はなこのアンテナ@無知の知

たびたび映画、ときどき美術館、たまに旅行の私的記録

(25)試写会『シュレック3』

2007年06月22日 | 映画(2007-08年公開)
 6月19日(火)、一ツ橋ホールにて

 シュレックの物語の何が一番良い(=心地よい?)かと言ったら、やっぱり”自己肯定感”だろうか?主人公のシュレックフィオナも”一般の美の基準”からは大きく外れた自分自身の外見を肯定的に受け止め、互いの(もちろん外見だけでない)ありのままを認め合っている。人間誰しも自分自身の理想像と現実の自分とのギャップに悩んでいるだろうから、この作品を見ると心の重しを下ろすようなホッとした思いにかられるのでは、と思う。さらにフィオナを取り巻くおとぎの世界の美女達~白雪姫、シンデレラ、眠りの森の美女~よりも、そのウィットに富んだ語り口からフィオナの方が何倍も魅力的に見えて来るから不思議だ。

 そして幸せの在り方はひとつではない、という明確なメッセージ。今回は、おとぎの国の王位を巡る争い(陰謀?)にシュレックとフィオナが巻き込まれる。豪奢な城に住み、おとぎの国の王として権力を手中に収めることよりも、シュレックとフィオナが望んだものとは…?二人の選択に上昇志向の強い人はハッとさせられるのでは?

 所詮おとぎ話―と受け流すなかれ。今ひとつ幸せを実感できない人に欠けているのは、この自己肯定感と多様な価値観に目を向ける広い視野なのかもしれないのだから。

同じくDREAMWORKSが手掛けた"ANTZ"(1998)


 映像表現の素晴らしさは言うに及ばず。かつて水の表現に革新をもたらしたとされるアニメ『アンツ』から、この『シュレック』に至ってひとつの到達点に行き着いたと言えるだろうか?登場するキャラクターの動きも実に滑らかで、実写映像と変わりない。
【追記】
 6月30日放送のテレビ番組『王様のブランチ』では、アニメーターにインタビュー。それによれば、『シュレック』の場合通常とは逆で、人間の台詞にアニメの動きを合わせるのだそうだ。その為に、なんと3秒のシーンを作るのに1週間を費やすらしい。番組ではその”衝撃の事実”に、リポーターのりりこが思わずひれ伏していた(笑)。そういう想像を絶する綿密な作業によって、あの映像表現が可能となったのだ。

 家族で楽しむアニメ映画から、大人だけでも楽しめるアニメ映画へ。『シュレック』シリーズがその筆頭であることは間違いないと思う。


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