はなこのアンテナ@無知の知

たびたび映画、ときどき美術館、たまに旅行の私的記録

世界史にリンクした一族の歴史にドキドキ

2024年07月28日 | 文化・芸術(展覧会&講演会)
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17世紀オランダの古い地球儀をモチーフにしたクリスマス・オーナメント♪直径は約10㎝くらいです。ゆらゆら揺れているのでボケボケ写真に。

✴︎本記事は2006年10月14日の記事です。旧ブログの体裁だったのを現ブログ仕様に手直ししていたら、誤って新規投稿になってしまいました😅。悪しからず🙇‍♀️。

先日、知人に誘われて麻布にあるお宅(メゾネットタイプの瀟洒な低層マンション)を訪ねたオランダ人女性は、やはり世界に名だたる石油会社ロイヤル・ダッチ・シェル石油のオーナー一族の一人でした。

正確にはご主人がその直系に当たる方のようですが、その夫人自身、オランダの名家の出のようで、その一族の歴史は、オランダが海運国として世界に名を馳せた17世紀の、東インド会社誕生にまで連なるそうです(お父様がオランダの商工会議所の会頭で、オランダ王室とも親しい間柄なのだとか)。

元々東インドの交易を行っていた貿易会社14社が、1602年に統合してできたのが東インド会社。元の14社がそれぞれ株主となったこの会社は、世界初の株式会社でした。

東インド会社は、広大な海域の貿易独占権と共に条約の締結、海外領土の総督の指名、貨幣の鋳造などを行う権利を有し、ひとつの国家にも匹敵するような存在であったのです。最盛期には数千人規模の軍隊を組織し参謀を置き、数十隻から成る艦隊をも擁していたと言われています。

彼女の先祖はその東インド会社の経営に関わっていたとのこと。さらに驚いたのは、デルフトを拠点に富を欲しいままにしていた先祖は、ナポレオン率いるフランス軍の侵攻により、そのすべての資産を奪われ、やむを得ずハーグへと移住するも、持ち前の商才を発揮して見事復活を遂げたと言うのですから、オランダを代表する実業家一族であることは間違いない。

彼女は、一族の歴史をデルフト時代にまで遡って、一冊の本にまとめ上げ、先頃上梓したようです。自費出版という形で100部限定らしいですが、将来的にはこの本を下敷きに小説を書きたいのだとか。

東インド会社、ナポレオン…学生時代に世界史で学んだ名前が一族の歴史に直接リンクしている。その凄さに思わず絶句。

ご主人の仕事の関係で、世界各地を転々として来た彼女は、それぞれの地で、現地の言葉を学び、現地ならではの物を買い求め、人脈を広げて来たようです。

ちなみに何カ国語を話すのですか?と尋ねたところ、事も無げに「9カ国語」と答えました。大学時代にラテン語とギリシャ語、それから英語、仏語、スペイン語、インドネシア語…と指折り数える彼女。日本語もマンツーマンの指導で学んだようですが、私達が訪ねた日の会話は殆ど英語でした。日本人の悪い癖かもしれませんが、在留外国人に対して、ついつい英語で話しかけてしまうんですよね。本当は相手は日本語を学びたがっているかもしれないのに。

彼女は4年間の日本での生活をどん欲に楽しんだようです。テラスには先生について学んだという盆栽の鉢がいくつも陳列されていました。しかし植物検疫の関係で、帰国時には一切本国に持ち帰れないとのこと。とても残念そうな表情で、大事にしてくれる人に譲りたいと話していました。

リビングにはさりげなく17世紀の中国の陶器や磁器が飾られ(特に直径10㎝ほどの小皿の来歴にはロマンを感じました。沈没船から引き揚げられた品で、茶箱の中の茶葉に埋もれていたおかげで奇跡的に割れていなかった物を、クリスティーズのオークションで入手したらしい)

フランスの農家で200年程前に使われていたという大きなダイニングテーブル、ジョージアンやヴィクトリアンの椅子が、現役で活躍しているようです。テーブルなど素朴な作りで、かなり年季の入ったものだけど、大好きだから、これは売らずに本国に持ち帰ります、と彼女。

世界各地で転勤を繰り返す中で身に付いた合理性と古い物を愛おしむヨーロッパの伝統的な価値観とを
併せ持った女性でした。世が世なら、場所が場所なら、私など到底お近づきできないような上流夫人ですが、ホスピタリティ精神溢れる、気さくな人柄の持ち主でした。もちろん自身の立場をきちんと弁え、本国での顔と海外で私達のような異邦人に見せる顔は、全然違うのでしょう。

ともかくも、外国人エグゼクティブの日本での暮らしの一端を垣間見た約3時間は、私にとっては貴重な経験となりました。

(了)

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3 コメント

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Unknown (みゆきん)
2024-07-28 17:02:08
リビングにはさりげなく17世紀の中国の陶器や磁器が飾られてる
うわーっ,凄い
オクションに出品とか何でも鑑定に出品したら凄い値打ちかも
・・・私って強欲だった( *´艸`)
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Unknown (hanakonoantena20220612)
2024-07-28 19:28:03
みゆきんさん、こんにちは☺️。

この時は離日に向けて不要な物を知り合いに売る、いわゆるガレージセールに、知人に誘われたのですが、部屋の調度品が凄すぎて、私が買えたのは写真のオーナメントとデルフト焼きの小物入れだけでした😅。

人間て小さい差異には敏感だけど、その隔たりが大きすぎると嫉妬心も湧かないんですよね(笑)。

私は卒論のテーマがオランダの17世紀の画家レンブラントの銅版画に関してだったので、ちょうど東インド会社のこととか調べたりしていたので、その創設者の子孫に直接会って話ができたのが何だか嘘みたいでした。生きた歴史だあと。

あのお宅にある物を「何でも鑑定団」に出したら、とんでもない金額で査定されたと思います。

マダムはマダムで、庶民の私にご自分の一族がいかに凄いのか、さりげなく自慢していたのかもしれないけれど(笑)。見たことのない世界を垣間見られただけでも、わたし的にはラッキーでした。
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Unknown (hanakonoantena20220612)
2024-07-28 19:31:22
そう言えば、東北は大雨のようですが、みゆきんさんのところは大丈夫ですか?お気をつけて❗️
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