お盆と年末年始恒例の企画小品展。
掲示板でエゾ三毛猫さんが書いていましたが、顔見世興行のようなたのしさがあります。
個人的に気になった、あるいは気に入った作品について。
北山寛明「水玉の幻想」
北山さんは若手日本画家ですが、今回は水玉模様が不規則に描かれたボックスアートです。
関川敦子「温かくて大きな手」
擬人化された動物が活躍するメルヘンチックな版画を制作する札幌の関川さん。とりわけ今回は、さむーい季節にぴったりの心あたたまる作品だと思います。メーンのモティーフは、手をつないでスケートをたのしむホッキョクグマと人間の女の子。うしろでは、ウサギや犬もすべっています。女の子が水色のマフラーにツイード地のズボンをはき、クマがひじ当てのあるセーターを着ている描写や、リンクの背景にリンゴのような実がいっぱいついた大きなツリーが立っていることなど、画面の細部まで気が配られています。青と赤が微妙に入り混じった空の色もきれいで、じつに幸福さを感じさせます。
村本千洲子「昭和の思い出「餅つき」」
魔女のような恐ろしげな顔つきの女性が登場する絵を描く村本さんは、この年末年始の企画展には例年、ちょっと古い時代を克明に描いた作品を出品しています。今回も、もちをつく人たちの背後に、かまどや台所、裸電球、柱時計などがたしかな筆遣いで描かれ、小品とは思えぬ密度の濃い作品になっています。
田村佳津子「あーん」
裏返しにしたサムホールぐらいの小さなキャンバス2つを上下に並べ、その中に犬とバラの写真をコラージュしたもの。キャンバスには、田村さんのいつものふわふわとしたピンク色の模様が描かれています。おもしろいのは、小さなほおずきのような実が、口をあけた犬のすぐ前に吊り下がっていることで、題名とぴたり符合しています。
矢崎勝美「COSMOS」
複雑なプロセスを経て作られる矢崎さんのモノタイプ版画。中央に白い楕円が登場し、斜めに白い線がそれをつらぬいています。
佐藤萬寿夫「小袖の詩」
ガーゼがきもののかたちにコラージュされた、小粋な作品。
柿崎煕「親密な森」
めずらしい平面。赤い字に金色の線が躍り、緑や水色の飛沫が散る、明るい抽象画。
北浦晃「知床・羅臼岳」
あいかわらずクリアで整った山の絵。今回は3人が道内の山を題材にしていますが、高橋英生「初冬の利尻富士」と巖信栄「羊蹄」は、山頂が雲で覆われています。
坂本順子「あ・ら・た」
こちらは、千代紙(広告チラシ?)を火山のかたちにコラージュして箱の中に入れた作品。
山本雄基「想像の箱」
厚みのある支持体に不定形の模様を描いた絵画で昨年の道展協会賞を受賞し、この展覧会にも初登場。今回は約25センチ四方の立方体で、水玉模様が白や灰色のモノトーンになっているのが特徴。
會田千夏「自由研究」
こちらも新鋭。今回は、ちぎられたキャンバスが虫ピンで、標本箱の中に固定されています。キャンバスには植物の根の塊のようなものが描かれています。その下にはごていねいに「学名 和名」と印刷された紙までが、やはり虫ピンで止められており、紙には「眠らないものたち」と記されています。根の塊の上に浮かぶ水玉の描写はさすがに緻密です。
吉田敏子「冬日」
どこか郷愁を感じさせる版画-というイメージが個人的にはあったのですが、今回は、正方形を横にふたつつなげたかたちの抽象作品。青や緑の微妙な移ろいが美しいです。
佐藤潤子「海へ・・・」
いつもは青と白の鮮烈な抽象画を描く佐藤さんですが、今回は赤の字に金のしぶきが飛んで、金色のしめ縄もキャンバスに巻かれて、正月にふさわしい1点となりました。
そのほかの出品作は次のとおり。なにぶん多いため、記載漏れ、題の写し間違いがあったら、ごめんなさい。
