はなこのアンテナ@無知の知

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抱っこひもを巡る問題に関して思うこと

2014年09月22日 | はなこ的考察―良いこと探し
 子育てには欠かせないグッズのひとつである抱っこひも(&おんぶひも←私も子育て期にはだいぶお世話になった)で、乳幼児の転落が問題になっていると言う。これも東京都が初めて実態調査して明らかになったことのようで、最近急に増えたと言うことではないようだ。しかも、「親の方はあわや我が子を死なせたり怪我させるところだったと後ろめたい気持ちもあって、こうしたことは今まで公になることがなかっただけで、調査結果も氷山の一角に過ぎないのでは?(←つまり、もっと多い)」と、調査した都は分析しているとのこと。

 そこで思い出したのが、ドイツで見かけた光景だ。こんなことなら写真を撮っておけば良かった。

 ドイツのベルリンでは、自転車の後部に自前で装着したと思しき小型のリヤカー(或いは、同様の形が製品化された自転車)に乳幼児を乗せて、ノンビリ走行(←ここ、重要なポイントです!)している姿を、結構な頻度で見かけた。

 同じ首都でも、どうしてこうも彼我の違いは大きいのか?やはり、東京は一極集中の弊害が大き過ぎるのか?ともあれ、ベルリンには、東京では考えられないような、ゆったりとした時間が流れていたように思う。

 さて、日本で問題になっている抱っこひもを使用中の乳幼児の転落事故は、おんぶから抱っこ、或いはその逆の動作の途中で起きたり、補助輪もついていない不安定なママチャリに、乳幼児を抱っこひもで抱えた母親が、後部座席にもうひとりの年長の幼児を乗せて走行中に起きているケースが多いらしい。前者は「立ったまま」「アスファルト等の路上」で行うのが大きなリスクのようなので、そのようなシチュエーションを避けるなど、使用者の注意で十分防げるものである。しかし、後者は使用者本人の注意だけでは避けられない背景を持っているように思う。

 仕事への本格復帰をできれば早めたい事情もあって、2人以上の子どもが欲しい親は、間をあけずに子どもを産み、育てるケースも少なくないようだが、そうなると、上記のようにひとりを抱っこひもで抱え、もうひとりを後部座席に乗せる形で、自転車に乗るケースが多くなる。特に都会では、地方と違って誰もが自家用車を持っているわけではなく(公共交通機関が発達して自家用車の必要性が乏しい上に、駐車場代など所有コストがバカ高い)、ママチャリ利用者が圧倒的に多い。

 慌ただしい朝の時間、家事を済ませ、急ぎ足で保育園に向かう母親達。それがリスクを増大させているとも言えるのではないか?

 安倍政権は、少子高齢化で労働力不足が叫ばれる中、女性の力を社会に生かす為、その社会進出を促す旨の発言を繰り返しているが、それならば、子育てしながら働く女性の負担軽減の仕組みを早急に構築すべきだろう。

 未だ解決しない保育所不足の解消はもとより、子育て中の母親が無理なく家庭と仕事の両立ができるよう、時短勤務や通勤の混雑を避ける時差出退勤の推進を、企業側に促す。その為には政府として、必ずしも大手企業とは限らない勤務先への経済的支援を行うことも必要だろう。

 さらに、自転車メーカーには、より安全なママチャリ開発に着手して貰いたい。乳幼児を乗せたまま走行しても安全な補助輪付もしくは三輪車のママチャリ、或いは、ドイツで見られたようなリヤカー付のママチャリ。そうなると、駐輪場のスペースも広げなければならないかもしれない。それが無理なら、日本が得意とする技術で、補助輪や車輪部分やリヤカーをコンパクトに折りたためるようにするとか、工夫の余地は幾らでもあるだろう。

 政府は「女性に働け」と言うのなら、子育てしながら働く女性の為に、それぐらいの環境整備を行うべきだと思う。これはけっして女性側の「甘え」ではなく、都会に産業も人口も一極集中し(←国が効率性を重視して、そう仕向けて来たんだし…)、核家族化が進んで親兄弟の援助もままならない子育て世代の窮状を鑑みての提言です(まあ、ネットの片隅で声を上げても、なかなか届かないかもしれませんが…)。生まれ育った地元で、親兄弟と助け合いながら子育て出来る環境なら、働きながらの子育ても、女性にとってそれほど大きな負担にはならないはず。しかし、現状はそうではない。

 特に都会では、大半の働く母親が、平日は家事や子育ての大半をほぼひとりで担い(母親同士の助け合いのネットワークにも限界がある)、青息吐息の状態にある。そんな追い詰められた状態で、母親が子どもとゆったりとした気持ちで向き合えるだろうか?

 政府は母親に働けと言うのなら(実際、団塊の世代とは給与体系も変わり、若い世代は共働きでなければ生活が成り立たない状況になっています)、子ども達の為にも、子育て世代のサポートをしっかりやって貰いたいものだ。それはそのまま、子ども達が健全に育つ環境作りを意味し、長期的視野に立って見れば、社会的コストの削減(個々の労働生産性の向上、治安維持等)にも繋がると思うのだ。
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