このところ、毎週のように通っている上野公園ですが、来る度に、公園の木々が色づいているのが分かります(最初に上野の秋を感じたのは、地面に大量に落ちた銀杏の饐<す>えた匂いでした)。
昨日もボランティア先の美術館でギャラリートークがあり、その帰りに東京都美術館で2度目(後期)のマルモッタン・モネ美術館展を見て来ました。
向かって一番右のポスターが、後期のみ展示の《ヨーロッパ橋、サン=ラザール駅》(1877)、モネ37歳の時の作品です。
画面全体を覆う蒸気機関車の吐き出す煙が、往時のパリ近代化の勢いを感じさせます。サン=ラザール駅の開業は1837年で、パリにあるターミナル駅で最も古く、華やかな都心に立地しているので、印象派の画家達にとって格好の題材だったようです。モネもこのサン=ラザール駅を何度も描いています。
フランスの鉄道網は当初、英国、ドイツ、ベルギー、米国と言った国々に遅れを取り、中小の鉄道会社が乱立した状態でしたが、1857年までに6つの大手に集約され、以後パリを中心に各地方へと放射線状に鉄道網が敷かれて行ったそうです。
数多くの列車が、このサン=ラザール駅を起点に、次々と白煙を上げながら地方へと向かって行ったのでしょう。画面からは、当時の活気が伝わって来るようです。今にも汽笛が聞こえてきそうですね。
作品を見るのに夢中になって会場を二巡したら、午前もギャラリートークで歩き通しだったこともあり、とうとう足の裏が痛くなったので、やむなく帰ることにしました。
上野駅へと向かう道すがら見えて来たのは、やはり色づいた上野公園の木々でした。
あまりに美しいので立ち止まって、何度もサイバーショットのシャッターを切りました。
しかし、その本来の美しさは、私の下手な写真では到底表現できないようです。