東京都の聴覚障害者関係団体は、9月24日に「労働フォーラム」の開催を準備している。
これまでの労働フォーラムでは、企業や就労支援機関が聴覚障害者に対し挨拶の励行すべきだというレベルの認識であり、もはや企業に対する「ちょっとした配慮」では、今の聴覚障害者の就労問題は解決しないことが明らかになった。
中小企業にせよ、大企業にせよ、障害者の雇用が
負担になる経営環境なので、給与を払っても、同じ労働が期待出来ない、「お荷物」を慈善的に雇用しているという認識だ。
障害者自立支援法は、施設の重度障害者、知的障害者などをイメージしているようだが、もっと私たちも聴覚障害者に対しても働く権利と就労支援の内容ををきちんと整理して、企業の受け止め方に対置することが重要だと思われる。やむなく雇用するのではなく、障害者の自立の場を与えるという社会的責任を果たす観点が必要ではないか。
聴覚障害者が会議や就労の場において、きちんと権利としてのコミュニケーション支援が行われるならば、聴覚障害者は今まで想像もしなかった力を発揮するだろう。
これまで、聴覚障害者の就労問題は、「ちょっとした配慮」で解決するかのような提案があった。それはきちんとしたコミュニケーションの保障が積み重ねられた時、普段の言葉のやり取り、指図、連絡にその
配慮が生きる。日頃からきちんとした情報提供、発言の保障があってこそ、聴覚障害者は就労から多くのことを学ぶ。
就労問題は、聴覚障害者が生き生きと働く喜びと責任を感じる体制を社会が築く中でしか解決されない。コミュニケーションを保障する制度と企業の社会的責任を自覚すること、権利擁護のための相談、支援機関が必要だ。
コミュニケーション保障を担う手話通訳、要約筆記者もその観点を持つ、高い倫理、権利擁護の意識が不可欠になる。通訳派遣事業体は、労働機関と
ともに、聴覚障害者の就労環境の改善に努める必要がある。
今回のシンポジウムでは、こうした問題提起に基づいた様々な立場の人を招いて、ディスカッションを期待したい。