トルコ旅行から帰国して間もない8月上旬の日経新聞朝刊に、トルコ航空のカラー一面広告が掲載された。
鮮やかなターコイズブルーを背景に、トルコ航空の真っ赤なロゴマークが全面を覆う、地球をイメージしたと思しき球体を手にした、美しいキャビン・アテンダントが、読者に向かって微笑んでいる。コピーは堂々「ヨーロッパのベストエアライン※、トルコ航空で世界180都市へ」とある。
※「トルコ航空、『ベストエアライン・ヨーロッパ 2011』アワード獲得」
因みに日本経済新聞朝刊全国版の広告費一覧表をもとに、今回のトルコ航空の広告費を概算すると、15段(サイズ380.0×512.5mm)20,400,000円+カラー料金(多色)10段以上4,900,000円で、合計25,700,000円となる。
この広告不況下で、日本ではまだメジャーとは言い難い外資系エアラインが、何とまあ思い切った販促キャンペーンを張ったものである。日経新聞の発行部数は公称約300万部(2010年7月~12月平均 資料:日本ABC協会)。費用対効果はいかほどのものなのだろう?とまれ、これはトルコ航空の日本における顧客獲得への並々ならぬ意気込みが感じられる広告戦略である。
日本では案外知られていないかもしれないが、豊かな観光資源と立地に恵まれたトルコは世界有数の観光立国である。2010年にトルコを観光で訪れた外国人は2,700万人で世界第7位、観光収入は208億米ドルで世界第10位となっている(世界観光機関調べ)。
因みに同年の訪日観光客数は861万人、観光収入は132億米ドルであり、特に訪問者の数でトルコは日本を圧倒している。しかも今年6月の外国人観光客数は前年同月比で6.7%増、観光収入は14.0%増と、震災の影響で大幅減を余儀なくされている日本を尻目に、トルコ観光は好調のようだ。
『ウォールストリート・ジャーナル日本版』9月14日付記事でも、「イスタンブールのホテルの稼働率は欧州最高」と、その好調ぶりを伝えている。おかげでイスタンブールのホテルの宿泊代は前年比30超%増と、その高騰ぶりも世界一となっている。
現在、日本では一部を除くトルコツアーが、現地の旅行関係者を嘆かせるような低価格競争に陥っているが(私はその恩恵に浴してトルコに行けたとも言えるのだが…)、中東・ヨーロッパからの観光客の流入が絶好調となると、不毛な日本人向け価格競争も早晩終わりを告げるのではないか?少なくとも、ショッピングとの抱き合わせで利益を上げると言ういびつな形は、トルコ観光の成熟と洗練に伴い、徐々に減って行くのではないかと思う。
トルコ航空に話を戻すと、今夏の休暇旅行にトルコツアーを選んだ大きな理由のひとつは、ツアーが往復トルコ航空の直行便利用であったことだ。しかも利便性の高いフライトスケジュールであった。往路の成田出発が正午で、イスタンブール到着が18時5分。復路のイスタンブール出発は16時55分で、翌日の午前10時10分に成田到着と、団体ツアーにありがちな早朝出発や夜間到着はなく、ツアーの為に前泊や後泊をする必要もなかったし、心身にも負担の少ないスケジュールであった。
さらにトルコ航空はスターアライアンス・メンバーなので、ANAのマイレージを貯めている者には好都合だ。チマチマ国内線でマイレージを貯めるより、実質国内線1往復の料金程度?で、その数倍以上のマイレージを貯めることができる。今回獲得したマイレージを国内線に換算すれば、東京、長崎間を5往復したのに相当するのではないだろうか?そのコスパは侮れない。
トルコ航空の広告戦略と言えば、近年、映像CMにも力を入れているようだ。
2年程前に映画館109シネマズで、映画上映前に何の脈絡もなく登場したCMは、(覚えている限りでは)空港に着陸したトルコ航空の機体からクルーが降りて来て横1列に並び、観客に微笑みかけるというもので、「なぜ今、ここで、トルコ航空のCM?」と唐突感が否めなかった。
今回の旅行直前に見たトルコ映画『蜂蜜(原題:Bal)』(右上写真。トルコの山岳地帯を舞台に、蜂蜜の採取で生計を立てる父と、その家族の物語。トルコの山岳地帯の自然の静謐な美しさをあますことなく映し出し、そこで暮らす質実で素朴な人々の姿を詩情豊かに描く。第60回ベルリン国際映画祭金熊賞受賞作品)の上映前に流れたCMもまた、なぜか機内のファーストクラスで、突然プロサッカー選手達がサッカーを始めると言う(←トルコでもサッカーは大人気のスポーツだからか)、常識ではあり得ない設定で、私を驚かせてくれた。
とにかく常に「意外性」で攻めて来る。トルコ航空よ、イロイロやってくれるじゃないか?トルコ航空の経営攻勢は、今まさに発展の上り坂を駆け上がろうとしているトルコと言う国の勢いを、そのまま体現しているかのようだ。
