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北海道美術ネット別館

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■岡田敦 写真展 <ataraxia>=12月25日まで 09Nov・東京(9)

2009年12月15日 21時39分54秒 | 道外で見た展覧会
承前
 
 展覧会タイトルは「ataraxia OKADA Atsushi Photo Exhibition」。
 岡田さんは、札幌の高校を卒業した後、上京。2002年、富士フォトサロン新人賞で鮮烈なデビューを果たし、昨年の木村伊兵衛賞(写真の芥川賞といわれる)を受賞した。
 富士フォトサロン札幌で最初に写真展を見たときの衝撃は忘れられない。

 その後、岡田さんは、リストカットした少女などを被写体とした写真集を発表。ヒリヒリした空気感は、とても「切実」とか「必死」という程度のことばでくくるにはものすごく生々しくて、筆者のような心弱い人間は目をそむけたくなってしまうほどだった。

 ところが、今回は一転して、心やすらぐ世界が展開されている。
 雪の積もった北の岸辺。
 水面に浮かぶ女性のロングショット(有名なミレイの絵「オフィーリア」よりも、女性が小さくて水面が広い)。
 深い森…。
 しかし、いわゆるネイチャーフォトではないし、といって、「癒やし系」と片付けてしまうには、奥深さをたたえているように思う。
 点景人物のモデルは、これまでもコラボレーションをしてきた女性歌人・伊津野重美さんの由だ。
 「アタラクシア」とは、ギリシャ語で、平静な心の状態というような意味だという。

 岡田さんは、筆者あてのメールでつぎのように記していた。

物質的にも肉体的にも満たされた状態の結末が『I am』であるのならば、
『ataraxia』はこれからの日本人が目指すべき心の在り方なのかなと考えています。

これまで僕の作品を見てくれていた人たちにとっては、一見作風が変わったように見えるかもしれませんが、僕の中では、『I am』という作品をふまえたうえで、
より高度な精神的次元で作品をつくることが出来たかなと思っています。

  (以上引用。岡田さんの許可を得て引用しています)

 作品の多くは、最近は絵画でもあまり使わないような豪華な額縁におさめられていた。

 ひりひりと痛む心が、そのいちばん深部で、うつくしい祈りのように治癒され、澄み始めている…。
 そんな印象を持った。

 来年の年初に、同名の写真集が、青幻舎から発売される予定だ。


この項続く

2009年11月19日(木)~12月25日(金)11:00~8:00(会期中無休)
ビームスジャパン(東京都新宿区新宿3-32-6)6階 Bギャラリー

□公式サイト http://www2.odn.ne.jp/~cec48450/
□I kiss the world by taking the photograph OKADA Atsushi - Information http://okadaatushi.blog115.fc2.com/

□デジカメWatchの記事(参考)
http://dc.watch.impress.co.jp/docs/culture/exib/20091208_334181.html
□赤赤社(写真集出版)のブログ(参考)http://pub.ne.jp/akaaka/?entry_id=2560082

岡田敦さんが木村伊兵衛賞を受賞(2008年)
富士フォトサロン新人賞2002発表展



・新宿駅から徒歩5分(ルミネ口より南口のほうが早い)
・地下鉄(東京メトロ)丸ノ内線・都営地下鉄副都心線「新宿三丁目」駅から徒歩2分
・都営地下鉄副都心線「新宿三丁目」駅 C1出口から徒歩3分


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