
(承前)
ギャラリー門馬から次に行く予定のpecoranera(ペコラネラ)へは歩いて15分ほどと、事前にしらべていたので、歩くつもりでいたのですが、旭丘高校前の停留所まで来たらバスがやって来たので、乗ることにしました。
間違えて「南6条西25丁目」で降車(ほんとは「南7条西25丁目」のほうが近い)。
ペコラネラで「フィルム」と題された写真展を見ました。
総じていえば、単にフィルムで撮影した写真がならんでいるだけではなく、プリント手法もバラエティーに富んでいる4人展でした。
いま、そのときのメモを見ているのですが、どなたの作品であるのか明記されていないので、間違えるような気がします。どうぞ、指摘をお願いします。
岩田裕子さんは、一輪車がモティーフのモノクロ連作「Pedal's pulce」と「Sans Titre」。
一輪車大会のリハーサルで、許可をもらってシャッターを切ったそうです。
とくに窓に貼ってあった作品は、ろう引きした和紙にクッキングペーパーを重ねてアイロンで熱したものにプリントしており、熱でろうが溶けるため、半透明になるのだそうです。
2枚重ねてあるのもあって、影絵のような幻想性やレトロなたたずまいを感じました。
民家を改装したペコラネラという会場の雰囲気にぴったりです。
岩田さんの愛機はNikonのFM2。
電池不要のオールメカニカルで、ピント合わせも手動のフィルムカメラですが、いまも現役で発売されているという、ニコンの意地のようなものを感じさせる名機です。
(筆者はむかしニコンのFAを使っていて、手動ピント合わせの機種だったので、雰囲気は分かります)
おもしろいのは、jobin.さんが一輪車を題材にした針金のモビールが天井からつり下がっていたこと。
昔から会場にあったのかなあと思っていたら、実はこの展覧会のために、jobin.さんに特注したということでした。

ペンタックスのカメラを使っているという牧恵子さんは、カラー写真21枚を並べました。
プリントの大小もさまざまです。
散歩する犬、電車、夜の街、印鑑の古い店構えなど、気取らないスナップは、見ていてほっとします。
ほとんどは道内で撮った写真ですが、電車内の1枚だけは道外とのこと。
「かえりみち なにをおもう」という題にぴったりの雰囲気で、どこかトイカメラのような感じもあります。
三好めぐみさんのコーナーで目を引くのが、「サイアノタイプ」という技法でプリントされた写真の数々です。
これは「日光写真」と同じように、光に5~10分ほど当てると像が浮き出てくるというもの。
モノクロ写真をスキャンして、白黒反転させてOHPフィルムにプリントしたものを、面の布に薬剤を塗布して光を当て、作品化しました。
卓上の扇風機や窓辺の風景など、青い色合いの不鮮明なイメージを見ていると、森山大道さんがたしか「写真は時間を化石化したものだ」というようなことを言っていたなあ―などと思い出します。
右上にある、札幌市資料館の裏庭を撮った一枚は、プリントした後にタンニン(茶などに含まれている)に浸したため、色合いが薄くなっています。
猪子珠寧さんは4人のなかで唯一、自宅に引きのばし機があるそうです。
いちばん大きな作品「夕暮れ 人が鳥に変わる時間」は、壁に投影して焼いたプリントを9枚つなげた作品。
札幌の大通公園を会場に開かれるさっぽろ雪まつりで、フリースタイルスキーやスノーボードのパフォーマンス用に雪の斜面が造成されますが、その解体作業現場で足場がぼんやりと写っています。
全体としてはややピンボケですが、かえってたそがれ時のはかなげな雰囲気が感じられます。
ほかにも、観覧車や、人の手、子どもなどを、心象風景ふうにとらえたモノクロ写真がならんでいます。
猪子さんのライカを見せてもらいましたが、一眼レフでなく古いレンジファインダーなので、ピント合わせが大変そう。露出計もついていないので、撮影自体が難しそうです。
4人は富士フイルムのカメラ講座(もちろんデジタルカメラ)で知り合った仲間で、そのうちオールドレンズやフィルムカメラにハマりはじめたといいます。
昨年、pecoranera での展示を見たときから「展覧会はここで」と思っていたとのことで、4人の表情には充実感がみなぎっているようでした。
2017年10月19日(水)~22日(日)正午~午後8時(最終日午後6時)
peconecora ペコラネラ(札幌市中央区南6西23)
関連記事へのリンク(三好さんが出品)
■小樽・鉄路・写真展 (2017年8~9月)
ギャラリー門馬から次に行く予定のpecoranera(ペコラネラ)へは歩いて15分ほどと、事前にしらべていたので、歩くつもりでいたのですが、旭丘高校前の停留所まで来たらバスがやって来たので、乗ることにしました。
間違えて「南6条西25丁目」で降車(ほんとは「南7条西25丁目」のほうが近い)。
ペコラネラで「フィルム」と題された写真展を見ました。
総じていえば、単にフィルムで撮影した写真がならんでいるだけではなく、プリント手法もバラエティーに富んでいる4人展でした。
いま、そのときのメモを見ているのですが、どなたの作品であるのか明記されていないので、間違えるような気がします。どうぞ、指摘をお願いします。

