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納戸の奥に眠っている箱を久しぶりに出してみると…
買い集めていた45年前の週刊ベースボールを読み返しています

# 881 週間レポート クラウンライターライオンズ

2025年01月29日 | 1977 年 



" ガキ大将集団よ " と坂井代表
後期シーズンに吹き荒れるクラウン旋風はどうやら単純なフロックではないようだ。2つの異なる勝ちパターンを持っているからだ。オールスター戦までは投高、つまり投手陣が踏ん張って勝つというパターンが多かったのだが、後期シーズンに入ると打線が活気づき先発投手がKOされた後も着々と加点をし逆転勝ちすることが珍しくなくなった。無論、投打ともに好調なら申し分ないがそんな理想的な状態は日本一の阪急でも難しく、質量ともに格下のクラウンに望むのは無理筋な話だ。「とにかく勝てる試合は確実に取りにいく」と鬼頭監督。オールスター戦後は間違いなく打力上位の試合が続いている。

夏場に投手が疲れて調子を落とすのはクラウンだけの現象でなく打線がカバーして相手に打ち勝つ他に妙薬はない。そんな折りも折り、タイミング良くクラウン打線は調子を上げてきた。特に大田・竹之内選手の仲良しコンビのホームラン攻勢が効果的。吉岡選手とハンセン・ロザリオ両助っ人コンビもようやく日本の野球に慣れて実力を発揮し出した。前期シーズンのタイムリー欠乏症がウソのような変わりようだ。キャッチフレーズをつけるのがお得意の坂井代表は今のチームを「ガキ大将集団」と名付けた。一昨年は「山賊軍団」だったから少し小粒になったわけだがガキ大将の方が将来性を感じられ選手たちには好評のようだ。

大砲あり、機動攻撃あり、更に連打による集中攻撃ありと乗りに乗っているクラウン打線。前期シーズンは沈黙する打線に伊藤打撃コーチの表情も冴えなかったが今ではすっかり明るくなった。「前期シーズンの終盤から打線は上向いてきた。ようやく連打が出るようになりホッとしている。いい球を逃さず例え初球からでも打って出る積極性、思い切りの良いバッティングが好調の原因だろう」と笑顔で分析する。好調なチーム状況でも鬼頭監督は相変わらず「今の時期に首位とか順位を気にするのは早過ぎる。ただウチの野球をするだけだよ」と慎重すぎる姿勢は崩していない。


救世主
後期シーズン序盤戦のヤマ場と考えられていた球宴後の初ロードとなる近鉄3連戦を2勝1敗と勝ち越した。最も貢献度が高かった投手はベテランの山下投手だ。何しろ2勝とも山下投手が勝利投手だった。2日間の連投で計7回 2/3 を投げ1失点に抑えた。「連投は別にどうってことないよ。今は永射投手が少し疲れが溜まって休んでいるから彼の分も頑張らないと。この先ずっと救援役になるかどうかは決まっていない」とピッチング同様にひょうひょうとした話しぶりの山下投手。これで前期シーズンの6月26日の近鉄戦(日生)以来10試合負け知らずだ。「山下さんがブルペンにいると負ける気がしない」とナインの信頼も厚い救世主の誕生だ。
コメント
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