はなこのアンテナ@無知の知

たびたび映画、ときどき美術館、たまに旅行の私的記録

収入格差をリアルに感じる

2022年10月21日 | はなこのMEMO
見出し写真は「那須テディベアミュージアム」で撮ったもの。残念なことに、このミュージアムの親会社が、今問題になっている東京オリンピックを巡る贈収賄事件の当事者になってしまっています😢世の中、不正だらけ…

最近、ニュースで度々取り上げられる話題が、日本と海外との収入格差。

具体例では、オーストラリアにワーキングホリデー制度を利用して移住した板金工の男性が日本で働いていた時の2倍に相当する月収70万円、美容師女性が5倍の100万円、そして、米国に渡った寿司職人の男性に至っては年収が25倍の7,500万円と、驚くような数字が並びます。

実は今、息子の中高時代の同級生が入国緩和を機に、移住先のオーストラリアから約3年ぶりに家族で帰国中です。

高校、大学を経て、それぞれオーストラリア、京都、神奈川、東京、千葉、茨城、そして栃木と、就職を機に離れ離れになった彼らは、コロナ禍で会うこともままならない中、不定期にオンライン飲み会を行い、互いを励まし合って来たと言います。

そして先日、そのうちの3人が茨城で落ち合い、リアル飲み会を行ったのです。

そこで飲み進むうちに酔いが回り、当然のように今ホットな話題の収入格差に。

ここで書いて良いのか迷うところですが、院卒で、世界規模で事業を展開する企業に勤務する息子の年収が700万と聞いたオーストラリア在住の友人は、その金額に驚いたのだそうです。

この友人、日本企業には見向きもせずに早稲田大を出てすぐにオーストラリアに移住し、なぜか日本料理店の板前として勤務したのち、トラックドライバーとなった人。私から見ても、チョット面白い子です。そして驚くなかれ、年収は息子の倍を超える1,500万円なんだとか。

息子にしても、31歳のメーカー勤務としてはそれほど低い収入ではないはずですが、ここ30年頭打ち状態の日本の給与を象徴するような、オーストラリアとの収入格差に、本人も愕然としたようです。

しかも、日本の方がそもそも本体なのに、米国の現地法人の方が給与は高いらしい。

さらには、韓国の同業他社の方が息子の会社より給与は高いとも。後発ながら、安価な価格帯で世界的シェアを伸ばし、商品の品質はともかく販売数では今や息子の勤務する企業を上回っているのですから、結果的に逆転現象が起きたとしても仕方ないのかもしれません。

息子の話を聞く限りでは、彼自身は新製品の結構コアな部分の開発に携わっており、その仕事のレベルも彼のスキルもけっして他国の開発者に見劣りするものではないと思うのですが、日本はエネルギー資源、鉱物資源、そして基幹システムを制御する半導体を輸入に頼る以上、生産コストをはじめ、物流コスト他も嵩みがち。その結果、費用対効果の指標のひとつである?労働生産性が数値上低くなるのはやむを得ない部分もあるのでは?

前述の移住した人々が、移住したことで急激にスキルアップして、労働生産性が上がった対価として高給を得ているわけでもないように。

故に今日のニュースで、ここ30年の非正規雇用の増加による社員のスキル低下により、技術競争力が低下したのが労働生産性の低下に繋がったとのマクロ経済専門家の指摘には、個人的には納得の行かないものがあります。

他国の国家主導(具体的には米中)の、時に大胆とも言える産業振興策による技術競争力の向上を見れば、ここ30年の我が国の政官の無策に、日本が自動車産業に代わる新たな基幹産業を生み出せなかった原因を見出せるはずです。

特に米中と比較して教育や研究開発への予算配分が少な過ぎる。国民の教育と研究開発支援に国が注力せずに、国民の労働生産性が低いとは、正に「どの口が言う」です。

政治家が、この国を将来的にどのような国にしたいかの理念やヴィジョン無しに、場当たり的な政治に終始していては、国民、特に若い世代は将来への希望が持てず、前向きに生きる気力も湧かないでしょう。

電車やバスの車内で、虚な目をしてスマホゲームにうつつを抜かす若者達を見る度に、彼らの奴隷的な将来像を想像して悲しくなります。

自分の思うがままにこの国を動かしたいと考える為政者からしたら、国民が衆愚であることは好都合に違いありません。

無策政治の元凶はズバリ、政治家の世襲です。政治に携わる議員と言う職業を単なる「家業」として世襲するような人は、この国の将来をどうするか国民を幸福にするために政治は何をすべきかについて、具体的なアイデアどころか、関心もないでしょう。