江川博「無題」
中野邦昭「遠い日」
斉藤嗣火「立」
渡會純价「Mon Paris」
永井美智子「a Happy Event」
伴翼「移動」
白鳥洋一「金魚」
阿部美智子「ご機嫌なおるすばん」
波田浩司「羽の舞う日」
林亨「眼を閉じて」
原田ミドー「なめらかな果実」
神谷礼子「memory」
内藤克人「内と外 ’05-04」
守矢有里「希望」
武石英孝「鷹の爪」
川上りえ「Silent Moon」
中田やよひ「髭の神父」
高澤のり子「女の人」
毛内やすはる「うずまき」
前川アキ「水に、点く炎」
藤野千鶴子「宙-天使25時」
岸本裕躬「コムラサキ」
八木伸子「ばら」
岩本勝美「厳冬昇陽」
折登朱実「雪の教会」
末永正子「旦」
佐々木徹「対話する0と1」
中吉功「小さな花」
下田敏泰「ふくろう」
森山誠「白い花瓶」
近藤健治「初冬の赤大根の花」
金子辰哉「赤の思ひ」
谷口一芳「シマフクロウ」
上野仁櫻「赤い花」
香西富士夫「はな」
工藤悦子「酔花」
川本ヤスヒロ「建物(長崎にて)」
毛内康二「赤いバラ」
山内敦子「お正月」
林田理榮子「チワワ」
佐々木けいし「緬(べん)」
荒井善則「Soft Landing to Season」
八木保次「迎春」
金子直人「YURARI KIRARI」
香取正人「石狩河口」
米澤榮吉「バラ」
府川誠」「ワン・ツウ」
藤本和彦「標本「リン」」
浅野天鐘「梅」
吉田茂「synchronisity「始め」」
友野直実「05-移ろい」
阿部典英「イヌくんとイヌさん」
米谷雄平「さうすぽいんと-05X」
桜井マチ子「お姫様はワ・タ・シ」
泉修次「06おみくじBox」
加藤宏子「continumII」
阿智阿地信美智「(有)カガミモチ製造」
大滝憲二「環」
12月20日-1月8日
さいとうギャラリー(中央区南1西3、ラ・ガレリア5階 地図B)
掲示板でエゾ三毛猫さんが書いていましたが、顔見世興行のようなたのしさがあります。
個人的に気になった、あるいは気に入った作品について。
北山寛明「水玉の幻想」
北山さんは若手日本画家ですが、今回は水玉模様が不規則に描かれたボックスアートです。
関川敦子「温かくて大きな手」
擬人化された動物が活躍するメルヘンチックな版画を制作する札幌の関川さん。とりわけ今回は、さむーい季節にぴったりの心あたたまる作品だと思います。メーンのモティーフは、手をつないでスケートをたのしむホッキョクグマと人間の女の子。うしろでは、ウサギや犬もすべっています。女の子が水色のマフラーにツイード地のズボンをはき、クマがひじ当てのあるセーターを着ている描写や、リンクの背景にリンゴのような実がいっぱいついた大きなツリーが立っていることなど、画面の細部まで気が配られています。青と赤が微妙に入り混じった空の色もきれいで、じつに幸福さを感じさせます。
村本千洲子「昭和の思い出「餅つき」」
魔女のような恐ろしげな顔つきの女性が登場する絵を描く村本さんは、この年末年始の企画展には例年、ちょっと古い時代を克明に描いた作品を出品しています。今回も、もちをつく人たちの背後に、かまどや台所、裸電球、柱時計などがたしかな筆遣いで描かれ、小品とは思えぬ密度の濃い作品になっています。
田村佳津子「あーん」
裏返しにしたサムホールぐらいの小さなキャンバス2つを上下に並べ、その中に犬とバラの写真をコラージュしたもの。キャンバスには、田村さんのいつものふわふわとしたピンク色の模様が描かれています。おもしろいのは、小さなほおずきのような実が、口をあけた犬のすぐ前に吊り下がっていることで、題名とぴたり符合しています。
矢崎勝美「COSMOS」
