はなこのアンテナ@無知の知

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今回の新潟中越沖地震に思うこと~「減災」という考え方

2007年07月22日 | はなこのMEMO
《阪神・淡路大震災の負傷原因》
(トヨタホームのサイトより)

 「減災」と言う言葉は世の中にどれほど浸透しているのだろう?その意味を認識している人は、この日本に一体どれだけいるのだろう?恥ずかしながら私もよく理解しているとは言えない。

 では「減災」とは何なのか?どういった概念なのか?フリー百科事典ウィキィペディアによれば、「減災(げんさい)とは、災害時において発生し得る被害を最小化するための取り組みである。防災が被害を出さない取り組みであるのに対して、減災とはあらかじめ被害の発生を想定した上で、その被害を低減させていこうとするものである。」とある。

 1994年の阪神淡路大震災以降、日本は完全に「地震列島」と化した感がある。実際ここ10年間に発生した世界のマグニチュード6.0以上の地震のうち、20%以上が日本で発生したと言われている。しかし「地震年表」なるものを見ると、「地震列島」化は今に始まったことではなく、遙か昔から日本は地震多発地域だったことが一目瞭然だ。

 そもそも地球全体から見れば、日本列島は薄皮一枚に過ぎない。その上で私達は暮しているのだ。砂上の楼閣どころではない。地球がくしゃみするだけで、私達の足下はグラグラ揺れまくるほど脆いものだと思った方が良いのかもしれない。震災は忘れた頃にやってくるのではなく、前回の記憶が薄れる間もなくやって来る、予知も当てにならないほど日本列島の至る処で発生する。豪雨並に身近なものとして日常生活の延長線上にある災害と認識すべきなのだと思う。

 それにしても最も危険度が高いと言われながら、発生しないまま現在に至っている関東直下型や東海地震。ここまで来ると、地下深く地震エネレルギーが貯めに貯まっているのでは?と却って心配だ。ストレスは小出しにしないと大爆発を起こすのではないか?だからいつ地震が起きてもおかしくないのだと覚悟しておくべきかもしれない(人間死ぬ時には死ぬものだ。実は戦争で死ぬよりはまだマシだと思っている)

 過去何百年にも渡って地震の発生経験がなく、日本列島で最も安全な地域とさえ思われていた阪神地域での未曾有の大地震。この発生をきっかけに生まれた概念が「減災」らしい。研究に膨大な費用と時間と人間を投入しても、未だ決定的な効力を持ち得ない「地震予知」。その信頼性を根底から揺るがしたのが、阪神・淡路大震災だったのかもしれない。だからこそ「減災」という発想が生まれた。

 「あくまで被害を出さないために万遍なくコストをかける、いわば保険のような発想で行われていた「防災」から、 「如何なる対策をとったとしても被害は生ずるという認識のもと、災害時において被害が最も生ずる課題に対して、限られた予算や資源を集中的にかけることで、結果的に被害の最小化を図ろう」(以上、前出ウィキィペディアより)という「減災」の発想へ。今まさに私達は発想の転換を迫られ、その軸足を「防災」から「減災」へと移すべきなのかもしれない。

 そしてそれは従来の何もかもが行政頼みではなく、行政と地域住民の協働による日頃からの自然災害に強い防災街づくりを始めとして、地震が発生したら被害を被る私達自身の自助努力を促すものである。

 個人レベルでも普段の生活から見直しを迫られているのだと思う。具体的には防災用品の常備はもちろんのこと、非常時の家族間の連絡方法の取り決め、いざとなったら相互に助け合う良好な関係を日頃から近隣住民と築いておくこと、そして室内は極力モノを減らすなど、自分でできること、やるべきことは沢山ある。

 その意味で、今回の地震でも相変わらず寝室にタンスを置いてその下敷きになっている人がいるのが解せない。私達は「過去の経験」から学習しなければならないはずだ。

 昨日の朝の番組では、柏崎市北条(きたじょう)地区の市民の自助努力の様子がレポートされていた。前回の被災の経験を踏まえて、「向こう三軒両隣の助け合い」精神の下、地区の行政センターが中心となって炊き出しや老人世帯へのケアなどを行ったり、個人レベルでも震災に強い家造り(窓を減らし壁を増やすなどの改築)を実行に移している。こうした取り組みを私達も見習うべきだろう。

 とは言え、被災市民の自助努力にも限界がある。被害者へのケアなど、国、自治体レベルでの対応システムが構築されているのかも、マスコミによる被害報道を見る限り気になるところではある。少しは進歩してる?

■参考リンク東京大学・目黒教授の特別講座~ほんとうの阪神・淡路大震災 
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