難聴者の生活

難聴者の日々の生活から、人工内耳など難聴者のコミュニケーション、聴覚障害者の制度改革について語る。

高知県の要約筆記者派遣事業

2007年08月12日 18時15分27秒 | 要約筆記事業
070811_0540~001.jpg070811_1615~001.jpg高知県の市町村の要約筆記者派遣事業は全国的にも珍しいのではないか。

障害者自立支援法で要約筆記者派遣事業は市町村の必須事業になったが、市町村は自ら事業を実施するか、県の派遣事業を実施していた事業体に委託するのが普通だ。

高知県が各市町村から委託の委任状を取りつけて、要約筆記者派遣事業をNPO法人高知県中途失聴・難聴者協会に委託している。

ラビット 記



聴覚障害者とデジタル放送チューナーの無償配布 

2007年08月06日 21時42分35秒 | バリアフリー
070805_1658~001.jpg総務大臣が安価なデジタル放送受信アダプターの販売をメーカーに要請したとのことだ。

デジタル放送の完全切り替えまでにアナログテレビの買い換えが間に合わないことを考えてのことだ。

デジタル放送を見ることが出来ないのは低所得者だけでなく、視聴覚障害者もいる。
特に緊急災害時にデジタル放送でも見ることが出来ない(内容が分からない)のは、当事者にとっては恐怖だ。
この不安さは放送事業者には分からないだろう。

テレビを見ている今内容が分からない映像が次々に出てきたら不安が増すばかりだ。放送事故で音声が出なくなると視聴者から問合せが殺到するだろう。

放送事業者は、ニュースはインターネットでも見られますだの、緊急時の字幕制作体制に莫大な費用がかかるだの言わないで欲しい。

出来ないなら出来るまで、聞こえる人にも同様の不安さを与えるべきだ。
オリンピックの放送が短くなっても国民は不安には思わない。


ラビット 記
070721_1927~001.jpg……………………………………
The Compass別冊レポート・シリーズ「米国のデジタルSTBとDTVコンバーター市場」を販売開始
CNET Japan
NSI Research, Inc.は、1987年に米国のシリコンバレーに設立された情報・通信・放送技術分野のマーケット調査とコンサルティング・サービスを提供する会社で,The Compassと呼ばれる,米国のデジタル放送とブロードバンドTVの情報サービスを提供しています。 ...

http://japan.cnet.com/release/story/0,3800075553,00020549p,00.htm


5000円以下のチューナーを デジタル普及で業界に要請
東京新聞
総務相の諮問機関、情報通信審議会は2日、地上デジタル放送の普及促進策について、答申をまとめた。アナログテレビに取り付けるとデジタル放送が視聴できる簡易チューナーを、2年以内に5000円以下で製造・販売するよう電機業界に求めるとともに、生活保護世帯など低 ...

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2007080302038209.html


アナログ放送終了まで4年
読売新聞
現在のアナログ放送を停波し、地上波テレビ放送をデジタル放送に完全移行する2011年7月24日まで、残り4年を切った。地上デジタル放送はテレビ放送を高画質、高音質に進化させる大改革と期待されている。だが、デジタル対応受信機の世帯普及率は現在、3割にも達し ...

http://www.yomiuri.co.jp/net/feature/20070806nt0a.htm





聴覚障害者のためのドライブスルーの「オーダー・アシスト」

2007年08月05日 23時46分57秒 | 生活
アメリカは車社会だ。ロードサイドには、ハンバーガーなどのファストフードのドライブスルーが必ずある。

このドライブスルーは、難聴者やろう者にはバリアーだ。
スピーカーに向かって、注文を言わなくてはならないからだ。スピーカーから何か言われても分からない。某回転寿司チェーン店のオーダーシステムと全く同じ問題だが、ドライブスルーと回転寿司というところが日米の文化の差を表している?!


