トルコ1日目
トルコ航空の機内サービスは、航空会社及び空港サービスの利用者評価の調査機関であるSkytraxにより、栄えある「ベストエアライン・ヨーロッパ 2011」に選出されているだけあって、他の歴史あるヨーロッパ系エアラインに何ら見劣りしないものだった。
搭乗時にはスリッパやアイマスク入りのアメニティグッズが手渡され、エンタメ・メニューが充実したパーソナルモニターも完備で、長時間に渡るフライトの退屈さも難なく凌げた。機内食も水準以上のものだったと思うが、なぜか配られたメニューリストが往復路共に、実際のメニューとは違っていた。どうしてだろう?
1日目の宿泊先、カヤ・ラマダ・プラザホテルのロビー
トルコ随一の商都イスタンブールにある、トルコ共和国建国の父アタチュルクの名を冠した空港に、私達を乗せた飛行機はほぼ定刻通りに到着。同時刻に到着した便が多かったのか、非トルコ人向けのパスポート・コントロールは大混雑だったしかし、入国に心配したほどの時間はかからず、空港内の銀行で日本円からトルコリラへの両替を済ませ、バスで宿泊先のホテルへと向かった。
空港で特に戸惑ったのは、日本円から、使い勝手が良いとされる米ドルへの両替ができなかったこと。市中の銀行はともかく、空港内の銀行の出張所は米ドルへの両替を行っていないらしい。ツアー客の中には成田空港で米ドルへの両替を済ませていた人もいた。結局、米ドルがないからと言って、ツアー中に特段不便なことはなかったが…
ほどなく1日目の宿泊先、カヤ・ラマダ・プラザホテルに到着。チェックインの手続きを待つ間、ホテルのロビーで寛ぐ。白い壁、天井にアクセントカラーの赤と金色が効いていて独当の雰囲気を醸し出しているライトスタンドのデザインも異国情緒が漂う。
1日の大半を移動で費やした1日目は、翌日から始まる観光に備えて早々と寝た。
トルコ2日目
朝食はビュッフェスタイル。ホットミールもコールドミールもフルーツもおいしくいただけた。特にトルコはパンがおいしいとの評判を耳にしていたが、確かにホテル自家製と思しきゴマをふんだんに使った丸い形のパンなど、香ばしく甘みがあって、とてもおいしかった。
トルコは食料自給率が100%と、食材には事欠かない農業大国でもある。団体ツアーで提供される食事は大抵効率優先で不味いと相場が決まっているが、新鮮でバラエティに富んだ食材のおかげで、トルコのそれは概してそれほど悪くはなかったと思う。
もちろん、トルコ人がおいしいと認めた本物の味、本来のトルコ料理の味とは言えないのかもしれないが、所謂トルコ料理の傾向、スタイルを知ることはできたように思う。文明の十字路に位置する国だけあって、薄味、濃厚な味、スパイシーな味と、遠く極東アジアから、ヨーロッパ、中東アフリカに至る様々な国々の料理が混在しているような印象だ。オリーブオイルをメディアに、肉・野菜・穀類・豆類・乳製品をバランス良く取り込む、ヘルシーな地中海料理にも近いだろうか?ただし、デザート・スウィーツの濃厚な甘さには閉口する。あれでは糖分の摂りすぎだ。
写真はホテルの客室からの眺め。早朝のイスタンブールだ。普段目にする風景とは、視界の広がりと奥行きや、街並みの色合いがやはり異なる。イスタンブールに来たことを改めて実感した。
朝食を済ませて、7時半にはホテルを出発。バスで旅行最初の観光地、トロイ遺跡へと向かった。移動距離345km、途中何度かのトイレ休憩、昼食、カーフェリーでの移動を挟んでの約6時間のバス旅だ。この日の観光はなんとトロイ遺跡のみ
写真は車窓からの眺め。バスは郊外を走っているせいか、人家が少なく、人の姿も殆ど見えなかった。菜の花畑と見紛う黄色い大地は一面のヒマワリ畑だ。これは食用油を採取する為のもの。私がかつて住んでいた中東でも、オリーブオイル以外はもっぱらヒマワリ油が食用油として流通していた。昨年スペインで見られなかったヒマワリ畑を、思いがけずトルコで存分に見ることができて嬉しかった
最初のトイレ・ストップ。正面の土産物店の離れにトイレがあった。写真で見ると、向かって右手だ。入口付近にチップを受け取る管理人のおじさんが腰かけていて、50クルシュ(0.5トルコリラ=約25円)を支払ってトイレに入った。
