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納戸の奥に眠っている箱を久しぶりに出してみると…
買い集めていた45年前の週刊ベースボールを読み返しています

# 860 週間レポート 阪神タイガース

2024年09月04日 | 1977 年 



田淵はやっぱり怪物だった
長らく故障で試合から遠ざかっていた田淵選手。ベンチ入りしたとたん一発を放ち、やはり怪物だとの声が溢れた。田淵選手は休み明けに強く、よく打つというジンクスは生きていた。驚異の一発は8月13日の中日戦(西京極)の7回裏に飛び出した。代打に起用されると芝池投手から左翼席に放り込んだ。この一発で阪神の連敗をストップさせてファンは大興奮。右手親指の第一関節亀裂骨折で1ヶ月近く休んでいたが、9日の最終診断でドクターストップが解かれて二軍での練習を再開した。3日間の打ち込み後に12日の中日戦から戦列に復帰した。代打に起用された復帰第1打席こそ左翼フライに倒れたが、前述の通り2打席目に19号本塁打を放った。

過去にも死球禍で休んだ後に復帰するやたちまち本塁打を放ったことがある。「本当に休んだ後はよう打ちよる。やはり怪物の類ですワ。他の選手には真似できへん。ろくに練習せえへんでもあの当たりですワ」と吉田監督も舌を巻いた。待望のスタメン復帰は月末の巨人3連戦(後楽園)からで猛虎打線の中心に返り咲いた。「指の骨折なので送球には難がある。でも残り試合も少ないし少々無理してでもやらんとね」やはり猛虎打線に田淵選手は必要不可欠な存在であることが改めて気づかされた。


掛布もうすぐベスト10入り
掛布選手の名前がもうすぐ新聞紙上を賑わせる。左手首の負傷で1ヶ月半も休み、打席数不足だったが間もなく規定打席に到達する。8月19日時点であと10試合不足なので9月上旬には待望の打撃10傑入りし、打率 .344 は4位あたりに顔を出す勘定だ。期待はもちろん首位打者のタイトル獲得だが厄介なのが若松選手や張本選手といった首位打者争いの常連実力派の存在で、彼らを追い抜くのは至難の技だ。ちなみにトップを走る若松選手の打率は .368 もあり大変なハイアベレージでこの調子で走られては追いつけそうにない。

「首位打者なんて僕には無理ですよ。昨年の打率 .325 を少しでも上回れば上出来だと思っています。規定打席に到達すると新聞で自分の名前を見る楽しみが出来ますが、反面でプレッシャーを感じてしまいそうで怖さもある。規定打席にあまり早く届かない方が良いかなと考えてしまいます。案外、名前が出ないうちが花かも」と正直に話す。チームは不振だが掛布選手のバッティングは安定し、虎ファンにとって唯一の希望の星だ。


嬉しい悲鳴
古沢投手が二重の喜び。8月13日の中日戦で9勝目をあげたが、実に1ヶ月ぶりに美酒を味わった。この試合でもう一つ古沢投手が歓喜したのが左翼ポール際に放った2号本塁打。大阪厚生年金病院の黒津清明整形外科医長との間でノーヒットノーラン達成や自身が本塁打を放った場合は10万円のボーナスを受け取る約束をしている。第1号に続きまたも10万円を手にした古沢投手は「文句なしの一発やった。マグレも二度目となれば実力や。あんまり打つと先生が破産しよるから打ち止めにするかな」とニンマリ。残るは本職のノーヒットノーラン達成だが果たして実現することは出来るか。
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