複雑なプロセスを経て作られる矢崎さんのモノタイプ版画。中央に白い楕円が登場し、斜めに白い線がそれをつらぬいています。
佐藤萬寿夫「小袖の詩」
ガーゼがきもののかたちにコラージュされた、小粋な作品。
柿崎煕「親密な森」
めずらしい平面。赤い字に金色の線が躍り、緑や水色の飛沫が散る、明るい抽象画。
北浦晃「知床・羅臼岳」
あいかわらずクリアで整った山の絵。今回は3人が道内の山を題材にしていますが、高橋英生「初冬の利尻富士」と巖信栄「羊蹄」は、山頂が雲で覆われています。
坂本順子「あ・ら・た」
こちらは、千代紙(広告チラシ?)を火山のかたちにコラージュして箱の中に入れた作品。
山本雄基「想像の箱」
厚みのある支持体に不定形の模様を描いた絵画で昨年の道展協会賞を受賞し、この展覧会にも初登場。今回は約25センチ四方の立方体で、水玉模様が白や灰色のモノトーンになっているのが特徴。
會田千夏「自由研究」
こちらも新鋭。今回は、ちぎられたキャンバスが虫ピンで、標本箱の中に固定されています。キャンバスには植物の根の塊のようなものが描かれています。その下にはごていねいに「学名 和名」と印刷された紙までが、やはり虫ピンで止められており、紙には「眠らないものたち」と記されています。根の塊の上に浮かぶ水玉の描写はさすがに緻密です。
吉田敏子「冬日」
どこか郷愁を感じさせる版画-というイメージが個人的にはあったのですが、今回は、正方形を横にふたつつなげたかたちの抽象作品。青や緑の微妙な移ろいが美しいです。
佐藤潤子「海へ・・・」
いつもは青と白の鮮烈な抽象画を描く佐藤さんですが、今回は赤の字に金のしぶきが飛んで、金色のしめ縄もキャンバスに巻かれて、正月にふさわしい1点となりました。
そのほかの出品作は次のとおり。なにぶん多いため、記載漏れ、題の写し間違いがあったら、ごめんなさい。
江川博「無題」
中野邦昭「遠い日」
斉藤嗣火「立」
渡會純价「Mon Paris」
永井美智子「a Happy Event」
伴翼「移動」
白鳥洋一「金魚」
阿部美智子「ご機嫌なおるすばん」
波田浩司「羽の舞う日」
林亨「眼を閉じて」
原田ミドー「なめらかな果実」
神谷礼子「memory」
内藤克人「内と外 ’05-04」
守矢有里「希望」
武石英孝「鷹の爪」
川上りえ「Silent Moon」
中田やよひ「髭の神父」
高澤のり子「女の人」
毛内やすはる「うずまき」
前川アキ「水に、点く炎」
藤野千鶴子「宙-天使25時」
岸本裕躬「コムラサキ」
八木伸子「ばら」
岩本勝美「厳冬昇陽」
折登朱実「雪の教会」
末永正子「旦」
佐々木徹「対話する0と1」
中吉功「小さな花」
下田敏泰「ふくろう」
森山誠「白い花瓶」
近藤健治「初冬の赤大根の花」
金子辰哉「赤の思ひ」
谷口一芳「シマフクロウ」
上野仁櫻「赤い花」
香西富士夫「はな」
工藤悦子「酔花」
川本ヤスヒロ「建物(長崎にて)」
毛内康二「赤いバラ」
山内敦子「お正月」
林田理榮子「チワワ」
佐々木けいし「緬(べん)」
荒井善則「Soft Landing to Season」
八木保次「迎春」
金子直人「YURARI KIRARI」
香取正人「石狩河口」
米澤榮吉「バラ」
府川誠」「ワン・ツウ」
藤本和彦「標本「リン」」
浅野天鐘「梅」
吉田茂「synchronisity「始め」」
友野直実「05-移ろい」
阿部典英「イヌくんとイヌさん」
米谷雄平「さうすぽいんと-05X」
桜井マチ子「お姫様はワ・タ・シ」
泉修次「06おみくじBox」
加藤宏子「continumII」
大滝憲二「環」
12月20日-1月8日
さいとうギャラリー(中央区南1西3、ラ・ガレリア5階 地図B)