はなこのアンテナ@無知の知

たびたび映画、ときどき美術館、たまに旅行の私的記録

リバティーン

2006年04月26日 | 映画(2005-06年公開)


Libertine…放蕩者というタイトルの示す通り、
ジョニー・デップ演じる第2代ロチェスター伯爵
ジョン・ウィルモット(以下、ジョニー)は
放蕩の限りを尽くして、30代の若さで病死する。
しかし、ただそれだけの人物ではない。
才気煥発で洞察力に優れ、時の国王をさえ、
そのシニカルな視点で
容赦ない風刺の俎上に乗せてしまうのだ。
その激しくも哀しい後半生を、本作は描いている。

時代は17世紀。台詞の中で天才建築家”レン”の名と
”大聖堂”が登場することから、おそらく1666年の
ロンドン大火で崩壊したセント・ポールズ大聖堂再建に
着工する頃の話だろう。

当時の英国はけっして衛生状態が良いわけではなかった。
画面にしばしば登場するぬかるんだ街路の描写が印象的だ。
暗く湿った空気が場を支配している。
王政復古で即位したチャールズ2世は、
ジョニーの類い希な知性・才能を評価し、
王の命を救ったジョニーの父への恩義もあって、
彼の素行の悪さに辟易しながらも彼を重用している。

しかし、ジョニーの内に巣くう反逆児精神は、
その王の信頼をことごとく裏切り、
ジョニーを自滅の道へとひた走らせるのだ。
それはあたかも飼い慣らすことのできない暴れ馬を、
自分自身の内に抱えたようなものだ。
破天荒に見えて、その実、
彼の苦悩は想像以上に深かったのかもしれない。
しかし、その抑えられない激情が、
才気を走らせるエンジンの役割を果たした
とも言えるのでは?

そんな彼を最後まで見捨てず、
理解し、支える人間に恵まれていたのが、
転落人生の唯一の救いだろうか?

ジョニー・デップの熱演を支えるのは、
若き演技派サマンサ・モートンとロザムンド・パイク。
そしてトム・オランダー、ケリー・ラリー、
ルパート・フレンド(オーランド・ブルームに激似?)、
そして舞台でジョニー役を演じ、今回はその主役を
J・デップに譲った名優ジョン・マルコヴィッチ。
この顔ぶれだけでも食指が動きますね。
ロザムンド・パイク以下4人は、
『プライドと偏見』にも出演。
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