HIBARIピアノ教室レッスン日記♪

ピアノのレッスン日記、その他ヒバリ先生が見聞きした音楽関係・芸術関係etcの日記。

Sちゃん・リラックスして I Am

2019年02月19日 | レッスン日記(小中高生)
Sちゃん(中3):
30分近く遅れてレッスンに到着しました。
日はとっぷりと暮れています。
とある試験準備のため学校が遅くなったとのこと。
試験前なのに、しかも中3なのに、ピアノを休まずレッスンに来てるSちゃん、本当に感心します。

がんばってきた「I Am」が、今日は仕上がるかどうか…
先週新しくレッスンした エンディング部分は「もう暗譜しました」とのことで、ひと通り弾けるようになっていました。
ところが、その前の部分…転調された「つなぎ部分」が、なかなかスラスラとは弾けません。
冒頭やエンディングと メロディーは同じなのに。
転調されて、ほんの少し「オカズ」がついたりしてるだけなのに。
コードネームを参考にしながら、適当にごまかしたりはしょったりして弾いていいんだよ、と言っても、気がつくと楽譜に書かれている込み入った伴奏やフェイクを 忠実に弾こうとしてしまい、そのため テンポが落ちたり止まったりしてしまいます。
Sちゃん…ほんとに真面目で正直な子なんだね。
書かれてある音符は無視できない。
「こんな感じの弾き方でいいんだから!」
ヒバリ先生が見かねて、お手本を見せました。
「込み入ったアルペジオを律儀に頑張らなくても、コード和音だけでもいいし、もっとダメならベースだけだっていいんだよ。右手だって、メロディーはシンプルなんだから、あれこれたくさんついてる『飾りの音』を全部弾かなくたっていいの。そのためにそこだけテンポが遅くなるより、メロディーをスッキリ弾いて、テンポが崩れないように通す方が大事」
Sちゃんも、先生のお手本を真似して、少しずつテンポが流れるようになってきました。
「じゃ、来週、全部同じテンポで通して完成、ってことにしようよ。それからこれ」
先生が用意しておいたのは、先週Sちゃんが「やってみたい」と言っていた 簡単なジャズの楽譜です。
「茶色の小瓶」と「ピンクパンサーのテーマ」。
Sちゃんもよく知ってるだろうと思って選びました。
「わあ、これ、すごくいい!」
Sちゃんも大喜びです。
さあ、この楽譜で、真面目で正直なSちゃんが 少し不真面目に インチキもできるように…ってわけじゃないですが、ちょっとリラックスして弾く方法を体験してもらえるといいな、と思っています。

アイネ・クライネ・ナハトムジークは「小夜曲」

2019年02月19日 | クラシック曲
Hさん(大人):
「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」第一楽章 全6ページを、最後まで完成しました。
前回のときに、展開部から一気に最後まで、残り3ページを進めてしまったのです。
すごいですね!
「だって、メロディーが同じってわかったんですもの」
Hさんは、ほめられても絶対に慢心したりしないのです。
今日は、一番最後のフィニッシュ部分を一気に弾き切れるように、テンポの統一に気をつけてがんばりました。
第一楽章が出来上がったので、次回からは第二楽章ロマンツェ(アンダンテ)に入ります。

ちなみに、このタイトルですが
アイネ(ひとつの)クライネ(小さな)ナハト(夜の)ムジーク(音楽)という意味で、昔は、日本語に翻訳した場合「小夜曲(さよきょく)」なーんて優雅な名をつけてたりしましたが、今では普通に「弦楽セレナーデ」などと言うようです。
っていうか、今ではふつうに「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」だよね?!

昔、落語家の桂文枝さんが まだ桂三枝さんといっていた時代に、テレビで この曲のことをテーマにした新作落語をやっているのを見たことがあります。
「なるほど。ナハト、が『夜の』という意味ですか。でもどっちかと言えば『クライネ』の方が、『夜の』の感じがしますがなぁ」と言ってて 笑えました。

ソナタ形式は お気楽「水戸黄門」の世界(?)

2019年02月19日 | クラシック曲
K子さん(大人):

今日は「ソナタって何なの?」という話になりました。
「ソナタ」は、だいたい3楽章か4楽章で構成されている器楽曲で、その中に1つ以上、ソナタ形式の楽曲を含んでいるもののことです。

K子さんの持ってきた楽譜の モーツァルトK.545を弾きながら、簡単にですがソナタ形式の解説をしました。

ソナタ形式って、堅苦しそうに聞こえますが、そんなことはありません。
流れが決まっていて、「ドラえもん」か「水戸黄門」みたいに お約束通りに内容が展開されていくのです。

まず、提示部。ここで まず第一主題(主役)が提示されます。
「ドラえもん」で言えばのび太。
「水戸黄門」で言えば、ご老公、助さん、格さんの一行。曲の調性であるハ長調で表現されます。

しばらくすると、第二主題(相手役など)が登場します。これは主役とちがって 属調のト長調です。
「ドラえもん」でいえば、しずかちゃんや 敵役のジャイアン、スネ夫とか。
「水戸黄門」でいえば、悪漢に負われる 糸屋の娘と、悪漢役のお代官とか。曲の属調であるト長調。

展開部です。だんだん物語が進行し、事件が起こったり戦いがあったりチャンバラがあったり。
さっきト長調で現れた第二主題が、本性を現しト短調となって盛り上がります。
戦いの末、格さんが「この印籠が目に入らぬか!」と 葵のご紋の印籠を突き付け、悪代官が「ははーっ」とひれ伏します。

再現部。 第一主題(主役)が再登場します。
さっきよりすこしレベルがあがっています。ヘ長調となっています。
のび太君、少し成長したね。黄門さま、事件が解決してよかったね。
第二主題(ジャイアン・または悪代官)も再登場。悪代官。初めはト長調だったのに、改心した今では、曲のテーマであるハ長調になって おだやかな表情に変わっています。

こうして物語は終結にむかい、みんな幸せに暮らしたのでした。めでたしめでたし。

ふぅー、駆け足の解説だったけど、みんなわかったかな。
ソナタって、みんなこうやって構成されてるんだよ。ほんとなんだから。
みんな、どうなるかわかってて、それでも、というかそれだから、安心して「ドラえもん」や「水戸黄門」を見るのとおんなじ。
ちなみに、こうやって、楽曲を分析することを「アナリーゼ」っていいます。

話を聞いたK子さんは、「私も次回、この(ベートーヴェンソナタ)を見て、分析してみます。弾けるかどうかわからないけど、弾いてみます!」と言って、帰っていきました。

興味を持った人は、手近な「ソナタ」や「ソナチネ」の楽譜を見てみてね。

「ソナタ形式」については、以前にも書いたことがあったので、興味があったら見てみてください。
ソナタはドラえもん