この本の「あとがき」に 逆説の日本史 26巻 日露戦争と日比谷焼打の謎 井沢元彦
寺内正毅について書かれてあるということだったので、借りてきましたが、どうやら最終章が収められた6巻では無かったようです。残念ながら、彼については書かれていませんでした。
それはさておき、折角、借りたのだから、このまま返却するのも勿体ないな、と読み始めることに。ちょうど、陸軍の乃木大将が登場するシーンからでした。一言でいえば、井沢元彦氏の言う通り、乃木大将のことを司馬遼太郎は良く思っていなかったようす。「あとがき」だけでも、そう感じ取れましたし、本文を読めば更に…
日本海軍の秘密兵器について知られては困るため、T字戦法を取ったことにした、という点以外は、ロシア側の資料、たとえばロシア兵の日記や妻に送り続けた手紙や匿名の手記、更には司馬遼太郎自ら、日本の生き残り兵から直接、或いは間接的に話を聞いたこと、海軍や陸軍の公式文書等からの引用も多く記載されており、「物語」の形式をとりながらも、例えば塩野七生さんの「ハンニバル戦記」やカエサルの「ガリア戦記」のようでもあり、分かりやすい文体で詳しく描写されていました。
前回、逆説の日本史 26巻 日露戦争と日比谷焼打の謎 井沢元彦
を書いた時、「どうやら日本はバルチック艦隊と戦わずして勝った。ロシアが自滅した」と受け取れるような表現になってしまい、しまった!と思ったのですが… 司馬遼太郎も、よくこれだけ資料を集めてきて執筆したな、と頭が下がる想いたし、井沢元彦氏に対しても、また同じ。「座りしままに ”読む📚は すず」ですがな。
世界初の鉄で出来た戦艦による海戦~ (蒸気船ではなく)
日本とロシア、どちらが勝つか? 陸軍は一応、日本が勝利したが、もし、海戦で日本が敗れることになれば、世界地図も大きく変わるだろう…
英国も米国のルーズベルトも 「ロシアと日本の戦艦は大方、互角」という評価をしており、こちらの〇〇はロシアに軍配、一方、〇〇は日本に軍配が上がるが…etc」な訳ですね。
戦艦の数ではロシアが勝っており、大きな差が出たのは、大砲の命中率の差! ロシア兵の生き残りが言うには、「以前の海戦では、飛んでくる砲丸の数、命中した数を数える余裕があったが、今回は雨のごとく降り注ぎ、しかもほぼ命中した」「こちらがこれだけヤラレタのだから、日本の戦艦も相当な被害が出ている筈だと思った。しかし、夜が明け、自分の視界には、日本の戦艦はどれも戦う前と同じ姿で、そこに居た」
ロシアは意思の疎通が出来ていなかった。まだ皇帝の時代だった。(皇帝の命令がすべて) 生き残りロシア兵に言わせれば、
「日本兵は誰もが 小・東郷平八郎のようだった」
バルチック艦隊が勝利するだろうという予想を裏切り(?)日本が大勝した。黄色人種が初めて白人に勝利する、という世界史の歴史上、信じられないことが起こった。
もし、日本が負けていたら…
司馬遼太郎氏の予想図は、「北海道はロシアの領土。対馬もかねてからロシアが欲しがっていた。よくて租借。或いはロシアの領土。清国、満州ではすでにロシアが利権を広げており、朝鮮半島は、清国に代わってロシアの配下」
「日本が今のような形で、日本として留まることは無かっただろう」
「日本はロシア語圏になっていた可能性もある」
清国はロシアになっていただろうから、孫文の辛亥革命は無かった、インドの独立も、もっと先だった。
今現在も北方四島はロシアに占領されたまま。プーチンは21世紀とは思えない行動をとっている。今の私達は、日々、言いたいことを言ったり書いたり、はたまた自由に日本語で喋っているけれど、これが当たり前じゃなかったかもしれない… もし、丸腰のまま、ロシアに朝鮮半島まで南下させていたら… 晴れていれば、対馬から朝鮮半島は肉眼で見える距離。九州からとても近い。 もし、明治、大正までの日本人の先祖が日本を守ってくれなかったら…。 とてもとても現在の価値観で、戦争絶対悪、と乃木大将や東郷平八郎や、もっと時代を遡って、幕末に明治維新を成し遂げた伊藤博文達を罵倒する気にはなれない。
日本は朝鮮半島に介入しなければ良かったのに、と近代史に関する著書に接するたびに、何度となく思った私…
もしも介入しなかったとしたら、”その後の歴史”はどうなっていたのだろう?” その答えを司馬遼太郎も書いてくれていた。 つまり、上記のように
「朝鮮国の親分が清国(長い歴史の上で、名前は色々変わったが、大きく捉えれば中華民国)から、ロシアに代わった」 ロシアの支配下に入り、朝鮮国の独立は無かった、ということになる。
賄賂や勢力争い… これが韓国歴史ドラマの見どころですが、実際、あの通りなのだそうです。日本の戦国時代も似たようなものですが。とはいえ日本では徳川政権下であり、平和を享受していたのですけど。
最も興味を惹いた箇所は、 「朝鮮国では、儒学から生まれた朱子学の基礎に立ち返ろうという、実学と呼ばれるものが生まれた。しかし、日本が邪魔をした。」
この本の著者は 日本によって朝鮮国が ”滅亡” したと書いてあるが、日本の介入により朝鮮国は「清国」から独立。「大韓国」が誕生。 清国を迎えるための門を破壊し、その向かい側に「独立門を建てた」 清国からの独立を祝って… (以下、昔、書いたので省略)
高杉晋作も、伊藤博文も、「朱子学では戦えぬ、すなわち、日本の独立を守れない」と180度方向転換し、維新を成し遂げた。 朝鮮国では、あの状態になっても尚、朱子学に戻るのか…それでは どうしようもなかっただろうな… という感想を抱いて著書を閉じた。両方の意見に耳を傾けるべきなので、読んでみたのでした。
半藤一利氏の著書はとても参考になります‼
(今年43冊目)
ここまで過去の「歴史」の勉強でしたが、今現在は21世紀。現実的に起こっている戦争という事態。ウクライナが停戦を呼び掛けても、全く応じようとしないプーチン。武器を持たないウクライナの平民を無差別に殺害したことは国際法で裁けるらしいが、戦争責任者としてプーチンを訴追することは難しいというではないですか! 「証拠がない」と言うけれど、「●●を破壊した」云々と本人が言っているじゃない、あれって彼の命令、軍を動かすのもプーチンの命令でしょ? 訳が分からん。 あんなひどい状況になっても、ウクライナの人々を国際社会が助け出す手立てがある訳ではないということ。チェチェンもそうだし、シリアもミャンマーも香港も…似たような例は極々最近もあった。
日本は言霊の国なので、「もし、同じようなことが日本で起こったら」という話が出来ない。「シェルターを作って欲しい」と昨夜、日本人男性がニュースで言っていた。 「台湾はすぐそこですよ!」 中国が日本の漁船に接近してくるというニュースに映像が添えられ、報道されていた。 シェルターかぁ… 国際間に留まらず防犯は大切。 近辺でも、そう感じることがある。
プーチンに平和憲法を持ち出したところで、相手に守る義務はない。日本国内の憲法なんだから。日本は長い歴史の中で、2度も「戦争はこりごり!」を体験している。世界各国が知恵を絞っても停戦への道筋も見えてこず、1秒でも早く停戦、和平交渉成立しますように…と祈るだけ。何だか虚しい…