今年は『スラムドッグ$ミリオネア』YEARでした!
レッド・カーペットでは、やはり女優陣のゴージャスなドレスがみどころ。特に人気のデザイナー、ヴァレンチノ氏ご本人も登場しました。私のイチオシはやっぱり、ペネロペの80年前?に作られたと言うヴィンテージ・ドレスかなあ…髪をアップスタイルにした彼女は、往年のオードリー・ヘップバーンを彷彿させます。女優としての彼女は、作品の為ならフルヌードも辞さないプロ根性の塊のような人だけれど…助演女優賞の受賞スピーチ「映画は世界をひとつにします。映画を守りましょう」も素晴らしかったです!
今回のアカデミー賞の演出は出色ですね。オープニングから楽しめました。トニー賞受賞歴もある司会のヒュー・ジャックマンが歌い踊りながらノミネート作品を紹介。6分間に及ぶ見事なパフォーマンスです。
しかも今回は各演技賞で、歴代の受賞者の中から5人がステージに登場し、ひとりひとりが順送りに、ノミネートを受けた俳優を賞賛のメッセージと共に紹介。それに聞き入っているノミネート俳優の感激の表情に心を打たれました。歴代の先輩俳優に褒められるなんて…このような心憎い演出はかつてなかったこと。アカデミー賞の長い歴史と層の厚みを今更のように感じたシーンでした。
【受賞作品もしくは受賞者(発表順、賞によっては作品名のみ)】
■助演女優賞:ペネロペ・クルス
『それでも恋するバルセロナ』
■オリジナル脚本賞 :『ミルク』
■脚色賞:『スラムドッグ$ミリオネア』
■長編アニメ賞:『WALL/E』
■短編アニメ賞:『つみきのいえ』 加藤久仁生氏…邦画初受賞おめでとう!
【2009.02.24追記】
加藤氏はROBOTと言う映像製作会社の社員なんですね。多摩美大卒の31歳。ニュース報道でご両親の言葉がありましたが、本来おとなしくて目立つことが嫌いな方だとか。しかし子供の頃から絵を描くことが好きで、ニュースでは小学生時代に描いたと言う鉛筆描きのマンガも紹介されていました。好きなことで認められるのは、本当に幸せなことですね。
■美術賞:『ベンジャミン・バトンの数奇な人生』
■衣装デザイン賞:『ある公爵夫人の生涯』
■メイクアップ賞:『ベンジャミン・バトンの数奇な人生』
■撮影賞:『スラムドッグ$ミリオネア』 アンソニー・ドッド・マントル
■短編実写映画賞:「トイランド」(ドイツ)
さらに半ばにはディーヴァ、ビヨンセを迎えてのヒュー・ジャックマンとのミュージカル・メドレー。両脇にはザック・エフロンを筆頭に次代を担う若手スター達、背後には大勢のダンサーを従えています。歌唱はもちろん、ダンス・パフォーマンスも圧巻でした!
■助演男優賞:『ダークナイト』 ヒース・レジャー
ヒースが故人なので、彼の家族、両親と妹が代理でオスカー像を受け取り、受賞スピーチを行いました。
■視覚効果賞:『ベンジャミン・バトンの数奇な人生』
■音響編集賞:『ダークナイト』
■録音賞:『スラムドッグ$ミリオネア』
■編集賞:『スラムドッグ$ミリオネア』
■ジーン・ハーショルト友愛賞(長年の社会貢献に対して):ジェリー・ルイス
ジェリー・ルイスは長年に渡り、筋ジストロフィー患者に対して累計10億ドルにも及ぶ援助活動を行って来たらしい。
■作曲賞:『スラムドッグ$ミリオネア』
■歌曲賞:『スラムドッグ$ミリオネア』 ”Jai Ho”
■外国語映画賞:『おくりびと』…邦画初受賞おめでとう!
