ロンドンからの日帰り旅～コッツウォルズ（番外編）

バスツアーの後半から降り出した雨が、観光を終えて
ロンドンへと戻る頃には、どしゃ降りになりました。
バスは、コッツウォルズ地方を出てハイウエイに入ってから
しばらくすると、雨と雨が原因の事故（だったらしい）
による大渋滞に嵌ってしまいました。何と１時間半あまりも
殆ど動かない。おかげで予定の帰着時間より２時間近くも
遅れることに…。

途中下車も構わないというので、私と息子は私達が利用する
ハマースミス駅(Hammersmith Sta.)から４駅離れたグロース
ターロード駅(Gloucester Sta.)前で下車しました。ツアー中
行動を共にした彼女も偶然同じ場所で下車。しかし、ホテル
へは徒歩で帰れるとかで、その場でお別れしました。結局
互いに名前も名乗らず別れたのですが、⑤で書いたように、
嬉しい言葉をいただき、爽やかな余韻の残る別れでした。

思いがけない出来事

グロースターロード駅は、前回の旅行で宿泊したホテルの
最寄り駅で、名前を聞いた時には一瞬懐かしさを覚えました
が、なんせ１２年ぶりだったので、いざ目にしてみると何も
覚えていないのに、自分でも苦笑してしまいました。強いて
言えば駅前の商店で、日本製のビールを買った覚えが。
イギリスに来て日本製ビールもなかろうと思うでしょうが、
当時は海外駐在中だったので、夫にとっては久しぶりの日本
製ビールだったのです。その時は「健康管理休暇」という
名目で２週間の長期滞在だったので、ビール好きの夫には
何よりの休暇、そして気分転換になったと思います。

もう時間は８時を過ぎていて、食欲がない、という息子を
「とにかく何か食べないと夜中にお腹が空いてしまうよ」
と説得し、これまた懐かしい駅前のケンタッキー・フライド
チキンに寄って、チキンやポテトを買い込み、駅へと向かい
ました。改札を抜けてホームに向かうエレベーターに乗った
のですが、なぜかこれが動かない。あいにく近くに駅員も
人もいない。仕方がないので、すぐ近くにあった階段で
ホームに行くことにしました。するとこれが長いらせん階段
で、行けども行けどもホームに辿り着かない。地下深く掘ら
れたロンドンの地下鉄を改めて思い知らされました。らせん
階段だから、なおのこと長く感じられたのかもしれません。

やっとのことホームに辿り着いたところで、思いがけない
出来事に遭遇しました。息子が突然「Ｋ（人の名）」と
叫んだのです。なんとそこに、息子の中学のクラスメイト
が母と弟の３人でいたのです。お母さんはＰＴＡで何度も
お会いしているので、もちろん知っています。思いがけない
場所で、知った顔を目にして、本当にびっくりしました。
息子もクラスメイトのＫ君と互いに「どうして…どうして
ここにいるんだよ」と言い合っています。しかしそんなこと
とは知らない幼い弟さんは、「早くホテルに戻ろうよ」と
走り出し、ろくに話もしないまま別れてしまったのでした。

もし私達がその日バスツアーに参加しなければ、バスが
２時間遅れで到着しなければ、そしてグロースターロード駅
を利用しなければ、こんな奇遇はあり得なかったのです。
上京して間もない頃、何年も音信不通だった幼なじみと
銀座のソニービル前で偶然再会した時以来の驚きでした。

その後帰国して、高校最初のＰＴＡの会合がありましたが、
Ｋ君のお母さんとはお会いしていません。会えるとすれば、
こちらの方がよほど確率的には高いはずなのに（笑）。

【追記】今やイギリス観光の人気スポットのひとつであある
コッツウォルズですが、１６年前の観光ガイドブックでは
全然触れられていないんですね。地図にさえ登場しない。
いつ、誰が、この地方を観光地として”発見”したの
でしょう？ガイドブックにさえ載っていなかったのだから
１２年前の私が知る由もなかったわけです。