何をするにしてもアイデアが大切だという。では、斬新なアイデアはどうやって生まれるのか。
いろんな知識を知っていることも大切だろう。一生懸命考えることだって必要だろう。
それだけあれば、誰でもいいアイデアが生まれるか?答えは否である。それだけではだめだ。
アイデアが生まれるためには勇気が一番必要だと思う。それはアイデアとは何かを考えてみればすぐ分かることだ。新しいアイデアというのは、今までに考えられていなかったことである。それはそうだろう。どっかで既に提案されていたアイデアでは、斬新なアイデアとはいえないだろう。特許ももう出願されているかもしれない。下手に使ったら大変なことになる。200億円払えといわれてもそんな金はどこにもない。
だから新しいアイデアというのは、誰も今までに考えたことのないものである。そんな当たり前のことが何を意味するのか。それは、誰もそのアイデアに同意してはくれないという悲しい事実をつきつけてくる。だって、そのアイデアを聞いた全ての人は、そのアイデアを知らないのだから、同意しようがないではないか。
ここまでアイデアという言葉を使ったが、それを研究と置き換えてもいい。他人に認められた研究は実はもう研究などではない。それは作業だ。
研究でもアイデアでも、最終的には多くの人の役に立たなければ意味を持たない。その意味においては研究やアイデアは多くの人に理解されなくてはならない。しかし、それが最初から万人がわかるようなものであるはずがない。すごい研究というのは、最初は誰も分からず、多くの人から拒絶を受けるのだ。それは、すばらしいアイデアが世の中に出てくるための儀式といってもいいだろう。
そういうプロセスを経ていないテーマはインチキである。研究をする人は、進んで人の拒絶を受けよう。味方など作ってはいけない。孤軍奮闘孤独に戦うのだ。どこまで一人で戦えるかでそのテーマの価値は決まる。どこまで一人でがんばれるか、その人の勇気によって研究の価値は決まるのだ。