難聴者の生活

難聴者の日々の生活から、人工内耳など難聴者のコミュニケーション、聴覚障害者の制度改革について語る。

聴覚障害者労働フォーラムの開催

2006年08月12日 11時47分11秒 | 福祉サービス

060812_1828~001.jpg東京都の聴覚障害者関係団体は、9月24日に「労働フォーラム」の開催を準備している。

これまでの労働フォーラムでは、企業や就労支援機関が聴覚障害者に対し挨拶の励行すべきだというレベルの認識であり、もはや企業に対する「ちょっとした配慮」では、今の聴覚障害者の就労問題は解決しないことが明らかになった。

中小企業にせよ、大企業にせよ、障害者の雇用が
負担になる経営環境なので、給与を払っても、同じ労働が期待出来ない、「お荷物」を慈善的に雇用しているという認識だ。
障害者自立支援法は、施設の重度障害者、知的障害者などをイメージしているようだが、もっと私たちも聴覚障害者に対しても働く権利と就労支援の内容ををきちんと整理して、企業の受け止め方に対置することが重要だと思われる。やむなく雇用するのではなく、障害者の自立の場を与えるという社会的責任を果たす観点が必要ではないか。

聴覚障害者が会議や就労の場において、きちんと権利としてのコミュニケーション支援が行われるならば、聴覚障害者は今まで想像もしなかった力を発揮するだろう。
これまで、聴覚障害者の就労問題は、「ちょっとした配慮」で解決するかのような提案があった。それはきちんとしたコミュニケーションの保障が積み重ねられた時、普段の言葉のやり取り、指図、連絡にその
配慮が生きる。日頃からきちんとした情報提供、発言の保障があってこそ、聴覚障害者は就労から多くのことを学ぶ。

就労問題は、聴覚障害者が生き生きと働く喜びと責任を感じる体制を社会が築く中でしか解決されない。コミュニケーションを保障する制度と企業の社会的責任を自覚すること、権利擁護のための相談、支援機関が必要だ。
コミュニケーション保障を担う手話通訳、要約筆記者もその観点を持つ、高い倫理、権利擁護の意識が不可欠になる。通訳派遣事業体は、労働機関と
ともに、聴覚障害者の就労環境の改善に努める必要がある。

今回のシンポジウムでは、こうした問題提起に基づいた様々な立場の人を招いて、ディスカッションを期待したい。


デジタル放送時代の視聴覚障害者向け放送に関する意見交換会

2006年08月12日 10時49分38秒 | 福祉サービス
総務省は、8月21日に、視聴覚障害者団体の代表を集めて、デジタル放送時代の視聴覚障害者向け放送に関する意見交換会を実施する。

(1)字幕放送等を巡る背景・取組等についての報告
(2)今年始めに行われた視聴覚障害者向け放送に関する調査の報告
(3)地上デジタル放送における視聴覚障害者向け放送の可能性の報告
がある。
2時間の会議で3つも報告があって、実質的な審議は出来ない。出席者が視聴覚障害者団体だけなのか、放送事業者、テレビメーカー、電波産業会なども参加するのか分からないが、この種のテーマは通常は検討委員会が設けられるが「意見交換会」になったのは何故だろう。

障害者向け放送問題の解決には、行政や放送事業者、メーカーなどの協議会、検討会に、当事者を加えた恒常的な組織が必要である。欧州ECでは、TV for Allのスローガンの下、そうした組織が運営されていると聞いている。
視聴覚障害者向け放送の実施状況の調査や放送番組のモニター、字幕・手話等の評価などは当事者が加わって進められることが必要だ。

障害者放送協議会 放送・通信バリアフリーセミナー
http://www.dinf.ne.jp/doc/japanese/conf/co20060228/index.html

視聴覚障害者は、毎年放送のアクセスの拡大のために多大な資金と労力を費やしてシンポジウムを開催しているが、これは本来は放送事業者側が開催すべきものではないか。

ラビット 記


東京都と聴覚障害者団体の動き

2006年08月12日 07時57分02秒 | 福祉サービス
8月3日、社団法人東京都聴覚障害者連盟、聴覚障害者自立支援法対策東京本部、東京手話通訳等派遣センター運営委員会、自立支援センターコミュニケーション事業委員会が合同で、コミュニケーション支援事業に対する文書を関係者に発信した。
その中で、東京都の姿勢と聴覚障害者団体側の対応について、記述がある。

<今までの経過と今後の予定>
・7月4日、(社)東京都聴覚障害者連盟と福祉保健局との懇談会、7月5日の東京手話通訳派遣センターの在宅福祉課との話し合い、いずれにも都から「都レベルの派遣事業は残せない、区市からの契約を受ける方法でやって欲しい」との回答。
・7月7日の都手話通訳派遣センター運営委員会、7月11日の自立支援センターコミュニケーション事業委員会等で委託契約方式への移行はやむなし、具体的な準備を進めることを確認。
・7月19日のNPO東京都中途失聴・難聴者協会と福祉保健局との懇談会でも同様の回答。
・7月20日、第4回自立支援法地域担当者会議で委託契約方式への移行を発表、説明。
・8月1日、都手話通訳派遣センター運営委員と自立支援センターコミュニケーション支援事業運営委員の合同会議で要綱や単価を審議、確認。
同日、東京都聴覚障害者福祉対策会議(自立支援法対策東京本部)臨時幹事会で方針、要綱案等を審議確認。相談事業の方針も確認。
・8月2日、在宅福祉課と話し合い、区市に文書を出すことの了解を得ると共にそれに対する都の支援(要綱等に添ったガイドラインを作る等)を確認。
・8月3日、文書と資料を区市自治体、地域聴覚障害者組織(自立支援法地域担当組織か地域聴障協会)に送付。
・8月7日(月)の第21回福祉対策会議で、幹事会の報告が相談事業等も含め説明された。

今後の予定は以下のとおり。
・8月7日より事業体事務局レベルでの地域とコンタクトを開始予定。実際に会うときは地域の聴覚障害者組織と事前に協議すると共に、事務レベルの折衝と実現に向けた交渉があるが、後者の交渉にはなるべく同行する。
・8月19日(土)第5回地域担当者会議。要綱等についての説明及び地域の状況を確認する。
・8月末頃、都在宅福祉課より地域自治体へコミュニケーション支援事業ガイドラインを提示すると言っている。
予定。