昨日新作映画レビューの中で、ドイツ映画『マーサの幸せレシピ』が米ハリウッドでリメイクされた背景のひとつとして、米国のワーキングマザーの意識の変化があるのではないか、との推察をしました。するとそれに呼応するような記事が、昨日(21日)の日経夕刊15面に掲載されました。何てタイムリーなのでしょう。以下にかいつまんでご紹介。青字部分が記事からの抜粋引用です。
『少子化対策 これが足りない―日経ワーキングマザー会議から』
安倍首相の辞任表明による政治空白で、政府の少子化対策が停滞する懸念が強まっている。しかし、少子化対策の強化は待ったなしの状況だ。働く母親約400人が参加するモニター組織、日経ワーキングマザー会議のメンバーに新内閣に望む対策を聞いた。
政府の少子化対策の現状:「少子化社会対策大綱」「子供・子育て応援プラン」「新しい少子化対策について」など、過去数年に一連の対策を策定・実施。現在はこうした施策を深掘りしようと「子供と家族を応援する日本」重点戦略を策定中。
日経ワーキングマザー会議で9月上旬に実施したアンケートの結果:
政府の少子化対策に「不満」「どちらかと言えば不満」と答えた「不満派」は94%にも上った。
「国の対策と、家庭や職場で起きていることにはいつもズレがある」(東京、会社員、44才)
政府:出産費用の負担軽減、児童手当など経済的支援に重点を置きがち
当事者(ワーキングマザー)ニーズ(多い順に):
①労働時間の短縮等、仕事と生活の調和のとれた働き方(ワーク・ライフ・バランス)の実現に向けた環境整備
「男女とも長時間労働をなくす、減らすための施策を」
「男性の働き方が変わらない限り、何も変わらない。男性社員のワーク・ライフ・バランス実現の為の啓蒙や強制力のある制度の制定を希望」
「企業に理解させる為にも、具体的な指標を示すべき」
②放課後対策の充実
「両親と同居していないので、子供2人が小学校に入ってからの放課後の対応が不安」
「学童保育は自治体により充実度にばらつきがあり、自治体の財政難でむしろ縮小している。小学校入学以降が、親の就業を妨げる状態になっている」
制度・施設の整備に加え、
「安心して子供を産み、育てることができる社会形成への理解を深める」
「子育てには”お金”も必要だが、それ以上に”手”や周囲の理解が必要。社会全体が理解して、支援してくれる環境作りが大切」
他に、『児童手当の拡充』『小児医療体制の充実』など、さまざまな意見が挙がった。
アンケート結果に対し、専門家(武石恵美子・法政大キャリアデザイン学部教授)は以下のようなコメントを寄せていました。
「政府の子育て家庭への経済的支援策に対し、働く母親が求めているのは労働時間の短縮など、より柔軟な働き方だ。共働き家庭にとっては働き続けることが家計の支えとなり、その条件を整えることは、少子化対策としても、国の財政にとってもプラスに働くはずだ。現行の制度の枠組みの中で対応できることは多い。”在宅勤務”や”短時間勤務制度の拡充”など、職場レベルでより柔軟な働き方のメニューを増やして行く必要がある。まず先進企業が新しい働き方を実現し、国に制度化を促すことが、効果的な少子化対策になる」
首都圏では、ワーク・ライフ・バランスの疎外要因として、長時間労働の他に通勤時間の問題もあると思います。さらに地方出身者に至っては、親兄弟からのサポートを受け難いという不利な面も(←身近なワーキングマザー達を見る限り、自身の親世帯の近隣に住み、残業時の我が子の保育園の迎え、その後の食事や入浴等の世話を親兄弟にお願いしているケースが多い)。
ワーク・ライフ・バランスという言葉は初耳でしたし、その概念自体以前からあったとは知りませんでした。これは「人間は何の為に働くのか?」という労働の本質にも迫る概念だと思います。女性の就労やキャリア形成は、ともすれば経済的自立の側面からのみ語られがちですが、それからさらに一歩進んで、ひとりの人間の人生の中での「働くということ」の位置づけが問われる段階に来ているのかなと感じました。何かを得る為に何かを犠牲にするのではなく、両方を手に入れる為にはどうすれば良いのか。そう考える女性が増えている証でしょうか?男性以上に結婚・出産等、それぞれのライフステージで生き方の変化を迫られる女性は、より柔軟な発想で「働くということ」について考えられるのかもしれません。その意味でも、女性が積極的にイニシアチブを取り、社会を動かす原動力になり得る課題だと思います。
