主婦は食材の買い出しにスーパーへ出向く。
休日の店内はいつもよりカートの利用者が多く、また人出も多いので混雑する。
そこには普段見かけない、奥さんと一緒にやってきた、荷物持ちとしての役目を担った沢山のお供じじの姿があった。
そんな混雑のなかでお供のじじは、どうしてこんなところでと言いたくなるような、とっても邪魔になる場所でボーッと立っている。
じじと同年配のばばたちは、カートを押しながらやってきて、動こうとしないお供じじに向かって言う。
「そこに立たれると、みなさんの迷惑ですよ」とばばが大きな声を出すと大慌てで通路の隅に避けるのだった。
お供じじの奥さんは、夫が置かれた状況に気が付き「やあねえ、もう」、と怒った。
ばばにも妻にも怒られ、お供じじは悲しそうな顔をして、カートを押していく奥さんの後をトボトボと歩いていく。
普段から買い物をしているじじなら、勝手が分かっているので邪魔になる場所でボーッと突っ立ったりはしない。
棒立ちになるじじは、スーパーのような場所にも買い物にも慣れていない。
それでも人の流れを見ていたら、そこで自分が邪魔になるかならないかはわかるだろう。
それがわからないのが大問題なのだ。
怒られてビックリして場所を変えると、またそこで邪魔になったりして、通路の全体的な流れを把握できない。
棒立ちのお供じじは荷物持ちなので妻と一緒にレジに並ぶ必要がないので、レジの後ろで立っている。
精算を済ませ、買い物カゴにタップリ二つ分の買い物をマイバックに詰め終えると、お供じじは両手にバックをぶら下げて、奥さんの後ろをついていく。
お供じじの後姿は、女王様と最下層の下僕といった感じでとても哀れであった。