前回の続き、ヒバリの脳内の「舟歌」ドラマです。
初夏の爽やかな気候の中、小さな手漕ぎボートで川下りデートのカップル。
まだ知り合って間もないので、ボートを漕ぐ彼氏も、向かい合って座る彼女も、緊張気味です。
話題もいまいちうまく出てこず、どうでもいいお天気の話などしていますが、ボートが進むにつれ 岸辺の景色は美しく移ろい、二人の緊張も次第に和らいできます。曲も、冒頭の短調から伸びやかな長調へと広がっていきます。
二人のおしゃべりも少しずつ日常や趣味の話などへと広がり、笑顔も出てきます。
さあ、ボートが木々の枝間をくぐり抜けたら、一気に川幅も広がり、美しい田舎の風景が開けました。
気持ちも高揚して、ここで一気に情熱的な言葉へ、と思ったその時、何かに引っかかり、大きく揺れるボート。
あわや転覆の大パニック!
オールも取り落とし、水しぶきがキラキラと飛び散り、大きな波紋がボートを中心に波立って広がります。
数秒ののち、無事転覆は免れ、オールも拾い上げ、波紋も静かに収まり、またボートを漕ぎ始める彼氏。
さっきの「事件」のおかげで緊張は一気に解け、二人の会話は がぜん はずみ始めます。
その証拠に、冒頭から何度となく登場するモチーフのメロディーに、低音のフレーズが、合いの手のように掛け合いで畳み掛けてきます。
これが生き生きとした恋人同士の会話でなくて何でしょう。
おしまいは、すっかり熱い恋人同士となった二人が、この楽しい川下りがもうすぐ終点に着いてしまうことを惜しみ、いつまでもこの時間が続きますように、と願いを込めて余韻を味わってる、その二人を乗せたボートが、だんだんだんだん遠ざかっていく… FIN
こんな感じです。
チャイコフスキーさんの暗い夜のイメージとは全然違うけど、ま、イメージは 弾く人が好きに描けばいいんだから。
ちなみにヒバリのイメージは、ロシアじゃなくて多分 子どもの頃からいろんな本で読んだり映画で見たりした、「イギリスの田舎の川下り」の様子なんだと思います。
「たのしい川べ」とか、「不思議の国のアリス」の誕生現場とかね。
あなたも、自分のイメージで、曲を楽しんでね。
HP HIBARIピアノ教室 Youtube HIBARI PIANO CLASS