手書きで汚いんだけど、並列の共振回路(アンテナ)に静電容量がつながったときの特性をポンチ絵にしてみた。
もともとはきれいなS字の共振特性が、コンデンサーC2が直列につながることによって、両者の足し算によって左側に傾いたような特性になるはず。確かにカーボンアンテナ(ロッドアンテナでも)のリアクタンス特性は左側に下がったような特性になっている。多分カーボンロッドの接続部の静電容量やアンテナとアナライザまでのケーブルの容量などが影響していると思う。
この時の共振点はどこか?
共振の定義はCとLのリアクタンスが打ち消しあってゼロになる点である。つまり図の①と②が共振点になる。
教科書的なダイポールアンテナでは、直列共振(②)と並列共振(①)の周波数は2倍になるはずである。しかし、このようにコンデンサが入ると、2つの共振点は接近してしまうのだ。C2の大きさが大きくなると共振点が沈んで見えなくなることだってあるに違いない。
アンテナの共振点を求める
C2がなければ、きれいな対称形のS字カーブになるはずなので、S字カーブの真ん中あたりがアンテナの並列共振点のはずである。したがって、その点におけるマイナスのリアクタンスを求めれば、C2の値を推定することができるはずである。
そしてその値を基に計算した1/2πfC2と計測したリアクタンス特性の交点が、本来の直列共振のポイントになるはずである。図の①,②は余分なコンデンサによって生まれた見かけの共振点である。
カーボンアンテナの場合、実際のエレメントの長さに対して共振周波数が高くなる傾向があるが、その理由はこのようなことが起こっているからではないと思う。
アンテナチューナーの働き
例えばダイポールのようなアンテナは直列共振のポイントで動作させる。注目している周波数が①に一致していればそれでいいが、そうでない場合にはインダクタンスをつなげて、リアクタンスを上に持ち上げて希望の周波数でX=0になるように調整すればよい。このように調整できれば、アンテナ外のコンデンサC2も含めたアンテナ回路全体で共振することになる。もちろん、その時の抵抗分がケーブルの特性抵抗と一致しているわけではないので、抵抗の整合も別途行うことが必要である。
同調アンテナとアンテナチューナー
こんな風に考えると、本来のアンテナの共振周波数に比べて極端に低い周波数でチューニングしなければ、特に電圧給電タイプのような端っこには電流が流れないタイプのアンテナの実効長は大して変わらないので、アンテナエレメントで同調してもチューナーで同調してもあんまり変わらないような気がする。もちろんチューナーにおける損失がないとして。
まあ、チューナーから先は共振した回路の一部になるので、その部分が長く地面に這わしてあったりすると効率の良いアンテナにはならない気がするけど。