小学生の頃、絵が得意で写生コンクールの
入賞の常連だった。朝礼時、全校児童の前で
校長先生に名前を呼ばれ賞状と副賞のクレ
ヨンや絵の具を受け取った時の晴れがまし
さと言ったらえも言われぬものだった。
実は当時の私はひどい内弁慶で、友達や先
生、大人を相手に殆ど喋れなかった。だから
勉強も遊びも運動も全く目立たない存在で、
両親も諦めさせた根暗な生活を送っていた。
そんな私が道を外れず成長できたのは、絵
のおかげだった。写生会の度に入賞するのだ
から、友達も先生も一目置いてくれたのだ。
(僕の得意は絵だ!)と自信もついた。
ところが中学になると、絵は脚光を浴びな
くなった。理由は自分でもよく分かっていた。
漫画やアニメの虜になったのは小学5年生
くらいから。その影響が中学生になって表れ
た。風景の写生画にディズニー風の木や川の
流れを描いてしまう。認められるはずがない。
絵はなるべくして不得手になってしまった。