goo blog サービス終了のお知らせ 

北海道美術ネット別館

アート、写真、書など展覧会の情報や紹介、批評、日記etc。毎日更新しています

■川上りえ個展 イロジカル・ムーブメント (6月20日で終了)…6月17~21日(3)

2010年06月21日 23時51分21秒 | 展覧会の紹介-現代美術
承前

Rie Kawakami Solo Exhibition Illogical Movement
June12-20 2010
at Sarou Homurura


 川上りえさんは石狩在住のアーティスト。
 主に金属を素材に、パワフルな彫刻、立体作品を手がける。
 近年は、精力的に海外のアーティスト・イン・レジデンスに出かけ、平面作品なども制作している。

 今回は、法邑主催の企画展らしい。
 法邑美智子さんが、この会場にあった新作を-と、川上さんに依頼して実現した個展だ。
 札幌のギャラリーでは比較的高い方の天井をフルに生かし、巨大なリング状の立体3点を互い違いに配した。
 手前のリングは、完全な輪ではなく、部分的に欠けているが、それがむしろそれぞれの輪に広がりを与えている。

 また、それぞれの輪は、直方体の縁だけを組み合わせることで成り立っているのだが、手前の輪よりも奥の輪のようが、直方体が少し崩れてきている。
 手前が「出発点」で、奥が時間的に後だと仮定すると、輪は少しずつ崩壊の一途をたどっていると見えなくもない。
 しかし、この作品には、そもそも「視点」や「始点」は設定されていないのだ。鑑賞者は、自由に会場内を歩き回って、立ち位置によって微妙に表情を変えていく作品を楽しめばよい。

 そして、影も、造形の一翼を担っているのだ。

 壁に映り込む作品の影も、鑑賞者の歩行とともに異動していく。




 思えば、川上りえの個展では、2001年の「ギャラリーたぴお」でも、会場をフルに生かした空間構成を試みていた。会場を問わずに設置できる作品ではなく、会場の大きさを念頭に置き、全体が会場となるような試行を絶えず続けてきたわけだ。


 なんというか、見た瞬間に傑作であることを確信できる作品に出合えるって、幸福だなあと思うのだ。

 
2010年6月12日(土)~20日(日)10:00am~6:00pm(最終日~4:00pm)、火曜休み
茶廊法邑(さろう・ほうむら。札幌市東区本町1の1)

この項続く

http://riekawakami.net/

SAG Introduction II (2009年10月)
交差する視点とかたち vol.3 阿部典英 加藤委 川上りえ 下沢敏也(2009年7月)
川上りえ「ANCIENT SUN」(野外立体作品)

SAG INTRODUCTION(2008年12月)
On the wall/Off the wall 山本雄基、西田卓司、川上りえ(2008年9月)
川上さんの米国滞在報告(08年6月)
川上さん、米国でレジデンス中(08年4月)

川上りえ展 Trace of Will(06年)

米国での個展報告(04年)

札幌の美術2003 ワークショップ
札幌の美術2003

北の彫刻展2002(画像なし)
水脈の肖像(02年、画像なし)
川上りえ個展-浸透痕(01年)
北の創造者たち(2000-01年)


最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
個展を終えて (川上りえ)
2010-06-22 11:18:29
毎度ながらぎりぎりの展覧会ご案内にもかかわらず、会場に足をお運びいただき、作品への感想をいただき有り難うございます。今回の展示は、かなり昔からこころに抱いていたイメージを具現化したものです。シンプルな形状と配置による空間インスタレーションですが、求めていた時間の流れやスケール感を伴った奥深い表現を実現できたという手応えを自身でも実感できたことがとてもうれしいです。作品を見てくださった皆さんからもたくさんのフィードバックを頂きました。有り難うございました。これからの制作も頑張りますので、どうぞよろしくお願いします。rie
返信する
おつかれさまでした (ねむいヤナイ@北海道美術ネット)
2010-06-23 12:03:18
川上りえさん、コメントありがとうございます。とても見ごたえのある、シンプルでいて力強い個展だったと思います。北見にいく前にわざわざ立ち寄って良かったです。
これから見る機会が減るかもしれませんが、よろしくお願いします。
返信する

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。