はなこのアンテナ@無知の知

たびたび映画、ときどき美術館、たまに旅行の私的記録

パウル・クレー展―線と色彩―

2006年02月27日 | 文化・芸術(展覧会&講演会)

公式サイトより。残念ながら開催は明日28日(火)まで。

先日、美術館ボランティアの会合の帰りに、
他のメンバーから招待券をいただいたので、
行って来ました。
閉会も迫っているので(明日)、貰った当日に
思い切って行って正解でした。
私は、画家パウル・クレーのことをあまり知らないので、
正直言って、あまり語れません。
備忘録として、展覧会を見て、私なりに何を感じたかを
書き留めておきます。

公式サイトの解説によれば、パウル・クレー(1879-1940)は
「線を引くこと」を出発点に、画家として歩み始めたらしい。
なるほど、初期の作品は一筆描きを思わせるような単純な
線描であったりする。それが、旅や芸術家との出逢いを
重ねるにつれ変化して行く様が、この展覧会では展示作品の
多様性によって、よく判るような構成になっている。
会場の大丸ミュージアム自体、デパート内に設置された
小規模なギャラリーなので、展示作品も数量的にそれほど
多くはなく、それが却って幸いして、限られた時間内に
一点一点をじっくり見ることができたように思う。


《ピラミッド》(1930)

私が特に気に入ったのは写真の《ピラミッド》。クレーが
51歳の時の作品だから、比較的晩年のものと言える。
直線的な線描の重なり具合と、淡い色彩のグラデーションが
素敵だなと目に留まった。暖色系のピラミッドの色面に対し
寒色系の背景は空を表現しているのだろうか?
かつて実際にピラミッドを見た時のことを思い出した。
古代遺跡ながら、精巧な四角錐であるピラミッドの
幾何学的な面白さとピラミッドと背景の空の色の
コントラストをクレー流に処理するとこうなるのか、
と言った驚きをもって見た。
画家の目を通して見た既知の風景は、懐かしさと
新たな魅力の発見をもたらしくてくれるのだなあ。

大学の「デザイン」の授業で、まず単純な線を無作為に
重ね描き、次に、その線描に色彩を乗せる、と言った
手順の作業を行ったことがある。これには無機質な線描が、
着彩によって違ったイメージを生み出す面白さがあった。
そんなことを思い出したのは、クレーのこの作品に絵画
というより、意匠性を見出したからだ。70年以上も前の
作品ながらけっして古びれておらず、現代性を持った作品。
現代はデザインの時代などとも言われているが、クレーは
そんな現代の先駆者だったのかな、と思ったりする。

それにしても清潔感のある作品群だなあ。
それが彼の作品を嫌いだと言う人があまりいない理由の
ひとつなのか?一点の曇りも汚れもないドイツやスイスの
窓を連想するのは私だけだろうか?
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