線翔庵日記



おまつり、民謡、三絃、名水、温泉、酒、そして音楽のこと…日々感じたことを綴ります。

能生白山神社春季例大祭

2009年04月24日 22時07分52秒 | おまつり
4月24日。新潟県糸魚川市能生の白山神社春季例大祭の日だ。学生時代より通っている。昨年は雨天のため延期となり、2年ぶり18回目の訪問だ。

朝、3:30起床、午前4:00には上田を出発した。今回は北陸自動車道を使って新潟を目指す。
早朝は自動車も少なく、快適!
…しかし、何とエンプティランプがつき始めた!んん~高速でガス欠ではまずい!だがスタンドもない~っと、やむを得ず上越I.C.で下りる。
しかし、朝5:30の上越はさすがにスタンドも開いていない。困った…。ようやく国道8号線に出るものの、開いてない。24時間はないかな?と、うろつくと、ようやく発見!ただしセルフだ。実はセルフ初体験、手順にそってチャレンジ。

さてガソリンの心配もなくなり、国道8号線で能生まで進む。
白山神社駐車場に着いたのは午前6:20頃。今年はいい天気だ。

まず立ち寄る場所がある。自分が世話になった楽人会の、亡くなられた元楽長さんのお宅。もう何年になるだろうか。奥様がお元気でおられ、毎年お線香をあげさせていただいている。今年も祭りに来た…という実感のわくひとときである。

行列の出る区民会館へ行く。出発は午前7:30だ。懐かしい顔が見える。自分があいさつすると、みんな笑顔でむかえてくれる。能生はそんな場所だ。

いよいよ「三番貝」というホラ貝で出発だ。
町内をゆっくりと進む。今年も5人のかわいらしい稚児たちのお目見えだ。

神社につくと、総代さんの「迎え太鼓」が鳴る境内で、獅子方連中がお出迎え。
着くと、一連の行事「修祓」、神使による「七度半の使い」が行われ、いよいよ獅子舞が始まるのが午前9:00頃だ。

この獅子の出る瞬間がなかなかいい。はじめは「眠り」で、音がしないなか静かにしている。そして、笛と太鼓が入り、長々とした「御神嚮(ごじんこう)」の始まりだ。

それほど広くもない境内を、獅子の舞を先頭に、3基の神輿、肩車された稚児、旗指物等が続く。延々と進むが、遅々とした歩みだ。

ビデオやデジカメを撮りながら、午前11:00過ぎまで見たところで、早昼食。いつも決めているラーメンを食べる。能生の超有名店「あさひ楼」だ。

さてチャーシューめんをすすって、再び境内へ戻る。12:30頃には「お走り」の予定だ。しかし、どことなく遅れている感じ?先頭の獅子の舞が終わったのが12:30頃だった。これから、前半のクライマックス「お走り」になる。これは神輿につくある社人に神様が「のる」と、ヤァ~っという声とともに走り始める。すると、行列全体が、一気に走り始め、最後は楽屋脇の御旅所に駆け込むのだ。

さて、その後「供餞進」「黙礼式」などの諸行事の後、いよいよ「舞楽」となる。
予定では13:00だが、結局1時間遅れの14:00頃の始まりだった。

まず《振舞》だ。稚児2人舞。

やはり可憐でいい舞だ。
以下、《総礼》《童羅利》《地久》と稚児舞が続く。

そして大人の舞《能抜頭》となる。

だんだん盛り上がってくる舞楽の饗宴。
舞楽前半の最大演目《泰平楽》が始まる。長い壮大な舞は、なかなか迫力がある。

さて、後半は大舞の《納蘇利》。これは大人2人舞。双龍の舞ともいわれ、2人の呼吸が大事な舞である。

境内に人が集まる。《弓法楽》は、弓を持ち矢を背負った4人の稚児たちは、華麗に舞いながら、最後に矢を放つ。それを拾うのが目的である人たちで盛り上がる。

さて《児抜頭》。稚児の最年長、一の戸のみのソロの舞。非常に美しい舞だ。
今年の祭りは、曇っていて、風も冷たい状況であったが、この《児抜頭》が始まったら不思議なことに日が差してきた。雲間に夕日が現れたのである。

そして稚児舞最後の舞《輪歌》だ。手に花を持ち、優雅に舞う。これまた可憐な舞だ。この舞のみ、橋がかりを舞いながら退場する。最後ということもあって、参会者からは「がんばれ!」という励ましの声が飛ぶ。


そして舞楽最後の演目《陵王》となる。《輪歌》とは切れ目なしで続く。稚児の最後の子が入ると、別な歓声がわく。全身真っ赤な《陵王》が登場する。この舞も橋がかりでゆっくりと舞いながら舞台に向かう。


この舞は橋がかりでの部分がほとんど。舞台に出るまで、かなりの時間がかかる。
舞台に出ると、西に沈む夕日を招くという「日招きの手」という所作で前半が終わる。


後半は、本来の舞楽にはない「カラストビ」「チドリガケ」といった修験のにおいのする所作がある。観客からは「ドーオンヒトーフッタミッツヨッツ…」といった唱歌(しょうが)を唱える声が聞こえる。それだけ能生の人たちには根付いている舞だ。

そして、ふたたび舞台から橋がかりでの舞になる。独特なリズムに乗って舞う。
楽屋に近付くと、なかなか入らない。手に榊をもった観客が「ウォ~」っと橋がかりを打ち付ける。それは「まだ入るな!」というサインだ。
橋がかりには総代と楽長が出て、陵王の入りを迎える。これまたいつ入るか分からない。そして「のった」状態になると、抱きかかえられるように楽屋へ飛び込む。

すると、橋がかりの途中が外され、そこを御旅所から3基の神輿が走りながら担ぎ出され、拝殿へ向かう。そして神が降ろされると、再び御旅所へ戻される。このとき担ぎ手も参会者からも「ヤッショーイ!ヤッショーイ!」という声とともに、神輿をもみ上げる。

こうして舞楽が終わる。

そしてふたたび静かになった境内では、稚児が肩車され、下社となり、体育館まで向かう。最後まで、獅子方連中の元気な動きとともに走りながら、下り、終わりとなる。

ああ…また終わってしまった。
これで1年間、早く祭りにならないかな…という思いで、白山神社の祭りの余韻を味わいつつ、自動車へ戻った。
コメント (2)
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