ウィスコンシン州ジャーナルの7月5日号に、このドライブスルーに、「オーダー・アシスト」という聞えなくても注文出来るシステムが導入されたことが紹介されている。
http://www.madison.com/wsj/home/biz/200092

聴覚障害者が、ドライブスルーの入り口に来ると、「オーダー・アシスト」の青いスタンドのボタンを押して、商品受け取り口で補聴器のテレコイルで聞くか、注文用紙をもらって、注文を各か受け取るが出来る。

「オーダー・アシスト」のボタンを押した人は、入り口では注文しないで、受け取り口で注文する人ということが店の人に分かる。

YouTubeにも、同じトピックスがabcニュースで紹介されている。手話を使ったキャスターが紹介している。もちろん字幕放送付きだ。


<object width="425" height="350"><param name="movie" value="http://www.youtube.com/v/tjW1eWopbZU"></param><param name="wmode" value="transparent"></param><embed src="http://www.youtube.com/v/tjW1eWopbZU" type="application/x-shockwave-flash" wmode="transparent" width="300" height="245"></embed></object>


回転寿司店でも、寿司の注文用紙とペンを受付かカウンターに置いておけば良い。いっそのこと、皿の上にスタンドを置いて、ぐるぐる回すか。

ラビット 記


闘病した難聴の仲間との別れ

2007年08月05日 17時21分12秒 | 生活
070729_1105~003.jpg070726_1704~001.jpg初夏に入院した難聴の仲間が闘病していたが亡くなった。

ガンの再発だった。
死期を感じた仲間は家の中を一切整理して入院したとのことだった。


難聴者協会の理事を4年間務めた後は、地域の活動に専念していた。
協会が助成事業で地域ごとの中途失聴・難聴者コミュニケーション講座を企画した際にいち早く手を挙げて、地域の開催に力を尽した。開催翌年からは市の心身障害者福祉センターの開催にこぎつけ、難聴者友の会の設立、難聴者向け手話講習会、要約筆記養成講習会、要約筆記サークルの結成など、地域に必要なほとんどあらゆる事
業の開始に尽力した。

耳のマークの普及では近隣の商店にどんどん利用を呼び掛け、とうとう商店街ぐるみで耳マークを置くようになっている。

地域だけてはなく、協会の会議や事業にも積極的に協力してきた。協会の事務局をこの地域の方にお願いしてきたのもあながち無縁ではない。

明後日はお別れの式がある。
仲間の育てた要約筆記者が別れの言葉を取り次ぐ。

事業を引き継ぐ決意を持って、冥福を祈る。

ラビット 記



難聴者と日本語字幕付き映画の拡大

2007年08月05日 14時32分29秒 | バリアフリー
070805_1209~001.jpg難聴者の小島敦子さんが夫と子供と一緒に映画を見たいと日本映画に字幕を付けた上映運動を広げている。

東京都も石原都知事が監修する映画のDVDや東京都の関わる映画の上映には字幕を付けるようにした他、文化庁と厚生労働省、経済産業省に字幕について要請したとのことだ。
(東京都の要請文書)
http://www.metro.tokyo.jp/INET/OSHIRASE/2007/07/DATA/20h7r500.pdf

しかし、問題は制作費だ。テレビの字幕放送は放送法に規定があり、国の予算措置の法的根拠がある。
映画・DVDの字幕制作、音声解説の制作は別に立法措置が必要だ。

来年度の予算が掲示されたがぜひ反映させて欲しい。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070802-00000062-san-bus_all

ラビット 記

070729_1111~002.jpg日本映画の字幕のテーマに、何故パン屋の写真があるかは「売れるパン屋は?情報アクセスの動線の確保」を参照してください。
http://blogs.dion.ne.jp/rabit/archives/5980444.html

………………………………………
字幕付き邦画もっともっと
産経新聞

大手の作品はまだ難聴者が映画館で楽しめるチャンスはあるが、中小制作会社にとっては問題は大きい。邦画のフィルムに字幕をつけるには、レーザー光線で全せりふを打ち込む作業など200万円以上の経費がかかるとされ、単館上映もあり得る準大手にとって負担は決して...

http://www.sankei.co.jp/kyouiku/fukushi/070804/fks070804000.htm
…………………………………
Yahooニュースにも掲載
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070805-00000901-san-soci




