はなこのアンテナ@無知の知

たびたび映画、ときどき美術館、たまに旅行の私的記録

『開運、なんでも鑑定団』で思うこと

2012年06月22日 | はなこのMEMO
■まず、思うこと。

日本は各地に旧家、名家が数多く存在し、
そこの蔵には、想像以上にお宝が眠っている。
この番組で、そのことを改めて知ったと言っても良いだろう。
先祖代々の家系図が存在する素性確かな家に眠るお宝は、
ほぼ確実に価値のある物である。
しかし、これにも例外があって、
混乱期に使用人に持ち去られる等した後に残ったお宝は、
ニセ物とすり替えられた可能性もあるようだ。
ここで残念なのは、なぜ、使用人にそういうことをされたのか、と言うことだ。


■やはり世代別に見れば、お年寄りはお金を持っている。

海外旅行には頻繁に行くし(そのことを番組内で自慢げに語る人が多い)
そこで骨董品を買う人も少なくない。
旅先で、しかも海外で、骨董品を買うと言うことは、
かなりリスキーだと思うのだが、
「教育資金」や「住宅資金」の不安が最早ないお年寄りは、
素性も確かでない骨董品に、思い切りよく大金をはたく。
若い世代が羨むほどの豪快なお金の使い方をする
(それは別名"無駄遣い"とも言う)

そして、鑑定団に鑑定依頼をするようなお宝を持っているお年寄りは、
身なりからして違う。実年齢を超越した若さを保っている人が多い。

それは「お金持ちだから」と言う理由だけでなく、
「好奇心が旺盛」「常に緊張感を持っている」等の心構えによるのかもしれない。
もっとも、それだけの余裕がもてるのは、
「お金持ちだから」とも言えるのかもしれない。

女性は100才近い人でもスーツを着こなし、フリルやレースがよく似合う。
中には日々化粧を欠かさない、と言う人もいる。

男性は、旧家名家の出でなければ、医師や元会社経営者が圧倒的に多い。
そして、たとえ高齢でも現役で医師の人は、
会話のレスポンスが高齢とは思えないほど早い。言葉も明瞭だ。
かくしゃくとして、背筋がピンと伸びた人が多い。
おそらく医師と言う職業は、脳をフルに使い続けるので、
同世代と比べて脳年齢が、かなり若いのだろう。
医師と言う職業は、その意味でも魅力的な職業のようだ。


■成金の人は、「成功の証」に骨董品や美術工芸品を持ちたがる。

しかも、すでに評価が定まっている品目や作家のものを、
骨董店などで高値で購入し、その値上がりの程を期待して、
鑑定団に出品する傾向が高いようだ。

彼らにとっては骨董品も美術工芸品も、所詮、「投機の対象」でしかないのか。

しかし、予め投機目的で購入した物なんて、
その品と持ち主の間にストーリーのない鑑定品なんて、
たとえ、持ち主の思惑通りに、買った時の値段より高額な鑑定が下っても、
見ていて、ちっとも面白味を感じない。
寧ろ、成金臭が鼻につくだけだ。


■借金の肩代わりに預かった骨董品は、99%がニセ物。
そもそも、借金額に相当する品なのであれば、
それを売ってお金にすれば良い話。
よくよく考えれば分かりそうなものだが、
元々人が良いのか、義理人情に堅い人なのか、
殆どが騙されて、ニセ物を掴まされている。

しかし、1%真品の確率も残されている。
それは、廃仏毀釈の直中や戦中戦後のどさくさ等、時代の混乱で、
困窮した持ち主が、やむにやまれず手放したお宝もあるからだ。


■中島誠之助氏は、「出張鑑定団」で全国行脚を楽しんでいるに違いない(笑)。
まさに「役得」である。
しかし、中島氏には鑑定品に対する「愛」が感じられるので、それも許せる(笑)。


■これは番組の"罪"なのかもしれないが、
この番組をきっかけに、
自分のお宝が番組で高額鑑定されるのを夢見て、
骨董集めを始めた人も少なくないのではないだろうか?

しかし、そう言う人に限って、
博物館や美術館や骨董店に通い、
審美眼を鍛えてから買う、と言う順番を踏まず、
ただ闇雲に、骨董店側から勧められるままに、言い値で買ってしまい、
高値掴みする傾向が否めないようだ。

これでは、悪徳骨董店のいいカモである。
まずは買うより何より、骨董品や美術工芸品への愛情が大事だと思う。

足繁く博物館・美術館に通い、数多くの名品を見る。
審美眼を鍛えるには、それしかない。

本当に、その品の価値を知り、愛でることができるのか?
それなしに、ただ投機目的で買われるのでは、
骨董品も美術工芸品も可哀想だ。



何せよ、この番組は人間の自己顕示欲をくすぐる要素を多分に持っている。
だからこそ、さまざまな人間ドラマが垣間見えて面白い、と言えるだろうか?
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