goo blog サービス終了のお知らせ 

北海道美術ネット別館

アート、写真、書など展覧会の情報や紹介、批評、日記etc。毎日更新しています

■中橋修水彩画展 遙かなる風 (2018年5月28日~6月3日、札幌)

2018年06月01日 21時07分20秒 | 展覧会の紹介-絵画、版画、イラスト
 札幌の美術作家、中橋修さんが、立体造形やインスタレーションから平面に回帰してから、3年目で3度目となる個展。
 いわゆる透明水彩のイメージを裏切るような抽象画で、シンプルな小品ながら深みをたたえた作品15点が並ぶ。

 冒頭画像は、本人が「月シリーズ」と呼んでいる一連の作品で、ある意味、シンプルの極みの構図。
 左手前は「横たわる山」。 
 筆者の目には夜の洞爺湖のようにも見えるが、もちろん、特定の場所を描いた風景画ではない。
 たぶん、見た人それぞれに、異なる場所に見えるのだろう。

 暗い中に折り重なる山は、中橋さんは「横臥する人物も意識した」とも話す。

 それと同時に、5年前に本郷新記念札幌彫刻美術館で開いた個展の告知記事の中で「ドナルド・ジャッドの立体が、取りつく島もないのにくらべ、どこか人生とかかわりあうあたたかみを感じさせます。」と書いたとおり、「ひとつ山を越えると、また山並みが前方にある」という世界観は、むしろロマン派的な心象を感じさせる。
 ここにあるのは、超越性や旅へのあこがれだともいえるだろう。
 ミニマルアートとは出発点からして異なるのだ。

 右隣は「ホワイトホール」。
 何度もグラデーションをかけて、色の深みを出した絵であることがわかる。


 上記の絵が、慎重に構図を考えた作品であるのに対し、即興的に制作した作品もある。

 2枚目の画像、「ざわめく知らせ」(左)や「揺らぎ」がそのタイプの作品。「揺らぎ」は、黒の太い線が中途で途切れ、前衛書道のような自由さを感じさせる。

 白い空間に1本の杭とその影を描いたようにも見える「道標」は、かつて白いアクリル板を使って影を主人公に据えた中橋さんの立体作品をほうふつとさせる。
 立体から平面へ、中橋さんのフィールドは一見大きく変化したように見えて、本人の中ではずっとつながっている部分が多いのである。


 「今後、新しい展開になるかも」
と作者が言うのが、「伝言」のシリーズで、今回は3点出ている。
 手紙や文字列のように見えて、文字は書かれていない。
 そこにどんな文を読み取るかは、鑑賞者にゆだねられている作品だ。

 中橋さんは、来年6月にもおなじ会場で個展を開く予定。


 出品作はほかに
「彷徨」「山の向こう」「出会い」「旅路」「清澄」「光明」


2018年5月28日(月)~6月3日(日)午前10時(初日正午)~午後6時(最終日~5時)
らいらっく・ぎゃらりい(札幌市中央区大通西4 北海道銀行本店)
※大通公園側から、南北を貫く通路に入ってすぐ。

□ART WORKS NAKAHASHI http://nakakana25.server-shared.com/index.html



過去記事へのリンク
遥かなる風 中橋修水彩画展 (2017)

中橋修水彩画展 遥かなる風 (2016年8、9月)
街 Crossing 中橋修×本田滋 (2016年6月)

第15回あなたと育てたい北区のアーティスト展 (2013、画像なし)
中橋修展―内包― (2013)
【告知】中橋修展

【告知】中橋修展 内包-呼応する場- (2012)
中橋修「内包~ここにいる~時と場と人の内に包まれて今ここにいる~」 ハルカヤマ藝術要塞
【告知】中橋修展 内包-ここにいる-時と場と人の内に包まれて 今 ここにいる (2011年)
【告知】中橋修の内包 -K HOUSEにて-「個人住宅内を作品との共振空間へ変容させる8日間」 (2011年4月)

500m美術館(2010年11~12月)

いすのゆめ (2009年11月)
中橋修展 内包-連鎖-(2009年)

第10回 あなたと共に育てたい北区のアーティスト展(2008年11月、画像なし)
はしご展(2008年9、10月)
中橋修展 内包-何処へ-(2008年7月)
ARTIST WEEK vol.1 air(08年6月)

中橋修展 内包-内にあるもの black&blue (07年6月)

中橋修展「内包」-内にあるもの-(2006)

「内包」-内にあるもの- 中橋修展 (2004)

中橋修展『内包』 -包み込まれた記憶-(2003)

第1030回市民劇場 奏でる音と立体の響き (2002、画像なし)
中橋修展 UNIT black&blue (2002)

中橋修個展 (2001、画像なし)





最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。