参院選の投票はテレビが参考 世論調査結果

2007年08月05日 05時00分35秒 | バリアフリー
070804_2102~001.jpg070802_2155~002.jpg朝日新聞8月2日の「参院選直後緊急世論調査」の結果が掲載されていた。

その中で、参院選で一番参考にしたメディアは何かという注目すべき結果が出ていた。

新聞 35%
テレビ 58%
インターネット 4%

調査方法は7月30日夕から31日夜にかけて、全国の有権者を対象にコンピューターで無作為に電話番号を造る「朝日RDD」方式で、調査したとある。対象者の選び方は無作為3段抽出法。有効回答は1094人。回答率は61%。


テレビが圧倒的に多い。全体の6割を占める。このテレビにアクセス出来ない視聴覚障害者は何を元に投票したのか、調査が必要だろう。

実際の投票行動の実態を一定反映しているとすれば、テレビが有権者に公平な情報を提供したかどうかがメディアとして問われるのではないか。

これは各政党を公平に扱ったかどうかとともに、視聴覚障害者に内容が伝わるように報道したかどうかが「公器」として問われている。

ニュース報道を見る限り、自民党と民主党の候補の動向が大半であり、各政党が公平に扱われた分けではないこと、テレビで視聴覚障害者に内容が伝わるように報道していないことが事実として残る。

例は、Youtubeに参院選報道の動画がたくさん投稿されている。
http://jp.youtube.com/watch?v=uZpjseOHhpM&NR=1&v2

開票後、安倍首相が続投を表明したニュース。
http://jp.youtube.com/watch?v=dlRHQKMi8BE


ラビット 記




フェムトセルは聴覚障害者の情報配信に使える?

2007年08月03日 08時34分14秒 | バリアフリー
070729_1301~001.jpg070729_1127~001.jpgITプロのニュースに以下のようなものがあった。
テレビ電話などの動画通信がスムーズになるとある。

テレビの映像に字幕と手話を配信する「目で聴くテレビ」の携帯電話への配信が出来ないものか。現行著作権法では映像に手話を付けて再送信することは出来ない。しかし、台風4号、5号、中越沖地震、参議院選挙など、現在の放送事業者ではこれらの「有事」に対応出来ないことが「実証」されている。

ならば、放送事業者は公的情報提供機関としては、自ら手話と字幕を付けて提供しようとする人々に、著作権を主張すべきではない。少なくとも非常時に情報を受けられない人の「放置」は許されない。

携帯で手話、字幕着き映像が受信出来れば役に立つ。

*フェムトはナノ、ピコより3桁小さい数を表す単位、10の-15乗
ビコが10の-12乗

ラビット 記
---------------------------------------
「フェムトセルで変わるケータイとブロードバンドの関わり」
http://k-tai.impress.co.jp/cda/article/mobile_catchup/35713.html
---------------------------------------
これまでの携帯電話サービスを変える可能性を持った新技術が登場した。
ユーザー宅内に設置可能な超小型の携帯電話基地局「フェムトセル」だ。
家庭の商用ブロードバンド回線にフェムトセルを接続し,家庭内に携帯電話の基地局を作れる。携帯電話の基地局といえば,これまでビルの屋上や鉄塔上に陣取る巨大な構造物だったが,それが手のひらサイズまで小さくなり,家の中にやって来るのだ。
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20070723/278070/?L=ml




日本の著作権法の障害者対応は国際的にも遅れている

2007年08月02日 20時36分22秒 | 権利
070611_2150~001.jpg070729_1105~002.jpg2007年5月16日に開かれた文化審議会著作権分科会 過去の著作物等の保護と利用に関する小委員会(第3回)で、障害者放送協議会著作権委員会委員長井上芳郎氏が意見を述べた際の資料が公開されている。

「過去の著作物等の保護と利用に関する小委員会」意見発表資料
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/bunka/gijiroku/021/07051627/004.htm


冒頭、井上委員長は日本の著作権法における障害者への配慮が国際的にも遅れていることを指摘している。
それは、視聴覚障害者以外の障害者のことに一つも触れていないことからも分かる。

