少年カメラ・クラブ

子供心を失わない大人であり続けたいと思います。

モールス符号の認識(10)

2013-05-03 19:21:06 | 無線電信の巧みと技
我々の記憶というものは、複雑なメカニズムをしてます。 記憶に関しての実験的な研究では、我々は数種類だけでなく、いくつかのレベルのメモリを持っているということを多年にわたり示しています。 最初は”感覚のレジスタ”と呼ばれるのもであり、我々が何かを見たり聞いたりする時間が短ければ短いほど、あたかもある瞬間それを依然見たり聞いたりしているかの様な意識で持続していますが、やがて急速に消滅します。 しかしながら我々が、視界(視覚)と音に意識して注意を払うなら、適切な”短時間メモリ”に入り、そこで15-20秒間留まり、消えていきます。 我々が慎重に少しでも長く覚えておこうとし、強い意識の元で”長時間メモリ”バンクに送り込む努力をしない限りいずれ消滅するでしょう。

ここで言っている記憶システムのモデル化にあてはめると、モールス信号の受信においては、まずは感覚のレジスタに読み取ったコードに対応する文字を投影するのが最初のレベル、そして短時間メモリに単語をとりこむところまでを自動化するのが次のレベル、最後が長期記憶レベルでの認識だけを意識するのが最後のレベルということでしょうか。

モールスの技能向上においては、心の無意識の部分と有意識との関連が注目され、いかにそれらがメモリと結びついているかによります。

無意識と有意識というのは、右脳と左脳と読み替えてもいいでしょう。たかがモールス信号ですが、なかなか奥が深いですね。<終わり>


モールス符号の認識(9)

2013-05-03 19:08:17 | 無線電信の巧みと技
50wpm付近のスピードで、トン・ツーを別々に判読することができなくなります。つまり、混ざって聞こえてくるのです。細部を理解することにこだわることを止め、また、もしコードを理解することを続けているのなら、受信するときの意識の中に明らかな変化が起こってくるはずです。

50wpmというのは正直言ってすごいスピードです。現時点で全く私は読むことができません。まさに長点と短点が混ざって聞こえるのです。このレベルのコードが聞こえるようになるためには、細部にこだわることをなく右脳の働きに信頼を寄せることが必要になるのでしょう。

高速では音がかすんで聞こえると言うでしょう。

音がかすんで聞こえるってどういうことでしょうね。コードを認識するレベルの脳の活動が、意識レベルからほとんど消えさっているということかもしれません。


モールス符号の認識(8)

2013-05-03 17:42:22 | 無線電信の巧みと技
私たちが文字や言葉で聞いたことを、直ぐに鉛筆と紙、又はタイプライターで記述します。 これは、耳、頭脳、手を一体化させる学習です。 手書きのコピーで、ヒアリングの全ての能力が判ります。

文字が送信されたら即座にその文字をコピーするやり方を長時間続けることは緊張を増し頭の中にバッファーあるいは短時間のメモリーを置き、入力信号と書き下している部分との補完をする のです。符号を聞いてそれを書き出すまでの間にたくさんの文字や単語が自動的にメモリーされ、一方 で次ぎの符号が来るのを待っているという状況です。この方法は書き下しにかかる時間と符号長の相違 をなくすのに有効なばかりでなく、コピー時の精神的な緊張も解きほぐします。それはクッションのよ うなものです。このようにして、より見栄えの言いコピーが可能になり、固有名詞などには適切に大文 字を使うことなども出来るようになります。

最も高速のオペレータは1か2以上の音節あるいは単語を遅れコピーする必要はないといいました。ス ピードが上がっても、これくらいが安全な上限であると。(一部のエキスパート、例えばTed McElroy は6かそれ以上の単語を、あるいは文章全部さえも、全く問題無く遅れコピーできたようです。我々の ほとんどはおそらく真似できません)文字毎のコピーは書くことに意識的作業を伴いますが、これは遅 れてコピーする試みに対する弊害になります。


書き取ったメモを見るとその人のスキルがすべてわかるとは、恐れ入ります。固有名詞の大文字化などは、即時記録では対応できませんね。つまり、個々の文字を聞いた瞬間に書き取るのではなく、1個くらいの単語を短期記憶のメモリにいれて、信号に遅れて書き取るのが良いようです。

モールス符号の認識(7)

