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豊橋創造大学大学院健康科学研究科生体機能学のつぶやき

ゲノム配列のホモ接合度

2015-08-08 08:30:46 | 研究
ヒトゲノム配列におけるホモ接合度の程度が、身長や呼吸機能、学業達成度、認知機能の個人差に影響を与えるという研究結果がNatureに掲載されたそうです(財経新聞)。共通したゲノム配列を父親・母親の双方から受け継いでいる状態をホモ接合といい、ゲノム配列全体に占めるホモ接合の割合をホモ接合度と呼んでいるそうです。血縁関係が近い家系内においてはホモ接合度の程度が大きくなることが知られていますが、ホモ接合度の程度がヒトのさまざまな形質にどのような影響を及ぼすかは明らかではありませんでした。研究では、国際共同研究プロジェクト「ROHgenコンソーシアム」を通じて得られた複数人種・35万人以上のサンプルを用いて、ホモ接合度の程度の個人差と、身体計測値(身長・肥満・ウエスト比)、血液検査値(血糖値・ヘモグロビンA1c値・インスリン値・コレステロール値・中性脂肪値)、生理学検査値(血圧・呼吸機能検査値)、社会学的因子(学業達成度・認知機能スコア)の個人差との関連を解析。その結果、ホモ接合度の程度が、身長、呼吸機能(一秒量)、学業達成度、認知機能スコアに対して統計学的に有意な影響を与えることが明らかになったというもの。ホモ接合度の程度が大きくなるにつれて、身長、呼吸機能(一秒量)、学業達成度、認知機能スコアの計測値が共通して小さくなる方向に影響していたそうです。今後は、ホモ接合度との関連が指摘された形質を対象に、ヒトゲノム配列のどの部分がホモ接合の状態であると影響が大きくなるのかを調べることにより、具体的な感受性遺伝子領域の同定に繋がると期待されるそうです。
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