
(承前)
Rie Kawakami Solo Exhibition Illogical Movement
June12-20 2010
at Sarou Homurura
川上りえさんは石狩在住のアーティスト。
主に金属を素材に、パワフルな彫刻、立体作品を手がける。
近年は、精力的に海外のアーティスト・イン・レジデンスに出かけ、平面作品なども制作している。
今回は、法邑主催の企画展らしい。
法邑美智子さんが、この会場にあった新作を-と、川上さんに依頼して実現した個展だ。
札幌のギャラリーでは比較的高い方の天井をフルに生かし、巨大なリング状の立体3点を互い違いに配した。
手前のリングは、完全な輪ではなく、部分的に欠けているが、それがむしろそれぞれの輪に広がりを与えている。
また、それぞれの輪は、直方体の縁だけを組み合わせることで成り立っているのだが、手前の輪よりも奥の輪のようが、直方体が少し崩れてきている。
手前が「出発点」で、奥が時間的に後だと仮定すると、輪は少しずつ崩壊の一途をたどっていると見えなくもない。
しかし、この作品には、そもそも「視点」や「始点」は設定されていないのだ。鑑賞者は、自由に会場内を歩き回って、立ち位置によって微妙に表情を変えていく作品を楽しめばよい。
そして、影も、造形の一翼を担っているのだ。
壁に映り込む作品の影も、鑑賞者の歩行とともに異動していく。

思えば、川上りえの個展では、2001年の「ギャラリーたぴお」でも、会場をフルに生かした空間構成を試みていた。会場を問わずに設置できる作品ではなく、会場の大きさを念頭に置き、全体が会場となるような試行を絶えず続けてきたわけだ。
なんというか、見た瞬間に傑作であることを確信できる作品に出合えるって、幸福だなあと思うのだ。
2010年6月12日(土)~20日(日)10:00am~6:00pm(最終日~4:00pm)、火曜休み
茶廊法邑(さろう・ほうむら。札幌市東区本町1の1)
(この項続く)
□http://riekawakami.net/
■SAG Introduction II (2009年10月)
■交差する視点とかたち vol.3 阿部典英 加藤委 川上りえ 下沢敏也(2009年7月)
川上りえ「ANCIENT SUN」(野外立体作品)
■SAG INTRODUCTION(2008年12月)
■On the wall/Off the wall 山本雄基、西田卓司、川上りえ(2008年9月)
■川上さんの米国滞在報告(08年6月)
■川上さん、米国でレジデンス中(08年4月)
■川上りえ展 Trace of Will(06年)
■米国での個展報告(04年)
■札幌の美術2003 ワークショップ
■札幌の美術2003
■北の彫刻展2002(画像なし)
■水脈の肖像(02年、画像なし)
■川上りえ個展-浸透痕(01年)
■北の創造者たち(2000-01年)
Rie Kawakami Solo Exhibition Illogical Movement
June12-20 2010
at Sarou Homurura
川上りえさんは石狩在住のアーティスト。
主に金属を素材に、パワフルな彫刻、立体作品を手がける。
近年は、精力的に海外のアーティスト・イン・レジデンスに出かけ、平面作品なども制作している。
今回は、法邑主催の企画展らしい。
法邑美智子さんが、この会場にあった新作を-と、川上さんに依頼して実現した個展だ。
札幌のギャラリーでは比較的高い方の天井をフルに生かし、巨大なリング状の立体3点を互い違いに配した。
手前のリングは、完全な輪ではなく、部分的に欠けているが、それがむしろそれぞれの輪に広がりを与えている。
また、それぞれの輪は、直方体の縁だけを組み合わせることで成り立っているのだが、手前の輪よりも奥の輪のようが、直方体が少し崩れてきている。
手前が「出発点」で、奥が時間的に後だと仮定すると、輪は少しずつ崩壊の一途をたどっていると見えなくもない。
しかし、この作品には、そもそも「視点」や「始点」は設定されていないのだ。鑑賞者は、自由に会場内を歩き回って、立ち位置によって微妙に表情を変えていく作品を楽しめばよい。
そして、影も、造形の一翼を担っているのだ。
壁に映り込む作品の影も、鑑賞者の歩行とともに異動していく。

思えば、川上りえの個展では、2001年の「ギャラリーたぴお」でも、会場をフルに生かした空間構成を試みていた。会場を問わずに設置できる作品ではなく、会場の大きさを念頭に置き、全体が会場となるような試行を絶えず続けてきたわけだ。
なんというか、見た瞬間に傑作であることを確信できる作品に出合えるって、幸福だなあと思うのだ。
2010年6月12日(土)~20日(日)10:00am~6:00pm(最終日~4:00pm)、火曜休み
茶廊法邑(さろう・ほうむら。札幌市東区本町1の1)
(この項続く)
□http://riekawakami.net/
■SAG Introduction II (2009年10月)
■交差する視点とかたち vol.3 阿部典英 加藤委 川上りえ 下沢敏也(2009年7月)
川上りえ「ANCIENT SUN」(野外立体作品)
■SAG INTRODUCTION(2008年12月)
■On the wall/Off the wall 山本雄基、西田卓司、川上りえ(2008年9月)
■川上さんの米国滞在報告(08年6月)
■川上さん、米国でレジデンス中(08年4月)
■川上りえ展 Trace of Will(06年)
■米国での個展報告(04年)
■札幌の美術2003 ワークショップ
■札幌の美術2003
■北の彫刻展2002(画像なし)
■水脈の肖像(02年、画像なし)
■川上りえ個展-浸透痕(01年)
■北の創造者たち(2000-01年)
これから見る機会が減るかもしれませんが、よろしくお願いします。