線翔庵日記



おまつり、民謡、三絃、名水、温泉、酒、そして音楽のこと…日々感じたことを綴ります。

出雲崎おけさ

2008年06月12日 16時13分12秒 | 民謡
いろいろな民謡があるなかで、わたくしが好きな唄の一つ、新潟県の出雲崎おけさは、おもしろい唄だ。

地元でどう歌われているのかはよく把握していないが、いろいろな音源があるなかで、テンポも速めなもの、ゆったりとしたもの、いろいろある。特に、この唄がおもしろいのは、前半を囃して後半を普通の節でまとめる「囃子唄」だ。

○オーヤオヤオヤ 
 海の出雲崎ちょいと来て見やれ 春は鰯で大漁の浜よ 
 夏は小鯛で舌鼓 秋は秋鯖嫁には内緒 
 冬は鱈の味噌汁ソーレ 雪見酒

○オーヤオヤオヤ
  越後出雲崎良寛様は 破れ衣に鉄鉢持ちて 子ども集めて毎日日々
  手毬つくやらかくれんぼ 鬼にされてもその身は仏
  仏心にソーレ 鬼はない

○オーヤオヤオヤ
  柏崎ゃ閻魔さんで 出雲崎ゃ良寛さん そのまた下の
  野積弘智法印人間陰干し あたり近所のじいさん ばあさん 
  青竹杖突き 握り飯かついで
  あれが仏さんだとソーレ 言うて詣る

また、囃子だけのもある。

○オーヤオヤオヤ
  海の出雲崎魚の本場 とれる魚は何やと聞けば
 大鯛 女鯛 鮭にカマスに鮟鱇にひらめ
  まだもあります 八百八品
 穴子の浜焼きゃ コイツァマタ うンまいな

○オーヤオヤオヤ
  七尾の蚊帳をば八つにたたんで 質屋に入れた 
  質屋じゃ利子が食う 家に来ちゃ蚊が食う
  下から蚤が食うて あっちょてかよて 寝らんね

また、字余りもおもしろい。

○色で身を焼く 八百屋のお七 小粧の吉佐 
 京で島原 東海道は五十と三次 大阪新町 
 江戸で吉原 花魁書いたる 手拭いが流行るノ
 兄んにゃサ 買うてくりゃれ 村でないのはソーレ わし一人

ただ、あまり一般的な音源には入ってないのが惜しい。

最近、出雲崎町から「出雲崎おけさ」CDが出たということで、早速通販で買ってみた。
 
 内容は ①普及用出雲崎おけさ ②小町南山の出雲崎おけさ ③お船唄  ④西越おけさ である。

 ①の普及用は、かなりテンポが速く面白い。三味線の手は、わたくしが知ってるバージョンよりも、限りなく「ハイヤ節」的で、明るい感じだ。一方、②は、なかなか渋く、出だしも低い調子ではなく、高音から入ってくる。囃子方も少しちがっていた。
 よくある囃子唄もロングバージョンで、

○オーヤオヤオヤ 
  海の出雲崎ちょいと来て見やれ 春は鰯で大漁の浜よ 夏は小鯛 
  てぐりで小鯛の塩焼き あまでのあんかけ アソーレ 
  鯛の刺身でひらめの煮付け 秋は秋鯖嫁には内緒 
  冬は鱈の味噌汁ソーレ 雪見酒

であった。何となく「旦那芸」的な雰囲気を感じさせるおもしろいテイクだ。

しかし!わたくし、出雲崎おけさについては、もっともっとおもしろい「囃子唄」の入ったテイクが聴きたいなーと思う。普及用もいいが、地元ならではの楽しい感じのものを期待する。
コメント
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