ここで再び最初の人が電話口に出て…
今度は日本語ではなく、英語だった!
"So, how's everything going? How about your family? Are they all good?"
....ってまぁ、こんな感じで今度は私の方が、
「英語、忘れた。 だって、滅多に喋らないもん。忘れるよ」
という番でしたわ…
最近では、日本人観光客は減り、中国、韓国が多いらしい。
"I have your telephone number, so I will call you again soon. Take care!"
最後には、またすぐ電話するね、といい、お互い 何度も
Well, take care,
Bye
Take care を繰り返し…
しばし余韻に浸ったのでありました…
最後に会ったのは、2006年4月。両親を連れて一週間の豪州旅行を決行した時。
滞在先のホテルロビーまで、会いに来てくれ、一緒にダーリングハーバーを散歩したっけ。
「電話番号が変わってなければいいけど、と思いながら電話してみた」
と言っていたけど、その前に 誰から聞いたのか、
So! Are you coming to Australia soon? いかにも今すぐ渡豪するかのような情報をゲットしたそうですが、After I save money!というと、落胆のため息が聴こえたぞー!
流石に学生だった私達がお互い中高年という年齢に達すると、距離的にも簡単には会えないし、次第に思い出の中の友人達となってしまいがち。(事実、そうなっていた!Facebookでも繋がっていない友だし…)
何はともあれ、懐かしい友人であり元ワークメイトと電話で話せて嬉しい~楽しい~驚いた!
そんな記念日。