はなこのアンテナ@無知の知

たびたび映画、ときどき美術館、たまに旅行の私的記録

「祝いのよそほい」展(ポーラ ミュージアム アネックス)

2016年02月02日 | 文化・芸術(展覧会&講演会)


 先週某日、外国人を交えた数人で、銀座にあるポーラ・ミュージアム・アネックス(中央区銀座1-7-7 ポーラ銀座ビル7F)で開催中の「祝いのよそおい」展を見て来ました。

 箱根のポーラ・ミュージアムは以前から知っていましたが、銀座に別館があるとは、今回誘われるまで知りませんでした。

 日本の老舗化粧品メーカー、ポーラ化粧品が1976年に設立したポーラ文化研究所は、「『化粧・女性・美意識』をキーワードに東西の化粧史や各時代の風俗や美人観など化粧に関わる幅広い研究活動を行い、その研究成果を社会に発信し続けて来た」実績があります。「化粧道具や装身具を約6,500点、文献資料15,000点を収蔵」し、これらの資料の紹介や閲覧などの情報提供も、併設する「ポーラ化粧文化情報センター」で行っているそうです。


 今回の「祝いのよそほい」は研究所設立40周年を記念して、新春に相応しい祝い事の「嫁入り」「元服」「晴れ(ハレ)の装い」「吉祥の文様」の4テーマで、江戸時代の化粧道具や装身具、そして往時の風俗や吉祥文様を描いた浮世絵などを展示しています。テーマごとの解説には英語版もあり、外国人来館者への配慮も行き届いています。 



 橘唐草文を散らした、いかにも上流階級の嫁入り道具と思われる蒔絵の婚礼化粧道具の豪華さには見とれるばかり。こうした化粧道具一式は江戸初期から体系化されたそうですが、本品は江戸時代後期のもので、完品ではありませんが(十二手箱がない)、これだけの品揃え、かつ良好な保存状態の品は珍しいそうです。

 手前は婚礼衣装。鶴や亀、唐扇などの吉祥文様も含んだ総刺繍が見事でした。奥には髷のカツラ。

 同行のデンマーク人女性が、外国人らしい疑問を投げかけたり、率直な感想を述べていました。「浮世絵の女性の顔は、現代のあなた達とは違う。面長で、細い眉で、細い目。当時と今とでは顔つき自体が違うのかしら?」「着物は何枚も重ねているのね?」「袖の長さが長いのと短いのがあるのはなぜ?」 

 また、「日本人や韓国人は陶器質の肌に憧れ、私達北欧人は日焼けした肌に憧れるところに美意識の違いを感じて面白いわ」と言っていたのが印象的でした。「お互い、ないものねだりなんでしょうね。北欧人にとっては南国リゾートに行って日焼けするのは、ステータスシンボルでもあるのでしょう?」と私。


 展示室は一室のみで、それほど面積も広くなく、しかも入館料も無料なので、銀座に行った折に気軽に立ち寄れる雰囲気でした。

 今回は展示品のひとつひとつに、江戸時代から今に至るまで脈々と息づく日本の美意識を感じて、思わず背筋がピンと伸びるような展覧会でした。

chainポーラ ミュージアム アネックス公式サイト
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