鮮やかなターコイズブルーを背景に、トルコ航空の真っ赤なロゴマークが全面を覆う、地球をイメージしたと思しき球体を手にした、美しいキャビン・アテンダントが、読者に向かって微笑んでいる。コピーは堂々「ヨーロッパのベストエアライン※、トルコ航空で世界180都市へ」とある。
※「トルコ航空、『ベストエアライン・ヨーロッパ 2011』アワード獲得」
因みに日本経済新聞朝刊全国版の広告費一覧表をもとに、今回のトルコ航空の広告費を概算すると、15段(サイズ380.0×512.5mm)20,400,000円+カラー料金(多色)10段以上4,900,000円で、合計25,700,000円となる。
この広告不況下で、日本ではまだメジャーとは言い難い外資系エアラインが、何とまあ思い切った販促キャンペーンを張ったものである。日経新聞の発行部数は公称約300万部(2010年7月~12月平均 資料:日本ABC協会)。費用対効果はいかほどのものなのだろう?とまれ、これはトルコ航空の日本における顧客獲得への並々ならぬ意気込みが感じられる広告戦略である。
日本では案外知られていないかもしれないが、豊かな観光資源と立地に恵まれたトルコは世界有数の観光立国である。2010年にトルコを観光で訪れた外国人は2,700万人で世界第7位、観光収入は208億米ドルで世界第10位となっている(世界観光機関調べ)。
因みに同年の訪日観光客数は861万人、観光収入は132億米ドルであり、特に訪問者の数でトルコは日本を圧倒している。しかも今年6月の外国人観光客数は前年同月比で6.7%増、観光収入は14.0%増と、震災の影響で大幅減を余儀なくされている日本を尻目に、トルコ観光は好調のようだ。
『ウォールストリート・ジャーナル日本版』9月14日付記事でも、「イスタンブールのホテルの稼働率は欧州最高」と、その好調ぶりを伝えている。おかげでイスタンブールのホテルの宿泊代は前年比30超%増と、その高騰ぶりも世界一となっている。
現在、日本では一部を除くトルコツアーが、現地の旅行関係者を嘆かせるような低価格競争に陥っているが(私はその恩恵に浴してトルコに行けたとも言えるのだが…)、中東・ヨーロッパからの観光客の流入が絶好調となると、不毛な日本人向け価格競争も早晩終わりを告げるのではないか?少なくとも、ショッピングとの抱き合わせで利益を上げると言ういびつな形は、トルコ観光の成熟と洗練に伴い、徐々に減って行くのではないかと思う。
トルコ航空に話を戻すと、今夏の休暇旅行にトルコツアーを選んだ大きな理由のひとつは、ツアーが往復トルコ航空の直行便利用であったことだ。しかも利便性の高いフライトスケジュールであった。往路の成田出発が正午で、イスタンブール到着が18時5分。復路のイスタンブール出発は16時55分で、翌日の午前10時10分に成田到着と、団体ツアーにありがちな早朝出発や夜間到着はなく、ツアーの為に前泊や後泊をする必要もなかったし、心身にも負担の少ないスケジュールであった。
さらにトルコ航空はスターアライアンス・メンバーなので、ANAのマイレージを貯めている者には好都合だ。チマチマ国内線でマイレージを貯めるより、実質国内線1往復の料金程度?で、その数倍以上のマイレージを貯めることができる。今回獲得したマイレージを国内線に換算すれば、東京、長崎間を5往復したのに相当するのではないだろうか?そのコスパは侮れない。
トルコ航空の広告戦略と言えば、近年、映像CMにも力を入れているようだ。
2年程前に映画館109シネマズで、映画上映前に何の脈絡もなく登場したCMは、(覚えている限りでは)空港に着陸したトルコ航空の機体からクルーが降りて来て横1列に並び、観客に微笑みかけるというもので、「なぜ今、ここで、トルコ航空のCM?」と唐突感が否めなかった。
今回の旅行直前に見たトルコ映画『蜂蜜(原題:Bal)』(右上写真。トルコの山岳地帯を舞台に、蜂蜜の採取で生計を立てる父と、その家族の物語。トルコの山岳地帯の自然の静謐な美しさをあますことなく映し出し、そこで暮らす質実で素朴な人々の姿を詩情豊かに描く。第60回ベルリン国際映画祭金熊賞受賞作品)の上映前に流れたCMもまた、なぜか機内のファーストクラスで、突然プロサッカー選手達がサッカーを始めると言う(←トルコでもサッカーは大人気のスポーツだからか)、常識ではあり得ない設定で、私を驚かせてくれた。
とにかく常に「意外性」で攻めて来る。トルコ航空よ、イロイロやってくれるじゃないか?トルコ航空の経営攻勢は、今まさに発展の上り坂を駆け上がろうとしているトルコと言う国の勢いを、そのまま体現しているかのようだ。