アッといわせた " 三匹の侍 "
「札幌は " 北へ帰ろう " シリーズなんだ。縁起が良いからな」とフロント陣も大沢監督も大いに期待していた札幌シリーズ。オールスター戦明けの初戦は相性の良い阪急が相手。前期シーズンの快進撃は5月の八戸・青森の、みちのくシリーズでの3連勝から始まった。「阪急を倒して景気づけできれば快進撃が再び…」というわけだったが " 捕らぬ狸の皮算用 " になってしまった。初戦は山田投手に、次戦は稲葉投手に抑えられオールスター戦を挟み5連敗を喫した。3戦目を勝利し一矢報いるのが精一杯だった。
試合は負け越したが話題になっている日ハム3選手を紹介しよう。先ずミッチェル選手は下手投げの山田投手が大の苦手で30日の試合では4打数4三振でシーズン99三振で大台に王手となったが、ミッチェル選手は落ち込むことなく「サッポロは故郷のミルウォーキーと同じ緯度で気候も似ていてお気に入り」と遠征に同伴したリング夫人の従兄弟のジム・ジャクソン氏と札幌観光を楽しみ大好きなビールを堪能した。そのお陰なのか3戦目に勝利を呼ぶ23号本塁打を放ち、ホームランダービートップを快走するリー選手(ロッテ)を猛追する。
連敗を止めた試合の山下選手の一発も話題に。山下選手は4打数4安打と大暴れした富田選手に代わり守備固めとして途中出場した。「トミさんが4安打なら僕はホームランを打ってくる」と宣言して打席に向かった。「冗談もほどほどに」と富田選手や日ハムナインが一笑に付したのも無理はない。今シーズン巨人から移籍した山下選手はプロ10年で本塁打はゼロで11年目での初本塁打だった。巨人時代は代走や守備固めの出場がほとんどで打席に入る機会が少なかった。ベーブルース並みの予告ホームランに日ハムナインは驚いた。
一番デッカイ札幌みやげとなったのが杉田投手の好投だ。多摩川グラウンドでミニキャンプを張る高橋一投手に代わって2カ月ぶりに今回の札幌遠征から一軍に上がって来たばかりだった。「一軍に上がって直ぐに先発に起用されるなんて光栄だった。チームの信頼を裏切らない為にも頑張らないと」と3戦目に先発するとあわや完封の1失点の完投勝ちで2勝目を上げた。「立ち上がりに一死三塁で加藤秀さんを三振に抑えたのが大きかった」と試合を振り返る。「夏場の暑い時期に間に合って他の投手の負担を減らせる。杉田の復帰は大きいよ」と新山投手コーチもニッコリ。
中止のココロ
札幌シリーズにはつきもので選手らが楽しみにしていたのがビール園でのジンギスカン鍋の会食が中止に。選手らはさぞかしガッカリしているかと思ったら「仕方ないな」と諦め顔。というのも昨年は飲んで騒いでと大盛り上がりだったが、翌日の試合は二日酔いする選手が続出しダブルヘッダー2試合を連敗してしまった苦い経験があるからだ。練習開始が翌朝8時半なのに宴会は二次会、三次会と続き深夜遅くまで飲んでいたら勝てるわけがない。「去年を反省して中止になっても文句は言えないよ」と選手も心得て中止のココロを読んでいた。
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