老い生いの詩

老いを生きて往く。老いの行く先は哀しみであり、それは生きる物の運命である。蜉蝣の如く静に死を受け容れて行く。

96;喪失と再生

2017-05-13 13:48:37 | 老いびとの聲
ご訪問いただきありがとうございます 

天国に行った両親や他人からよく言われた
「若い時ほど苦労は買ってでもしろ」。
苦労を体験することで
他者の大変さや辛さ、悲しみなどがわかり人間の厚みも出てくる。
苦労は 人を労り(いたわり)、優しさを培ってくれる。

私の知っている人 身近にいる人なのですが
苦労を一人で背負い過ぎてしまい
他者との繋がりを閉じてしまった57歳の女性がおられる。
若い時に 夫は家を出てしまい
彼女に残されたのは3人の子どもと住宅ローン
必死に働き節約し 子育てをしながらローンを完済した彼女。
その苦労にはただただ感心し、お疲れ様と言葉を添えたくなります。

或る日彼女から 考えたこともなかった言葉を聞いた。
「他人とお茶のみなどのつきあいをするとお金がかかるので、そのようなつきあいはしてこなかった」
だから、彼女には悩みや相談をする友人もいない
勿論 隣近所のなかで、お裾分けのつきあいもない
実家に帰ると老親の面倒をみるようになったら大変だから、実家にも帰らない。
無駄な物を買ったり、無駄なことにお金を使いたくない。
無駄なことをしたくない。

これだけ自分は頑張ってきたのだから
自分へのご褒美として
今日は、ちょっと贅沢しレストランで食事をしていこう
ちょっと痛い出費だったけど 洋服を買ってしまった
そんな細やかな幸福(しあわせ)があってもいいのかな、と思う。

人間の優しさや労(いたわり)は、人間関係のなかで培われる
他者とのつながりを閉じてしまった彼女
いま彼女は 老後に備え蓄え中
いま26歳の息子と二人暮らし
これから彼女は老いてゆく
それは私も同じ
老いは喪失と再生の時を意味する
病により手足や体の一部が喪失する
長年連れそった伴侶が亡くなる 
それは大きな喪失となり 
立ち上がるまでは時間もかかる
(男は妻が亡くなると なかなか立ち上がれない)
(女は夫が亡くなると さあ人生を謳歌し長生きする)

物忘れが進み 記憶や思い出の喪失
死が背後から忍び寄り残り時間が少なくなる(時間の喪失)
友人、知人の惜別による喪失

喪失だけに目を奪われてしまうと
先が見えなくなってしまう
喪失は再生でもある
「できた」ことが 
「できなくなる」
悔やんでも仕方がない
「できる」ことに
生きる勇気を得
「できる」ことは行い
「できない」ことは他者の助けを得る
いま与えられた条件のなかで
もう一度生きてみる


私は桜と並び
秋桜(コスモス)が好き
台風や強い雨風により茎が折れた秋桜は
折れたところから根を張り
再び生きはじめる






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95;嫌われる老人 好かれる老人

2017-05-13 01:29:42 | 老いの光影
金網の向こうに咲いている貧乏草

ご訪問いただき、ありがとうございます 

デイサービスや介護施設をご利用されている老人をみると
仲間や介護職員から
嫌われる老人 好かれる老人 がある
介護始めたころは
どの老人も同じ顔に見えてしまうが
つきあっていくうちに
それぞれの顏は味があり 
皺や白髪、禿から人生の重みを感じる

人間惚けると
その人の性格が浮き彫りにされる
つまりその人の心が
裸にされたような状態になる
老人になってから
嫌な性格を変えることは無難しい
その人が生きてきように 老いてゆく

嫁「いびり」をしてきた婆さん
性格がきつい人 いじわるな人 感謝の言葉が少ない人
そのような人が惚けたとき
表情が厳しく 言葉もきつく 感じてしまう
介護スタッフからの言葉かけも少なくなる?

だから 
老いてからは性格を変えるのは 
至難の業であるだけに
いまから
他者をに対し 施したり 
感謝の気持ちを言動で示すことが大切

好かれる老人は
穏やかな性格
「ありがとう」と何気なく感謝の言葉がでる人
よく気がつき 何気なく他者の面倒をみる人
社交的な人

最後にもう一言
惚けたら人間皆同じ
大学の教授 医師 社長 東大卒(帝国大学卒)であっても
惚けたら
肩書や地位は関係なくなり
惚けたら人間皆同じ
惚けた人は皆 いまに生きる人となり
人間のもつ優しさを失わずに
穏やかに逝きたいものだ


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