日本人としては快哉を叫びたいところですが、受賞式は割とあっさりとした進行で、滝田監督の短めのスピーチが終わると、追い立てるように退場の音楽が流れました。滝田監督の仕草を見ると、主演のモックンにもスピーチを勧めていたように見えました。先ほどの短編アニメ賞の加藤監督もそうでしたが、言葉の壁は大きいですね。母語ならもっと含蓄のあるスピーチができたであろうに、と思います。国内向けのスピーチの内容との乖離が大き過ぎて悲しい。他の受賞者は英語圏の人はもちろんのこと、非英語圏の人々も自在に英語を操り、見事なスピーチをしています。こういった場面を目にする度に、(悔しいけれど)今や英語が国際語として幅をきかせている以上、日本人の英語下手が残念に思います。
今後は日本の存在感をアピールする為にも、海外の公の場で発言する機会のある人は、英語で最低限のコミュニケーションは取れるようにして欲しい。米アカデミー賞では「まさか自分が受賞できるなんて」と言う謙遜はやめて、せめて丸暗記でも良いから入念に練られた受賞スピーチを用意して、受賞式に臨んで欲しい。或いは正式に通訳を立てた方が良いと思います。ハリウッドスターが来日会見で通訳を立てているように(【2009.03.06追記】←滝田監督の話によれば、アカデミー賞受賞式では通訳を立てることは原則禁止のようですね。さらに改めて受賞スピーチを見ると、非英語圏出身者で見事なスピーチをしているのは、人前で”表現”するのが仕事の俳優陣だけですね)。
【2009.02.24追記】
『おくりびと』の外国語映画賞受賞は、米国マスコミでも”サプライズ”として受け止められていて、予想外の受賞だったようです。下馬評ではイスラエルのアニメ(内容はどうもイスラエル・パレスチナ紛争を題材にしたもの)か、と言われていたんですよね。しかし、未曾有の経済不況や各地での絶え間ない紛争などで疲弊した人々の心には、本作の”癒しの物語”が受け入れられたのかもしれません。
◆『おくりびと』私的レビューはこちら
■監督賞:ダニー・ボイル 『スラムドッグ$ミリオネア』
■主演女優賞:ケイト・ウィンスレット 『愛を読む人』
■主演男優賞:ショーン・ペン 『ミルク』
ショーン・ペンが謝辞の筆頭に「親友の…サト・マツザワ」と言う日本人名を挙げたのにはビックリしましたが、ショーン・ペンのパーソナル・アシスタント(日本で言うところの”付き人”みたいですね。女性で、もう長く務めておられるらしく、ペンの作品のクレジットにも登場する)なんだそうです。米国でもスピーチ直後、「サト・マツザワって誰だ?」と話題になり、当初は男性か女性かも不明だったので、学校時代からの友人か、サーフィン仲間かとの憶測も飛んだようです(笑)。
■作品賞:4月の公開が待たれる『スラムドッグ$ミリオネア』
ノミネート最多13部門で話題を呼んだ『ベンジャミン・バトンの数奇な人生』との直接対決ではことごとく勝って、結局今年のアカデミー賞の顔となった本作。あのダニー・ボイル監督がボリウッドと組んだ意欲作です。期待大。
ところで『クイズ・ミリオネア』は英国発祥のクイズ番組で、今では世界70カ国のお国バージョンで放映されているらしい。日本版は最近もっぱらセレブ出演番組になってしまって、「芸能界内でお金回してどうすんのよ」って気がしないでもない。このクイズ番組は本来視聴者参加型で、一般人が四者択一のクイズで一攫千金を狙えるから人気を博したはずなのに、日本では司会者と出演芸能人(有名人)のやりとりがウリになってしまった。芸能人(有名人)なんて、こんな番組を利用しなくても自分の才能で稼ぎ出せば良いのに。否、稼ぎ出せるでしょう?
◆受賞スピーチはこちら(英語です)
レッド・カーペットでは、やはり女優陣のゴージャスなドレスがみどころ。特に人気のデザイナー、ヴァレンチノ氏ご本人も登場しました。私のイチオシはやっぱり、ペネロペの80年前?に作られたと言うヴィンテージ・ドレスかなあ…髪をアップスタイルにした彼女は、往年のオードリー・ヘップバーンを彷彿させます。女優としての彼女は、作品の為ならフルヌードも辞さないプロ根性の塊のような人だけれど…助演女優賞の受賞スピーチ「映画は世界をひとつにします。映画を守りましょう」も素晴らしかったです!
今回のアカデミー賞の演出は出色ですね。オープニングから楽しめました。トニー賞受賞歴もある司会のヒュー・ジャックマンが歌い踊りながらノミネート作品を紹介。6分間に及ぶ見事なパフォーマンスです。
しかも今回は各演技賞で、歴代の受賞者の中から5人がステージに登場し、ひとりひとりが順送りに、ノミネートを受けた俳優を賞賛のメッセージと共に紹介。それに聞き入っているノミネート俳優の感激の表情に心を打たれました。歴代の先輩俳優に褒められるなんて…このような心憎い演出はかつてなかったこと。アカデミー賞の長い歴史と層の厚みを今更のように感じたシーンでした。
【受賞作品もしくは受賞者(発表順、賞によっては作品名のみ)】
■助演女優賞:ペネロペ・クルス
『それでも恋するバルセロナ』
■オリジナル脚本賞 :『ミルク』
■脚色賞:『スラムドッグ$ミリオネア』
■長編アニメ賞:『WALL/E』
■短編アニメ賞:『つみきのいえ』 加藤久仁生氏…邦画初受賞おめでとう!
【2009.02.24追記】
加藤氏はROBOTと言う映像製作会社の社員なんですね。多摩美大卒の31歳。ニュース報道でご両親の言葉がありましたが、本来おとなしくて目立つことが嫌いな方だとか。しかし子供の頃から絵を描くことが好きで、ニュースでは小学生時代に描いたと言う鉛筆描きのマンガも紹介されていました。好きなことで認められるのは、本当に幸せなことですね。
■美術賞:『ベンジャミン・バトンの数奇な人生』
■衣装デザイン賞:『ある公爵夫人の生涯』
■メイクアップ賞:『ベンジャミン・バトンの数奇な人生』
■撮影賞:『スラムドッグ$ミリオネア』 アンソニー・ドッド・マントル
■短編実写映画賞:「トイランド」(ドイツ)
さらに半ばにはディーヴァ、ビヨンセを迎えてのヒュー・ジャックマンとのミュージカル・メドレー。両脇にはザック・エフロンを筆頭に次代を担う若手スター達、背後には大勢のダンサーを従えています。歌唱はもちろん、ダンス・パフォーマンスも圧巻でした!
