最近では海外で春季キャンプをする球団は見かけなくなりましたが先駆けはヤクルトのユマキャンプでした
5年連続で行なわれているユマキャンプが今年でピリオドが打たれる公算が濃い。武上監督は来季のキャンプについて問われると「さぁ?今年の成績次第でしょうね」と答えている。監督・コーチ陣ら現場からは継続を望む声が多い。日本では真冬の2月でもアリゾナは30度前後で寒さが原因の怪我は起きにくい。さらに雨は殆んど降らず練習スケジュールの変更に頭を悩ます心配は皆無と良い所だらけなのだ。ところがヤクルト本社筋ではユマキャンプを今年で一応の終止符を…と考えているそうだ。
そもそもユマキャンプを行なうに至った最大の理由はヤクルトの飲料水を米国西海岸で販売する計画に伴い「Yakult」の名前を広める為で、事前宣伝の一環でチームのユマキャンプが実現したのだ。ところが本社の西海岸進出計画は頓挫してしまった。ならばわざわざ大金をかけて海外キャンプを行なう理由もなく日本国内で充分と判断したようだ。今季、優勝かそれに近い好成績を残せばユマキャンプの有効性を立証できるがBクラスに留まれば本社を説得する根拠を失ってしまうから今年の武上監督の目の色は違うのだ。
ただ本社側が懸念しているのは金銭的な問題だけではない。ここ数年、選手に腰痛や肉離れが多い原因の一つにユマキャンプがあるのではと考えている。ユマのデザートサン球場は砂漠地帯の真ん中にありグラウンドが異常に硬いのだ。早朝・練習前・夕方と1日に3回も水を撒いてもアッという間に乾いてしまいカチカチで極端に言えばコンクリートの上で練習しているようで足腰への負担はかなりのものだ。今年も1月下旬にユマ入りして合同自主トレをしていた大矢捕手が早くも左膝を痛めて病院送りとなってしまった。2月に入りキャンプが始まると若松、竹本、渡辺と故障者が続出する始末。
同じユマでキャンプをしているサンディエゴ・パドレスはその辺の事情はお見通しのようで、身体作りは別の場所で仕上げていてユマでは総合的なチームプレーをサッと済ませるとオープン戦の為にユマを離れる。技術的に未熟な2Aや3Aでもヤクルトのような猛練習はしないと現地では日本式練習のクレージーさが話題になっている。広岡前監督の置き土産でもある気の遠くなるような練習量が武上監督のアキレス腱になりかねない。
アメリカ国内でも最近ではフロリダが主要なキャンプ地となっていて砂漠地のアリゾナは敬遠されがちです。昔はろくに現地の環境すら調査せず海外キャンプを有り難がって取り入れていました。