2013-05-02 22:40:46 | 無線電信の巧みと技
「私の耳に入ってくるコードが単語として出ていく」。私達は個々のコードを文字として意識的にあるいは無意識のうちにそれを認識することを学んできたように、こんどは次のステップに進み、これらの文字を心に貯めて一まとめにし、意識して個々の文字を別個に聞いたりすることなく、単語(ワード)に変えます。私達は潜在意識でもって単語(ワード)を表現することを習得しなければなりません。 

心のモニタースクリーンに文字を投影することができるようになると、次のチャレンジは単語を直接投影することになるようです。意識的な作業としてそれぞれの文字を受信しているという感覚はもうなくなっているということですね。残念ながらわずかな単語以外でこういう感じでモールス信号が聞こえることはまだないんだけど、このレベルではもちろんボキャブラリが重要になるだろう。だって、無意味な文字列をイメージできるようになるとは思えない。語彙というのはどう考えても意識的なレベル(左脳)でのものだろうし、無意識的なコードの読み取りは右脳の働きになる。とすると、このレベルは左と右の脳が互いに協力しているということになるのではないでしょうか。

そういえば、ベティ・エドワーズの脳の右側で描け(第4版)の87ページに、「自分の描いているフォルムのエッジにさわっているように想像することを勧めました。」とあります。それは意味をもつ前景と意味のない背景との接点に意識を持っていくというような意味なのですが、その結果「自分が描いている個々のエッジへの集中力が高まり、そのおかげでシンボル(既成概念)を描かずにすんだ。」と書いてあります。それはまさにモールス信号の認識における右脳と左脳のそれぞれの働きの境界を意識することにつながるのではないでしょうか。ちょっと難しいかな?

モールス符号の認識(6)

2013-05-01 17:07:02 | 無線電信の巧みと技


意味が理解できる単語やフレーズが心すなわち「内なる目」の前で整列するかのように、コードが非常にゆっくりしたものに聞こえるようになります。一つ一つの文字というよりも、単語やフレーズを、またメッセージの意味を全体として聞き取るようにするのです。 「鉛筆を捨てて、楽しんで聞きましょう」というのは非常によいアドバイスだと思います。

一つ一つの単語すなわち符号の集合を心のモニタースクリーンに写し出してください。

「心のスクリーン」は、まさにタイプライターのようなものです。タイプライターや黒板を目に見えるようにして、その上に送られ てくる単語を書き留めていくのです。また、スクリーンをゆっくりと横切る言葉のように。1つ1つの文字を心のモニタースクリー ンもしくは黒板に写し出しましょう。


モール信号を習得する上で、とりあえず目指すべきゴールというのはこういう状況をさすと考えてもいいだろう。自分のレベルも今この辺をもたもたしている感じだ。英語の平文を聞くと、よく出てくる単語は何となく塊として聞こえるようになった。長い単語や短い符号(EやIなど)になると、ぽろぽろととりこぼす。そんな感じではあるが、符合そのものに意識を向けるのではなく、心の中のスクリーンに文字を浮かべるイメージは何となくできつつある。それにしてもコードが非常にゆっくり聞こえてくるってどういう感じだろう。

モールス符号の認識(5)

2013-05-01 15:06:03 | 無線電信の巧みと技
あらゆる符号の音声を聞いて瞬時に文字認識できなければ、ほんとうに符号を覚えたとは言えません。

来た信号を厳密に聞き取ることに集中する鍛錬(自分自身の躾)が必要です。

最初のうち予測してしまうことを避けるためにはランダムな単語列を使うことが望ましいです。 何も書き取らずに聞き取り練習することは大きな意味と価値があります。



集中して潜在意識(あるいは右脳)がモールス信号を解読するためには、ランダムな文字で練習した方が良いようです。


どんな技能レベルにおいても、ランダムな符号は最も遅く、その次に単独の、関連性の無い、そして馴染みの無い単語が続きます。最も早い受信速度はつながった文章のときに出ます、それはランダムなときの2倍以上になります。来た信号を厳密に聞き取ることに集中する鍛錬(自分自身の躾)が必要です。


しかし、一方で意味のある文章の方が早く受信できるということは、文字の理解というのは単純に右脳の能力だけではなく、左脳での意味理解と言う側面も重要であることに間違いない。この辺は微妙なところだね。

モールス符号の認識(4)