厚労省系研究機関も以下のような特集を組んでいるようです。
■特集『ワーク・ライフ・バランス』(独立行政法人 労働政策研究・研修機構公式サイトより)
『少子化対策 これが足りない―日経ワーキングマザー会議から』
安倍首相の辞任表明による政治空白で、政府の少子化対策が停滞する懸念が強まっている。しかし、少子化対策の強化は待ったなしの状況だ。働く母親約400人が参加するモニター組織、日経ワーキングマザー会議のメンバーに新内閣に望む対策を聞いた。
政府の少子化対策の現状:「少子化社会対策大綱」「子供・子育て応援プラン」「新しい少子化対策について」など、過去数年に一連の対策を策定・実施。現在はこうした施策を深掘りしようと「子供と家族を応援する日本」重点戦略を策定中。
日経ワーキングマザー会議で9月上旬に実施したアンケートの結果:
政府の少子化対策に「不満」「どちらかと言えば不満」と答えた「不満派」は94%にも上った。
「国の対策と、家庭や職場で起きていることにはいつもズレがある」(東京、会社員、44才)
政府:出産費用の負担軽減、児童手当など経済的支援に重点を置きがち
当事者(ワーキングマザー)ニーズ(多い順に):
①労働時間の短縮等、仕事と生活の調和のとれた働き方(ワーク・ライフ・バランス)の実現に向けた環境整備
「男女とも長時間労働をなくす、減らすための施策を」
「男性の働き方が変わらない限り、何も変わらない。男性社員のワーク・ライフ・バランス実現の為の啓蒙や強制力のある制度の制定を希望」
「企業に理解させる為にも、具体的な指標を示すべき」
②放課後対策の充実
「両親と同居していないので、子供2人が小学校に入ってからの放課後の対応が不安」
「学童保育は自治体により充実度にばらつきがあり、自治体の財政難でむしろ縮小している。小学校入学以降が、親の就業を妨げる状態になっている」
制度・施設の整備に加え、
「安心して子供を産み、育てることができる社会形成への理解を深める」
「子育てには”お金”も必要だが、それ以上に”手”や周囲の理解が必要。社会全体が理解して、支援してくれる環境作りが大切」
他に、『児童手当の拡充』『小児医療体制の充実』など、さまざまな意見が挙がった。
アンケート結果に対し、専門家(武石恵美子・法政大キャリアデザイン学部教授)は以下のようなコメントを寄せていました。
「政府の子育て家庭への経済的支援策に対し、働く母親が求めているのは労働時間の短縮など、より柔軟な働き方だ。共働き家庭にとっては働き続けることが家計の支えとなり、その条件を整えることは、少子化対策としても、国の財政にとってもプラスに働くはずだ。現行の制度の枠組みの中で対応できることは多い。”在宅勤務”や”短時間勤務制度の拡充”など、職場レベルでより柔軟な働き方のメニューを増やして行く必要がある。まず先進企業が新しい働き方を実現し、国に制度化を促すことが、効果的な少子化対策になる」
首都圏では、ワーク・ライフ・バランスの疎外要因として、長時間労働の他に通勤時間の問題もあると思います。さらに地方出身者に至っては、親兄弟からのサポートを受け難いという不利な面も(←身近なワーキングマザー達を見る限り、自身の親世帯の近隣に住み、残業時の我が子の保育園の迎え、その後の食事や入浴等の世話を親兄弟にお願いしているケースが多い)。
ワーク・ライフ・バランスという言葉は初耳でしたし、その概念自体以前からあったとは知りませんでした。これは「人間は何の為に働くのか?」という労働の本質にも迫る概念だと思います。女性の就労やキャリア形成は、ともすれば経済的自立の側面からのみ語られがちですが、それからさらに一歩進んで、ひとりの人間の人生の中での「働くということ」の位置づけが問われる段階に来ているのかなと感じました。何かを得る為に何かを犠牲にするのではなく、両方を手に入れる為にはどうすれば良いのか。そう考える女性が増えている証でしょうか?男性以上に結婚・出産等、それぞれのライフステージで生き方の変化を迫られる女性は、より柔軟な発想で「働くということ」について考えられるのかもしれません。その意味でも、女性が積極的にイニシアチブを取り、社会を動かす原動力になり得る課題だと思います。
厚労省系研究機関も以下のような特集を組んでいるようです。
■特集『ワーク・ライフ・バランス』(独立行政法人 労働政策研究・研修機構公式サイトより)