デジタル化で、著作権者の保護が強化される一方、障害者のアクセスが困難になっている。本来なら、技術の発展で障害者のアクセスが利便にならなければならない。
著作権法の目的は、文化の共有であり発展であるはずだ。


ラビット 記



「より良い聞こえ」を求める難聴者と医療の保障

2007年08月02日 12時08分46秒 | 人工内耳
070730_1014~001.jpg070731_0843~001.jpg難聴者は、「より良い聞こえ」を求めて、治療を受けたり、補聴器具を利用する。

大学病院の診療を受けるには、他の医師の紹介状が必要である。なくても受けられるが、5000円だかの負担がかかる。
またセカンドオピニオンで診療を受ける場合は保険がきかない。全額自費になる。

難聴の患者が治療に来れば医耳鼻科医師は「良く聞こえる」ように治療をするだろう。

難聴者の「良く聞こえる」というイメージは、聴力はもちろん、今の生活におけるコミュニケーション状況により異なるし、家族構成や生活スタイルにも影響がある。
医師の「良く聞こえる」と意味が異なることは有り得る。


問題は、そうしたことに親身に相談にのってくれる耳鼻科医がどれだけいるのか、多忙な診療の中で時間を割けるのだろうか。

これは医療ソーシャルワーカーMSWの役割だろうか。医療カウンセラーとか医療ケースワーカーとかの仕事かも知れない。


人工内耳を装用するにあたって、大阪大学医学部耳鼻咽喉科言語聴覚士の井脇貴子先生が的確な考えを示している。
http://www.bionicear.jp/user/vol4_01.html


難聴者は、難聴者の立場に立って考えるすぐれた言語聴覚士、オージオロジスト、補聴器販売店、耳鼻科医の助言、指導を得ることが重要だが、現在は「巡り合う」に任されている。

「巡り合い」ではなく、きちんとした医療、診察を受けられるような「制度」でなくてはならない。
健康で文化的な生活は権利なのだから。

ラビット 記




人工内耳は、補聴器への不満、不信感?

2007年08月01日 06時51分29秒 | 人工内耳
070728_2232~001.jpg070730_1208~001.jpg聞こえた世界を体験していない難聴者が人工内耳に何故関心を強めたか。

年々低下していた聴力は60歳に近くなって急に減退してきた。
40年間使ってきたアナログ補聴器からデジタル補聴器に切り替えてから3年近い。
デジタルに切り替えた時はその聞えに感動したものだが、それでも聞こえは限界がある。
フィッティングに熱心になれないのは、時間の制約もあるが日常生活のシーンでそれほど効果に期待は感じなかった。
指向性マイクや磁気ループは30年前から、それなりに使いこなしてきたが、それも5、6年前から余り効果を感じなくなっていた。
集中して聞くのに疲れてしまうのだ。

特に職場の配置転換になった3年前からは、20人くらいの会議から数人のミーティングまで大小の会議でいろいろ方法を試したが、雑音に阻まれたり会議室の場所や人の話し方などで限界がある。機器の接続など取り回しも面倒だ。

聞こえないために、勘違いや返事も出来ないことが度重なり、昨年、再度の配置転換で職場の会議に会社の負担で要約筆記の派遣を依頼した。
要約筆記でかなり会議に参加する負担が軽くなったとは言え、し日常の業務に支障を来すことは多い。少人数の打ち合わせでも聞えなくなっていた。
先週もセミナーに参加したが、目の前でマイクを持った人の話がテキストも資料も見ながらなのに言葉の意味が分からないのはかなりョックだった。

定年間近になり、今後やらなければならないこと、したいことを考えるといま人工内耳の検討をした方がよいと考えるようになったことも大きな一因だ。

補聴器の聞こえにプラスアルファを求めるのに人工内耳を選択を検討しているということだ。
失われた音を取り戻すという感覚ではない。


ラビット 記

写真は、前に使っていた緑色のラメのマニキュアを塗った最初のデジタル補聴器。
もう一枚の写真は初めて見た自分の蝸牛。写真の真ん中にかたつむり状の白い像が写っている。