はなこのアンテナ@無知の知

たびたび映画、ときどき美術館、たまに旅行の私的記録

ユナイテッド93

2006年09月02日 | 映画(2005-06年公開)


昨日は防災の日であり、映画の日でもありました。
私の主宰するBBSでも話題に上ったし、
そろそろ近所のシネコンでは上映も終わりそうなので、
思い切ってタイトル作を見て来ました。

正直言って、最初に映画館でこの作品の予告編を見た時、
まだ記憶が生々しい段階で、
どうして悪夢を呼び覚ますような映画を作るんだろう?と思った。
お金を払ってまで、苦痛を追体験することもないだろうと思った。

監督はあの『ボーン・スプレマシー』(←オススメ)
ポール・グリーングラス。
彼は元はドキュメンタリー畑出身。
実際に北アイルランドで起きた事件を元に、
今回の『ユナイテッド93』と同様の手法
(ドキュドラマ[docu-drama]と言うらしい)で制作した
『ブラディ・サンデー(血の日曜日)』という作品で、
02年のベルリン国際映画祭金熊賞を受賞した実力派監督。
残念ながら『ブラディ・サンデー』は日本では劇場未公開らしく、
私も未見。ビデオ(DVD)は出ているそうだから
見ようと思えば見られなくもない。
しかし、国際的評価の高い作品が、
どうして劇場未公開なんだろうねえ?>日本。

で、見ての感想はと言うと、
乗客・乗員の絶望と混乱と勇気がないまぜになった描写が
心にズシンと来た。
やはり娯楽作品とは一線を画すもの。
人間は自らの命の最後に何を思い、どう行動するか?
しかも予期せぬ事態に遭遇し、想像を絶する恐怖の中で、だ。

地上の混乱の様子や映し出されるTWC炎上の映像も、
あの日を思い出させる。

最後まで緊張感の途切れない演出はさすがだ。
まさにドキュメンタリー仕立て。
機内の描写は、予めきっちりスクリプトを用意せずに、
綿密なリサーチを下敷きに役者達は被害者の人となりを理解し、
被害者になりきって、その場の雰囲気で
アドリブをどんどん入れたらしい。
それが演技とは思えない緊迫感・臨場感を生み出したのか?
機内の出来事は、乗客の家族への電話の内容や
地上(管制塔)で把握した航行記録を元にした、
あくまでも想像の域を出ないものかもしれないが、
制作者の真摯な意図(犠牲者追悼)は伝わって来る。

それにしても、このような作品(今後も続々と出てくるだろう)
を制作し、見続けるアメリカという国。タフな国だと思う。
「アメリカを守るのは私達の義務」という
アメリカ在住者の言葉にも説得力がある。
日本に同様の事態が起きたら、
おそらく私達は何もできないのではないか?
”その時”も、そして、”その後”も。
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