最近のスイカと向き合う世間の姿勢は冷たい。
昔はあんなにチヤホヤしたくせに。
あんなにみんなで楽しんだくせに。
夏ともなれば一度はスイカ割りをしたじゃないですか。
重いのはわかっているのに「わー、重い!」と言って楽しんだじゃないですか。
あんなに楽しかったスイカ、あんなに嬉しかったスイカ、あのスイカにいま世間はどういう態度を示しているのか。
バラバラにしてしまった
カケラにしてしまった。
そしてそれらをあんな小さなプラスティックの容器に閉じ込めてしまった。
夏休みの思い出の一つを、小さな容器に閉じ込めてフタまでしてしまった。
恩を仇で返すとはこのことではないか。
スイカの魅力は何といっても、あの馬鹿でかい大きさにある。
スイカを見て憎らしく思う人は多分いないと思う。
その体格、風貌からみても多分バカでかいという理由で偏差値は低いと思う。
だから体育会系の王様である。
だがスイカはいまやほとんどバラバラの姿でしか世間に姿を現さない。
あの容器の中のスイカがすべて同一人物(同一スイカ)とは限らないのではないか。
スイカをカットする人、パックに詰める人は別になっていて、同一のスイカが同一のパックに詰めてあるとは限らない。
パックの中はおそらく様々な個体が入り混じっているはずだ。
つまりスイカは「個の時代」からいつのまにか「グループの時代」に移り変わっていたのだ。
ここで歌手の世界に目を転じてみよう。
かつて歌手は一人で歌うものだと思われていた。
美空ひばりがそうだったし舟木一夫もそうだった。
島倉千代子も橋幸夫も一人で歌っていた。
現状はどうか。
ジャニーズ、AKB48、乃木坂46など…
つまり個では売らずにバラバラにバラして売るバラ売りをするようになった。
スイカはバラして売ると、おいしいとことおいしくないとこを混ぜて売ることができる。
歌手もそういう時代になったのでしょうかねぇ…とは言ってませんよ。