一輪車大会のリハーサルで、許可をもらってシャッターを切ったそうです。
とくに窓に貼ってあった作品は、ろう引きした和紙にクッキングペーパーを重ねてアイロンで熱したものにプリントしており、熱でろうが溶けるため、半透明になるのだそうです。
2枚重ねてあるのもあって、影絵のような幻想性やレトロなたたずまいを感じました。
民家を改装したペコラネラという会場の雰囲気にぴったりです。
岩田さんの愛機はNikonのFM2。
電池不要のオールメカニカルで、ピント合わせも手動のフィルムカメラですが、いまも現役で発売されているという、ニコンの意地のようなものを感じさせる名機です。
(筆者はむかしニコンのFAを使っていて、手動ピント合わせの機種だったので、雰囲気は分かります)
おもしろいのは、jobin.さんが一輪車を題材にした針金のモビールが天井からつり下がっていたこと。
昔から会場にあったのかなあと思っていたら、実はこの展覧会のために、jobin.さんに特注したということでした。

ペンタックスのカメラを使っているという牧恵子さんは、カラー写真21枚を並べました。
プリントの大小もさまざまです。
散歩する犬、電車、夜の街、印鑑の古い店構えなど、気取らないスナップは、見ていてほっとします。
ほとんどは道内で撮った写真ですが、電車内の1枚だけは道外とのこと。
「かえりみち なにをおもう」という題にぴったりの雰囲気で、どこかトイカメラのような感じもあります。

これは「日光写真」と同じように、光に5~10分ほど当てると像が浮き出てくるというもの。
モノクロ写真をスキャンして、白黒反転させてOHPフィルムにプリントしたものを、面の布に薬剤を塗布して光を当て、作品化しました。
卓上の扇風機や窓辺の風景など、青い色合いの不鮮明なイメージを見ていると、森山大道さんがたしか「写真は時間を化石化したものだ」というようなことを言っていたなあ―などと思い出します。
右上にある、札幌市資料館の裏庭を撮った一枚は、プリントした後にタンニン(茶などに含まれている)に浸したため、色合いが薄くなっています。

猪子珠寧さんは4人のなかで唯一、自宅に引きのばし機があるそうです。
いちばん大きな作品「夕暮れ 人が鳥に変わる時間」は、壁に投影して焼いたプリントを9枚つなげた作品。
札幌の大通公園を会場に開かれるさっぽろ雪まつりで、フリースタイルスキーやスノーボードのパフォーマンス用に雪の斜面が造成されますが、その解体作業現場で足場がぼんやりと写っています。
全体としてはややピンボケですが、かえってたそがれ時のはかなげな雰囲気が感じられます。
ほかにも、観覧車や、人の手、子どもなどを、心象風景ふうにとらえたモノクロ写真がならんでいます。
猪子さんのライカを見せてもらいましたが、一眼レフでなく古いレンジファインダーなので、ピント合わせが大変そう。露出計もついていないので、撮影自体が難しそうです。
4人は富士フイルムのカメラ講座(もちろんデジタルカメラ)で知り合った仲間で、そのうちオールドレンズやフィルムカメラにハマりはじめたといいます。
昨年、pecoranera での展示を見たときから「展覧会はここで」と思っていたとのことで、4人の表情には充実感がみなぎっているようでした。
2017年10月19日(水)~22日(日)正午~午後8時(最終日午後6時)
peconecora ペコラネラ(札幌市中央区南6西23)
関連記事へのリンク(三好さんが出品)
■小樽・鉄路・写真展 (2017年8~9月)
(この項続く)