昨日、散歩途中で、呼び止められて、
「清水町に行きたいのですが、
どちらへ行けば?」
東西南北の十字路の交差点から、
20メートルほど北へ入った路上で訊かれた。
見れば白髪で70歳前後の女性である。
「清水町?」
どこかで聞いた町の名である。
不思議そうな顔をしたのであろう、
彼女は名刺大のマイナンバーカードのようなカードを見せて、
「ここへ行きたいの」
見ると、板橋区清水町と○○園と書いてある。
リハビリをする所のように感じる。
ボクの頭の中で清水町を思い出そうと考えたが、
どう考えても、道順を訊かれた場所からは、
かなり離れた東南の場所である。
そこで
「バスの無料パスはお持ちですか?」と聞くと、
「うん」と返事をした。
そこで、まず東方向へ行くバス停まで案内して、
バスが来るのを待って、運転手さんに、
「清水町へ行きますか?」と聞くと、
「池袋行のバスに乗ってください」という。
さて、その池袋行のバス亭は何処かと、
頭を巡らせているところへ、
この様子を見ていた近所のお年寄りが、
「どうしました?」のボクに聞くので、
「池袋行のバス亭はどこにありますか?」と聞くと、
叔父さん曰く、
「この交差点を南に50mほど行ったところにあります」
この交差点では、バス乗り場が分かれていて、
今立っているバス停は、「板橋方面行き」、
この交差点の南方向には、
「王子、池袋方面行」のバス亭があることを思い出した。
ご婦人を案内しながら歩くと、
「この間、転んで腰を骨折して3カ月入院していたの。
その後、リハビリでここを紹介されて通っているのです」
何処から来たのか知らないが、
話しっぷりの中に中国語のアクセント、
発音、イントネーションが有るのに気づいて、
バス停まで一緒に歩くことにした。
池袋行のバスのダイヤを見ると、
バスが来るのに、
この後10分ほどかかりそうだが、
バスの運転手さんに、
「この女性を(清水町)まで載せてやってください」
と告げるまで、バスを待つことにした。
やがてバスが来て、
「清水町へ行くそうです。お願いします」
と運転手さんに頼むと、OKという。
バスは走って行ったが、バスの中から彼女は
ボクに向かって手を振っていた。
お礼を述べることも知らず、
ただ手を振ることで、
彼女の感謝の気持ちを知ることができた。
暑い中、陽の当たるバス停で十分も待って、
善いことをしたと、
昨日、一日晴れやかな気分で過ごせました。