■助演男優賞:『ダークナイト』 ヒース・レジャー
ヒースが故人なので、彼の家族、両親と妹が代理でオスカー像を受け取り、受賞スピーチを行いました。
■視覚効果賞:『ベンジャミン・バトンの数奇な人生』
■音響編集賞:『ダークナイト』
■録音賞:『スラムドッグ$ミリオネア』
■編集賞:『スラムドッグ$ミリオネア』
■ジーン・ハーショルト友愛賞(長年の社会貢献に対して):ジェリー・ルイス
ジェリー・ルイスは長年に渡り、筋ジストロフィー患者に対して累計10億ドルにも及ぶ援助活動を行って来たらしい。
■作曲賞:『スラムドッグ$ミリオネア』
■歌曲賞:『スラムドッグ$ミリオネア』 ”Jai Ho”
■外国語映画賞:『おくりびと』…邦画初受賞おめでとう!
日本人としては快哉を叫びたいところですが、受賞式は割とあっさりとした進行で、滝田監督の短めのスピーチが終わると、追い立てるように退場の音楽が流れました。滝田監督の仕草を見ると、主演のモックンにもスピーチを勧めていたように見えました。先ほどの短編アニメ賞の加藤監督もそうでしたが、言葉の壁は大きいですね。母語ならもっと含蓄のあるスピーチができたであろうに、と思います。国内向けのスピーチの内容との乖離が大き過ぎて悲しい。他の受賞者は英語圏の人はもちろんのこと、非英語圏の人々も自在に英語を操り、見事なスピーチをしています。こういった場面を目にする度に、(悔しいけれど)今や英語が国際語として幅をきかせている以上、日本人の英語下手が残念に思います。
今後は日本の存在感をアピールする為にも、海外の公の場で発言する機会のある人は、英語で最低限のコミュニケーションは取れるようにして欲しい。米アカデミー賞では「まさか自分が受賞できるなんて」と言う謙遜はやめて、せめて丸暗記でも良いから入念に練られた受賞スピーチを用意して、受賞式に臨んで欲しい。或いは正式に通訳を立てた方が良いと思います。ハリウッドスターが来日会見で通訳を立てているように(【2009.03.06追記】←滝田監督の話によれば、アカデミー賞受賞式では通訳を立てることは原則禁止のようですね。さらに改めて受賞スピーチを見ると、非英語圏出身者で見事なスピーチをしているのは、人前で”表現”するのが仕事の俳優陣だけですね)。
【2009.02.24追記】
『おくりびと』の外国語映画賞受賞は、米国マスコミでも”サプライズ”として受け止められていて、予想外の受賞だったようです。下馬評ではイスラエルのアニメ(内容はどうもイスラエル・パレスチナ紛争を題材にしたもの)か、と言われていたんですよね。しかし、未曾有の経済不況や各地での絶え間ない紛争などで疲弊した人々の心には、本作の”癒しの物語”が受け入れられたのかもしれません。
◆『おくりびと』私的レビューはこちら
■監督賞:ダニー・ボイル 『スラムドッグ$ミリオネア』
■主演女優賞:ケイト・ウィンスレット 『愛を読む人』
■主演男優賞:ショーン・ペン 『ミルク』
ショーン・ペンが謝辞の筆頭に「親友の…サト・マツザワ」と言う日本人名を挙げたのにはビックリしましたが、ショーン・ペンのパーソナル・アシスタント(日本で言うところの”付き人”みたいですね。女性で、もう長く務めておられるらしく、ペンの作品のクレジットにも登場する)なんだそうです。米国でもスピーチ直後、「サト・マツザワって誰だ?」と話題になり、当初は男性か女性かも不明だったので、学校時代からの友人か、サーフィン仲間かとの憶測も飛んだようです(笑)。
■作品賞:4月の公開が待たれる『スラムドッグ$ミリオネア』
ノミネート最多13部門で話題を呼んだ『ベンジャミン・バトンの数奇な人生』との直接対決ではことごとく勝って、結局今年のアカデミー賞の顔となった本作。あのダニー・ボイル監督がボリウッドと組んだ意欲作です。期待大。
ところで『クイズ・ミリオネア』は英国発祥のクイズ番組で、今では世界70カ国のお国バージョンで放映されているらしい。日本版は最近もっぱらセレブ出演番組になってしまって、「芸能界内でお金回してどうすんのよ」って気がしないでもない。このクイズ番組は本来視聴者参加型で、一般人が四者択一のクイズで一攫千金を狙えるから人気を博したはずなのに、日本では司会者と出演芸能人(有名人)のやりとりがウリになってしまった。芸能人(有名人)なんて、こんな番組を利用しなくても自分の才能で稼ぎ出せば良いのに。否、稼ぎ出せるでしょう?
◆受賞スピーチはこちら(英語です)