北海道美術ネット別館

アート、写真、書など展覧会の情報や紹介、批評、日記etc。毎日更新しています

■第10回 あなたと共に育てたい北区のアーティスト展 (11月29日まで)

2008年11月27日 21時51分57秒 | 展覧会の紹介-絵画、版画、イラスト
 札幌市北区内に住む美術家が実行委をつくり、28人が出品しています。
 団体公募展では見る機会のない30号以下の作品ばかりで、なかなか見ごたえがあります。
 作品はすべて絵画と版画で、彫刻や写真、工芸、書などはありません。
 昨年の出品者のうち、田崎敦子さんの作品が今年はなく、新たに山川恭子さんが加わっています。

 田中進「初秋の石狩浜」
 オーソドックスな風景画です。豊かな緑の階調は、ベテラン田中さんならではのうまさです。
 こういう風景画は、たくさん描き手がいるように思われるかもしれませんが、じつは少なくなっています。

 村谷利一「道」
 村谷さんは以前、平凡な新興住宅街などを写実的に描いていましたが、ここ数年は、北海道らしい、道路が単調に伸びる広々とした風景に取り組んでいます。広漠とした感じが、乾いた筆によって表現され、筆者はこのほうが好きです。

 山川真一「OKINAWA」
 東京の夜景を思いっきりカラフルに描写した作品を先ごろの道展に出品していた山川さん。今度は沖縄です。おそらく、美ら海水族館の大きな水槽とそれに見入る人々がモティーフなのでしょう。藍色の水中を泳ぐ多種多様な魚は、まばゆい色斑で表現されています。サメ?などの輪郭を際だたせているピンクの曲線は、単に物を縁取っているのではなく、速度を表しているように感じられます。

 富樫貢平「DONA」
 割れたガラスかアクリル板にオーカー系の絵の具を塗り、色のレイヤー(層)を作り出した意欲作。手前の不定形に塗られたオーカーと、下地のオレンジや黄色が響きあう。

 西村一夫「内なる風景」
 色面分割による、西村さんらしいほのぼのとした抽象画。ただし、下の方に打たれた水色の3つの点がかすかに揺らいで配置され、これまでの西村さんの絵にない不安定さと動感が出ています。

 小林政雄「人物」
 1917年生まれ、52年に道展会員という大ベテランは、ことしも旧作を出品。同年の作品で、いすに腰かけた女性像だ。黒々とした太い輪郭で縁取られた腕などは、たくましい生活者の姿を描き出しています。

 佐藤武「記憶」
 こちらも旧作で、89年の作。虚空に伸びる細い階段。

 河合キヨ子「宿木に咲く」
 河合さんといえば、古い木材や細い魚を題材にした暗い背景の絵しか見た覚えがありません。藤の花でしょうか、こういう明るい絵はめずらしい。

 中橋修「内包」
 近年はすっかり、シンプルな立体造形やインスタレーションが中心になってしまった中橋さんですが、以前は絵画を中心にとりくんでいました。ただし、絵画にしてもミニマルアート的なシンプルなものが多く、今回のように、明るく薄めの色彩がふわふわとおどっているような、軽い感じの絵は、とてもめずらしいと思いました。

 出品者とその所属は次の通り。
内田佳代子「風景」 日洋会委員
土井善範「ひと・風景(2008)」 全道展会友
藤本登規子「日陰」 二元会委員
大林雅「ひそむ」 新道展会員、美術文化協会会員
富樫貢平「DONA」 一陽会会員、道展会員
細木博子「時の流れの中で」 新道展会員
河合キヨ子「宿木に咲く」 新道展会員
長尾恵美子「薔薇」
松浦章博「ベニス」
川西勝「樹」 新道展会員
中舘侑子「秋・West Dean(England)」
丸山惠敬「ひげの構成(トウモロコシ)」 新道展会員
木村富秋「夏の光」 独立展会員、全道展会員
中橋修「内包」
村谷利一「道」 道展会員
木村由紀子「クレトス」 全道展会員、独立展準会員
西澤宏生「駒ケ岳晩夏」 新道展会員
森川昭夫「雲影」
小林政雄「人物」 道展会員
西村一夫「内なる風景」 道展会員
山川恭子「彩」 道展会員
佐藤武「記憶」
波田浩司「羽の舞う日」 全道展会員、独立展準会員
山川真一「OKINAWA」 道展会員
田中進「初秋の石狩浜」 日洋会委員
林玲二「連画ドローイング2008 In a Landscape」
山崎幸治「北風」
鶴田昌子「満ちてくる…」 道展会員


2008年11月23日(日)-29日(土)9:00-17:00
札幌サンプラザ ふれあい広場(北区北24西5 地図H

・地下鉄南北線北24条駅から徒歩2分
・中央バス、ジェイアール北海道バス「北24西5」からすぐ(小樽行き都市間高速バスの北大経由に乗るという裏技あり)


第9回


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。