はなこのアンテナ@無知の知

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パリ・オリンピックが始まった😃

2024年07月28日 | 気になったニュース
オリンピック開催直前に前代未聞のシステムトラブルが発生した。

米「クラウドストライク」社製セキュリティ・ソフトのアップデートの欠陥が原因で、米マイクロソフト社のOS、Windowsを搭載するパソコン850万台が使用不能となったのだ。

これにより数千に及ぶ航空便の欠航を筆頭に、世界規模でさまざまな混乱が生じた。この事件は図らずも、IT管理体制の脆弱性を世間に知らしめることとなった。

こうしたトラブルがパリ・オリンピックを直撃しなかったことは、不幸中の幸いであったと思う。

また、開会式直前にはフランスが誇る高速鉄道TGVの線路に対する組織的な放火事件が数カ所で発生し、80万人の足に影響が出たと言う。

それを受けてのフランスのオリンピック相のコメントが身振り手振り豊かに「なんか組織的にやらかしたみたいね(私のせいじゃないからね←彼女の心の声?) 」 と、どこか他人事と言うか、あっけらかんとしていて、(自分が普段イメージする)フランス人らしいなと思った。さすがに監督官庁のトップ運輸相は「厳正に対処します」と神妙な面持ちだったけれど。


さて、今回のパリ・オリンピックの開会式は「文化大国」を標榜するフランスの威信をかけたと言っても良い、趣向を凝らした見応えのあるものだった。

開催前の芸術総監督の自信たっぷりな「開会式は我が国の誇り高い文化を体現したもの」アピールはあながち嘘・誇張ではなかった👍。

選手の入場行進をセーヌ川の遊覧船で行い、セーヌ川に架かる橋の上ではダンスや大道芸やパリコレを披露し、歌唱パフォーマンスでは自国民のみに拘らず米のレディガガやカナダ(フランス語圏ケベック州出身)のセリーヌ・ディオンを招聘し、さらに眩いばかりの光のショーでパリの象徴であるエッフェル塔の存在感を見せつけ、そして自国民のみならず多国籍のレジェンド・オリンピアンも加わってのリレーで繋いだ聖火を気球で空中に浮遊させると言う、あっと驚く演出。

どれもこれもがオリジナリティに溢れ、自国の強みである文化遺産を余すことなく紹介し、争いの絶えない今だからこそのオリンピックを通じての全人類の融和をアピールして、このような開会式を実施できるフランスの「文化大国」としての底力を見せつけられたような気がした。

因みに我が国の文化庁(庁なんです。省ではなく)が2022年に公表した「新型コロナウィルス感染症の影響に伴う諸外国の文化政策の構造の変化に関する研究」によれば、フランス国民一人当たりの文化関係の国家予算は8,743円で、日本の877.5円の約10倍である。日本はどれだけ自国の文化の保護・発展に国として注力していないのか、自国の文化を蔑ろにしているかが、よく分かる数字😥


セーヌ川での選手団入場では「韓国」を「北朝鮮」と紹介したり、オリンピック旗を上下逆さまに掲揚したり、そして「多様性」を謳いながら、レジェンド・オリンピアンの中にアジア系はいなかったり(フランスはベトナム系フランス人も多いはず)と、完璧とは言えないまでも、それらのミスを吹き飛ばすほどの圧倒的パワーを放っていたのは間違いないと思う。

ある女性オリンピアンが「選手はオリンピック開催中に観光はできないので、セーヌ川パレードでパリの美しい街並みを見られたのは、選手の皆さんも嬉しかったと思います」と言っていたのも印象に残る。

パリ・オリンピックが何事もなく平和裏に完遂することを祈るばかりだ。良からぬ企みを持っている者達には、平和の祭典に「政治」を持ち込むなと言いたい。


締めの、闘病中にも関わらず今回の開会式に参加を決めたセリーヌ・ディオンの、エッフェル塔から高らかに歌い上げた「愛の讃歌」は素晴らしかった。

世界のエンタメ界で一度は頂点を極めた人の、「栄華」と「苦難」の落差の大きさに、凡人たる私はただただ同情するばかりだ。

しかし、一度しかない人生で、自身の天賦の才を思う存分に発揮できたのは、生まれ落ちた意義のある人生だったとも思う。大半の人はそうではないのだから。

(了)



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