その後、各地で何度もトイレを利用することになるが、やはりチップを支払って入るトイレの方が管理が行き届いていたように思う。無料のトイレは紙詰まりを起こしていたり、水洗レバーやドアの鍵が壊れていたり、衛生面に問題のあるトイレが多かった。地方では未だ下水道設備に問題が多いのか、トイレットペーパーをトイレに流してはいけない所も少なくなかった。そこでは備え付けのゴミ箱に使用済みの紙を捨てるようになっていた。
トイレ設備の良し悪しは、その国の経済的なゆとりを測る物差しのひとつだと私は考えているが、その点ではトルコはまだ発展途上にあるように思う。5年前に訪れた韓国も、首都ソウルはともかく慶州のような地方では、トルコの地方と同様に紙を流せない場所が少なくなかったことに驚いた記憶がある。
どの国も首都や商都は国の威信をかけて社会インフラの整備をするものだが、末端の町や村々まで整備が行き渡るには、結局それ相当の国力の余裕が必要なのだろう。寧ろ田舎の公衆トイレにまでウォッシュレットのような装備が当たり前の日本が、世界では特殊なのかもしれない。とまれ、海外旅行での強烈なトイレ体験は、彼我の違い(つまり日本がどれだけ豊かな国なのか)を思い知る貴重な機会であることは間違いないと思う。
ところで、写真中央に見える鮮やかな赤の地色に、白塗りで大きく湾曲する三日月と星を象ったものは、トルコの国旗だ。トルコ旅行の道中では、(嫌というほど)この国旗を至るところで目にした。まさにトルコ国民の愛国心の象徴とも言える。トルコ人は屈託なく愛国心を表明しているようにも見えた。
この国旗を目にする度に、私は私自身や日本人の愛国心を問われているような気がして、少し心が疼いた。とかく日本では愛国心を口にすると、ある種の思想傾向の持ち主に見られるような気がするのだが、そもそも自分の生まれ育った国を愛することはごくごく当たり前のことで、自尊心の礎のひとつでもあると思う。それを蔑ろにして、果たして自分自身のアイデンティティは確立されるのだろうか?現代の日本人の多くはそこのところを曖昧なままにして、生きているような気がする。そんな状態で果たして、愛国心、愛郷心を強固なバックボーンとして生きている海外の人々と、対等に付き合えるのだろうか?日本人の国際社会における自己主張の弱さ、自信のなさは、そんなところからも来ているような気がしてならない。
トルコ航空の機内サービスは、航空会社及び空港サービスの利用者評価の調査機関であるSkytraxにより、栄えある「ベストエアライン・ヨーロッパ 2011」に選出されているだけあって、他の歴史あるヨーロッパ系エアラインに何ら見劣りしないものだった。
搭乗時にはスリッパやアイマスク入りのアメニティグッズが手渡され、エンタメ・メニューが充実したパーソナルモニターも完備で、長時間に渡るフライトの退屈さも難なく凌げた。機内食も水準以上のものだったと思うが、なぜか配られたメニューリストが往復路共に、実際のメニューとは違っていた。どうしてだろう?
1日目の宿泊先、カヤ・ラマダ・プラザホテルのロビー
トルコ随一の商都イスタンブールにある、トルコ共和国建国の父アタチュルクの名を冠した空港に、私達を乗せた飛行機はほぼ定刻通りに到着。同時刻に到着した便が多かったのか、非トルコ人向けのパスポート・コントロールは大混雑だったしかし、入国に心配したほどの時間はかからず、空港内の銀行で日本円からトルコリラへの両替を済ませ、バスで宿泊先のホテルへと向かった。
空港で特に戸惑ったのは、日本円から、使い勝手が良いとされる米ドルへの両替ができなかったこと。市中の銀行はともかく、空港内の銀行の出張所は米ドルへの両替を行っていないらしい。ツアー客の中には成田空港で米ドルへの両替を済ませていた人もいた。結局、米ドルがないからと言って、ツアー中に特段不便なことはなかったが…
ほどなく1日目の宿泊先、カヤ・ラマダ・プラザホテルに到着。チェックインの手続きを待つ間、ホテルのロビーで寛ぐ。白い壁、天井にアクセントカラーの赤と金色が効いていて独当の雰囲気を醸し出しているライトスタンドのデザインも異国情緒が漂う。
1日の大半を移動で費やした1日目は、翌日から始まる観光に備えて早々と寝た。
トルコ2日目
朝食はビュッフェスタイル。ホットミールもコールドミールもフルーツもおいしくいただけた。特にトルコはパンがおいしいとの評判を耳にしていたが、確かにホテル自家製と思しきゴマをふんだんに使った丸い形のパンなど、香ばしく甘みがあって、とてもおいしかった。