世襲が多い社会的地位の高い職業の中でも、医師の世襲はまだ許せるのです。彼らは大学の医学部で6年間学び、必要最低限の専門知識を得た後、医師国家試験でふるいにかけられ、さらにインターンとして従事し、ひとりの医師として認められるまでに少なくとも7〜8年を要します。その間に自らの適性の有無を自覚出来るでしょう。

どうせなら、政治家になる為に最低限必要な知識の有無を測る「政治家国家試験」でも作れば良いものを。それにパスしなければ選挙に出馬できないか、出馬し当選したとしても国家試験にパスしない限り議員報酬は減額するとか…でも、法律を作る側の議員達が自分達に不利になるようなことは法制化しないでしょうね。議員定数削減ですら実現出来ていないのですから。
  
あるのは祖父、父譲りの利権をいかに守るかと言った取り巻き連への配慮と、政治家と言う家業を我が子へいかにして継承させるかと言う自己保身のみ。

そんな政治家連中を易々と国政に送り出す有権者は、この国が今後どうなっても良いと考えているのでしょうか?否、この国の将来についてなんて、何も考えていないのでしょう。

皮肉を言えば、政府が敢えて民主主義に則った有権者教育を児童生徒に実施せず、寧ろ政治への関心を逸らす為にダメ押しで我を忘れて熱狂するスポーツや芸能の振興に注力し、さらに無難な笑いの大衆娯楽を公共の電波を通じて提供し、政治に無関心な有権者を量産しているのが、今の日本なのでしょう。

そして一握りの人々のみが我が世の春を謳歌し、それ以外の大多数の人々が彼らの栄華を支える為に、自らの人生に半ば絶望しながら死ぬまで働き、使途も不明瞭な税金や社会保険料を国に納め続けるのです。

日本の衰退を否応無く見せつけられるこのところの急激な円安基調に、この30年の経済停滞の元凶である政治の無策が、返す返すも残念でなりません

国民が政治に無関心でいられるのは国の政治が安定しているからだ、との説もありますが、今の日本はこれ以上国民が政治に無関心ではマズイ状況にあると思います。

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2 コメント

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Unknown (hanakonoantena20220612)
2022-10-23 11:53:33
ヌマンタさん、コメントをありがとうございます。

官僚の世界も世襲が少なくないと言うのは知っています。皇后さまもそうですし…私が駐在していた国の大使館でも父親がキャリア外交官で、本人はノンキャリアの事務官と言う人がいました。商社も生育環境で語学堪能な人が多いせいか、親子二代、三代に渡って商社マンの方も珍しくない。

親が我が子に自分と同じ職業に就かせたいのは、やはり、ひとつにはその職業に旨みがあるからかと(もちろん、損得だけではないですが、自分の知っている仕事だからアドバイスも出来ますし)。

労多くして益少なしなら我が子に勧めないですよね。だから、農業や畜産業で後継者不足なのでしょう。

世襲で問題なのは、二代目、三代目が、先代ほど優秀ではないケースが多いこと。昔の政治家や官僚は東大卒が多かったですが、最近は私大卒が多いですよね。これは東大生が官僚を目指さずに外資に流れていることもありますが、その間隙を縫ってコネ採用が蔓延っている証拠だと思います。

そして世襲政治家の問題は自身が本来第一に考えなければいけないのは天下国家の問題なのに、先代からの支持者のしがらみが強すぎてその利権保護を優先して、政策で公正な判断が出来ない。

中国の皇帝は幼い頃から帝王学で国のトップはどうあるべきかを学び、世襲であっても名君と呼ばれる人は自身や身内の利益より天下国家のことを考えて、出自に関係なく優秀な人物を登用したと言われます(今のキンペイがやっていることは真逆ですね)。

日本は日本の舵取りをする重要な職種で、利権保護が目的の世襲がまかり通っているから、国が衰退する一方なんだと思います。

凄く腹立たしいです。
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Unknown (ヌマンタ)
2022-10-21 12:06:44
あまり知られていませんけど、官僚の世界でも世襲は珍しくないです。特にキャリア官僚ほど多い気がします。ノンキャリでも教職員の世界は、身内人事が横行しています。父系で見ても分からなくても、母系でみると親族がらみの人事が多いこと、ビックリすると思いますよ。でも、それを子の幸せと願う親がいるからこそ行われているのです。日本が停滞するのも当然でしょう。私からすれば、人口が減少する以上、いかに穏やかに衰退するかが日本の課題なんですけどね。
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