2013-04-28 21:02:56 | 無線電信の巧みと技


前後の音のパターンを分離する長めの間隔のため、その“耳の一瞬”で、一つ一つの音のパターンを区別して聴くことができるのです。

文字が完全にまとまった音のパターンとして聞こえるよう、十分早い速度で聞くことが大切です。
スピードの押し上げ練習はせいぜい1回あたり1分を超えない程度にすべきです。 この練習が非常に効果的に受信スピードを向上する助けになることに驚かれることでしょう。

最初のうち予測してしまうことを避けるためにはランダムな単語列を使うことが望ましいです。 何も書き取らずに聞き取り練習することは大きな意味と価値があります。

短点と長点を意識的に翻訳しようとする気持ちと無意識に捕らえて完全コピーできたと自分自身に発言している気持ちの責めぎ合いです。




瞬間的にコードを理解するためには、早めの速度で練習するのが良い。この時は予想をしないようにランダムな文字列を使うのだという。これはコードを一つずつ分析してしまう左脳をオーバーフローさせ、コードを塊としてとらえることのできる右脳を活性化させることによって瞬時に理解するようにする練習なのではないだろうか。それは、スケッチする時に背景をなぞることによって見たままの絵を描くことにとてもよく似ている。左脳というのは、背景のような“意味のない”事柄を描き続けることができずに機能停止に陥ってしまうのだ。それは高速モールスがコードの分析をあきらめさせるのとそっくりなのである。

モールス符号の認識(3)

2013-04-28 11:39:58 | 無線電信の巧みと技


それは皆さんがすでに知っている言語です、但し紙にインクで書く代わりに音声のパターンで「書かれた」- 皆さんの言語です。皆さんがすでに目で大変上手に読むことが出来る言語を耳で「読む」ことを覚えるのです。

音声パターンのアルファベットを各文字が即座に認識できるまでよく覚え、それから
・耳にするほとんどの単語を「語」として認識することを習得し、そして最後に
・符号の流れをあたかも誰かが語(word)と思考(idea)でおしゃべりしているように聞き取ることを習得することです。

結局は意識的志向は完璧に排除され、反応は無意識になるべきです。(もはや符号事態を考えることもなくなるのです。)これが熟達なのです。


日本語を聞くときには、普通我々は個々の音に注意を注ぐことはない。それと同じようにモール信号においても、意識として個々の符合に注意するのではなく、単語やさらにその通信の意味するところに注意を払うようになることができるらしいのである

モールス符号の認識(2)

2013-04-24 07:54:41 | 無線電信の巧みと技


もっと簡潔に言うと:「目を通して耳に教えようとはしないこと。」


耳から聞いた符合を短い点と長い点の集まりという視覚的なイメージをしてはいけないらしい。それは眼で見てものを理解するのと同じように、耳で聞いてそのパターンを理解すること、それを聴覚化”auralized”と呼んでいる。ちょっとわかりにくいけど、特定の音のパターンを聞くとそれに関連するイメージが湧いてくることってあるように思う。たとえば草原に吹く風の音を聞いて広大な草原がイメージされるような。草原のイメージは視覚的かもしれないが、風の音のパターンを視覚化しているわけではない。モールス符号を覚えるというのはそういうことなのだ。

無線電信の巧みと技

2013-04-21 21:42:39 | 無線電信の巧みと技
William G. Pierpont(N0HFF)が書いた標記のエッセイ、日本語訳もA1クラブのHPに公開されている。世の中にCWに関する本やHPはたくさんあるが、どれもノウハウ的なものばかりで読んでも今一つ面白くない。その中で、このエッセイはモールス符号の認識プロセスまで踏み込んだ数少ない文献だと思う。自分はモールス符号を覚えるというレベルにあるわけではないが、さらに高みを目指すためにちょっとこのエッセイを読みこんでみることにした。このエッセイの5章に

「モールスによるコミュニケ―ションは特別のものです。ヘッドフォーンをして聴いている時、いつも目を閉じます。すると私は声を出したり、聴いたりしないでコミュニケーションをしていることを感じます。たくさん話したり聴いた日はうれしい。メッセージは、囁きにも似て、実際に耳にする会話などよりもずっと記憶に残るものがあります。私はもう言いたいことを形にしないで直接符号に変換して送信する指先に伝えます。それは従来の言語中枢から来るものとフィーリングが違います。思考が直に現れたリラックスしたコミュニケ―ションなのです。」

なんかいいなあと思うんだけど、これってどういうことよ?というのがまず疑問の最初だった。話はここから始まる。