トルコは食料自給率が100%と、食材には事欠かない農業大国でもある。団体ツアーで提供される食事は大抵効率優先で不味いと相場が決まっているが、新鮮でバラエティに富んだ食材のおかげで、トルコのそれは概してそれほど悪くはなかったと思う。
もちろん、トルコ人がおいしいと認めた本物の味、本来のトルコ料理の味とは言えないのかもしれないが、所謂トルコ料理の傾向、スタイルを知ることはできたように思う。文明の十字路に位置する国だけあって、薄味、濃厚な味、スパイシーな味と、遠く極東アジアから、ヨーロッパ、中東アフリカに至る様々な国々の料理が混在しているような印象だ。オリーブオイルをメディアに、肉・野菜・穀類・豆類・乳製品をバランス良く取り込む、ヘルシーな地中海料理にも近いだろうか?ただし、デザート・スウィーツの濃厚な甘さには閉口する。あれでは糖分の摂りすぎだ。
写真はホテルの客室からの眺め。早朝のイスタンブールだ。普段目にする風景とは、視界の広がりと奥行きや、街並みの色合いがやはり異なる。イスタンブールに来たことを改めて実感した。
朝食を済ませて、7時半にはホテルを出発。バスで旅行最初の観光地、トロイ遺跡へと向かった。移動距離345km、途中何度かのトイレ休憩、昼食、カーフェリーでの移動を挟んでの約6時間のバス旅だ。この日の観光はなんとトロイ遺跡のみ
写真は車窓からの眺め。バスは郊外を走っているせいか、人家が少なく、人の姿も殆ど見えなかった。菜の花畑と見紛う黄色い大地は一面のヒマワリ畑だ。これは食用油を採取する為のもの。私がかつて住んでいた中東でも、オリーブオイル以外はもっぱらヒマワリ油が食用油として流通していた。昨年スペインで見られなかったヒマワリ畑を、思いがけずトルコで存分に見ることができて嬉しかった
最初のトイレ・ストップ。正面の土産物店の離れにトイレがあった。写真で見ると、向かって右手だ。入口付近にチップを受け取る管理人のおじさんが腰かけていて、50クルシュ(0.5トルコリラ=約25円)を支払ってトイレに入った。
その後、各地で何度もトイレを利用することになるが、やはりチップを支払って入るトイレの方が管理が行き届いていたように思う。無料のトイレは紙詰まりを起こしていたり、水洗レバーやドアの鍵が壊れていたり、衛生面に問題のあるトイレが多かった。地方では未だ下水道設備に問題が多いのか、トイレットペーパーをトイレに流してはいけない所も少なくなかった。そこでは備え付けのゴミ箱に使用済みの紙を捨てるようになっていた。
トイレ設備の良し悪しは、その国の経済的なゆとりを測る物差しのひとつだと私は考えているが、その点ではトルコはまだ発展途上にあるように思う。5年前に訪れた韓国も、首都ソウルはともかく慶州のような地方では、トルコの地方と同様に紙を流せない場所が少なくなかったことに驚いた記憶がある。
どの国も首都や商都は国の威信をかけて社会インフラの整備をするものだが、末端の町や村々まで整備が行き渡るには、結局それ相当の国力の余裕が必要なのだろう。寧ろ田舎の公衆トイレにまでウォッシュレットのような装備が当たり前の日本が、世界では特殊なのかもしれない。とまれ、海外旅行での強烈なトイレ体験は、彼我の違い(つまり日本がどれだけ豊かな国なのか)を思い知る貴重な機会であることは間違いないと思う。
ところで、写真中央に見える鮮やかな赤の地色に、白塗りで大きく湾曲する三日月と星を象ったものは、トルコの国旗だ。トルコ旅行の道中では、(嫌というほど)この国旗を至るところで目にした。まさにトルコ国民の愛国心の象徴とも言える。トルコ人は屈託なく愛国心を表明しているようにも見えた。
この国旗を目にする度に、私は私自身や日本人の愛国心を問われているような気がして、少し心が疼いた。とかく日本では愛国心を口にすると、ある種の思想傾向の持ち主に見られるような気がするのだが、そもそも自分の生まれ育った国を愛することはごくごく当たり前のことで、自尊心の礎のひとつでもあると思う。それを蔑ろにして、果たして自分自身のアイデンティティは確立されるのだろうか?現代の日本人の多くはそこのところを曖昧なままにして、生きているような気がする。そんな状態で果たして、愛国心、愛郷心を強固なバックボーンとして生きている海外の人々と、対等に付き合えるのだろうか?日本人の国際社会における自己主張の弱さ、自信のなさは、そんなところからも来ているような気がしてならない。